Re: オリジナルでリレー小説しています3 ( No.11 ) |
- 日時: 2006/07/04 13:57:40
- 名前: 灯<
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- 「まったくもって歯ごたえがないね」
イオはにっと笑った。 ハーヴェンはそれを見て歯噛みする。 さっきからコインを投げまくってみるものの、ものの見事にかわされる。まるで……。
自分で自分に攻撃を仕掛けているように。
ハーヴェンは内心舌打ちする。正直、手元のコインがもう少ない。 こっちに来てからやたら消費するために無くなるのだ。ちなみに、コインは術の発動と共に消し飛ぶので、リサイクルは不可である。 ってことで。 ハーヴェンが持っていた、金銭としての価値がないただのマジック用コインは、底をつきかけている。 しかも、実際金銭価値のある貨幣はほとんどと言っていいほど手持ちがない。 三枚投げられれば運が良い方だ。
……だが、ここで大きな問題となってくるのがハーヴェンの守銭奴具合である。 ぶっちゃけ、ハーヴェンはどうしようもない守銭奴であり、金がないために無理矢理煙草を止めた人間である。 戦闘のために金投げるなんてそんな無駄なことを出来る人間ではないわけで。
「……ティアナ」
苦し紛れに、ハーヴェンが小さく呼ぶ。 彼の背後に立つティアナは、え? と小さく声を上げる。
「…………属性術ってのはな、別に属性込めるモノが決まってる訳じゃない。便宜上、一番手軽で一番込めやすいモノに込めるんだな」
「………それがどうした」
ハーヴェンは唇にコインを当て、イオに向かって放る。
「『閃』!」
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Re: オリジナルでリレー小説しています3 ( No.12 ) |
- 日時: 2006/07/04 13:58:13
- 名前: 灯<
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- 目くらましの閃光属性。ハーヴェンはそれを思い切りぼん投げると、手近な建物の影にティアナを引っ張って隠れる。
「対人用属性ってのがあるんだよ」
さっきの続きか、ハーヴェンはまた周囲を窺いながら口を開く。
「…………?」
怪訝な顔をするティアナだが、何となく嫌な予感がした。
「対人用属性ってのはな、人間に属性を込めて特殊能力を与えることだ。ちなみに、俺が持ってる対人用属性は二つ。『翔』と『癒』だ。
前者は瞬間移動属性、後者は治癒属性。治癒属性の方は特殊能力与える訳じゃなくただ怪我とかを治すんだがな。
で、その方法なんだが」
ハーヴェンの顔がティアナの方に向く。 その無表情が面倒くさそうに言ったのは。
「コインに属性込めるのと同じ方法でな」
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Re: オリジナルでリレー小説しています3 ( No.13 ) |
- 日時: 2006/07/04 13:59:09
- 名前: 灯<
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間。
「……ってことはつまり……まさか……」
ティアナが狼狽える。
「とりあえず武器がない。コインが底をつくからお前は逃がす。とりあえずな」
「なんっ、なんで! 私も残る!」
ティアナが前に出てナイフを抜いた。そして、ハーヴェンに突きつける。
「残せ! 足手まといなんかにならない!」
「………お前はあいつに狙われてねーだろ。お前を逃がしちまったほうが良いし、お前じゃあの馬鹿みたいな術に対抗できない」
ハーヴェンはティアナのナイフを払う。 そして、そのナイフを奪い取ると、手を捕まえて引き。
「死ぬ気はない。……ってか、お前応援呼んでくれ。死にたくないからな」
最後に言い訳じみたことを呟き、その言葉を紡いだ唇をティアナのそれにあてがって塞ぐ。 ティアナの眼が見開かれるのも気にしないでハーヴェンは小さくそれに吐息を吹き込んだ。
一瞬の間の後、ハーヴェンは唇を離す。
「『翔』」
呟きは、ティアナの耳に小さく届いて、気がついたら宿の前に一人で立っていた。
「……ハーヴェンっ!」
呼べども答えず。 街のはずれで、爆音と煙が上がるのが見えた。
●ファーストじゃないと良いんですけど。 ハーヴェンのロリコンっ(お前のせいだ
では次よろしくです。遅れてすまんでした。
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Re: オリジナルでリレー小説しています3 ( No.14 ) |
- 日時: 2006/07/04 15:17:41
- 名前: 山元総也◆OMBM0w5yVFM
- 参照: http://pksp.jp/831power/
- 「ハーヴェン……。」
自分が今、あたりまえのように宿の前に居るのを、ティアナは夢でないだろうかと思った。 …そうだ。きっとこれは夢なんだ。ハーヴェンを失ったショックは、それほどまでに大きかった。 まだわずかに残る、唇の感触。あのとき、私は…。 そう考えかけ、ティアナは思い出したように顔を上げた。 ―応援呼んできてくれ。 ハーヴェンに言われた「義務」を果たすべく、ティアナは走り出した。
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Re: オリジナルでリレー小説しています3 ( No.15 ) |
- 日時: 2006/07/04 15:18:21
- 名前: 山元総也◆OMBM0w5yVFM
- 参照: http://pksp.jp/831power/
- ●書きました〜。
毎度の如く短くてスミマセン。 では、夜雲さまお願いします〜。
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Re: オリジナルでリレー小説しています3 ( No.16 ) |
- 日時: 2006/07/04 16:48:37
- 名前: ヒカ
- お久しぶりですー;
消えててごめんなさい、1レスずつ消えちゃってごめんなさい。 3ヶ月前にギリでキープする、という形になりつつあります。 これからはちゃんと来ますーっ、ごめんなさい;
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Re: オリジナルでリレー小説しています3 ( No.17 ) |
- 日時: 2006/07/04 21:31:14
- 名前: 夜雲
- 参照: http://www.geocities.jp/yoruko930/
- ●ヒカさんお久しぶりですー!とりあえずあと三ヶ月は大丈夫なんで、安心してください(笑)
んでは書かせていただきます。
袖口にしまった『狐』の式札が気になる。瀕死の状態まで追い込まれていた…霙。 主である巫女が死なない限りはどれだけ大怪我してても式は死なないけれど、回復までには大分時間がかかるだろう。 それまで私は…霙無しで、頑張らなければ。
「うげげ、臭―――ッ!雲雀臭いよ!ヤバいよ!」 「ンだとこのヤロ、てめぇだって臭いだろうがユリウス!」 「どっちも臭い、ていうか私もヤバいから何も言わないで。ぶった切るわよ」
セフィーに一喝されて二人は大声での言い合いをやめ、小声で小突きあう。 …あれから、レイニィやら他のナダやらに遭遇しないよう警戒しつつ 爆発が起こっている方へと急いでいた。 激しい打ち合いはまだ収まっていない。大きな魔力がぶつかって、町を破壊している。 …修理費って誰が出すんだろう?こんな窮地なのに考えてしまうのはそんな事で。
「――――…イリアッ!」
急に声が響いた。咄嗟に全員が武器を取り、構える。 私は武器も何もないので形だけのファイティングポーズ。 声の正体はティアナで、あまり意味が無かったけれど。 珍しく焦っているらしいティアナは、荒い息をそのままに声を絞り出す。
「…は、ハーヴェンが…!」 「え、また誘拐されたんですかあの人」 「違う!ハーヴェンが―――“ナダ”に襲われている!」
…ということはさっきから起こっている爆発は、やはりハーヴェンか。 “ナダ”。もしやレイニィじゃなかろうなと四人は顔を見合わせる。
●続きます
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Re: オリジナルでリレー小説しています3 ( No.18 ) |
- 日時: 2006/07/04 21:32:51
- 名前: 夜雲
- 参照: http://www.geocities.jp/yoruko930/
- ティアナが話す『属性術師』はどうやらレイニィではなさそうだが、厄介には変わりない。
マトモにぶつかっても勝ち目はない、その上せっかく巻いたレイニィも騒ぎを聞きつけて合流してるかもしれない。
「どーしよ…作戦無しで突っ込めば玉砕、かといって作戦会議してるうちにハーヴェンはピンチぃ…」 「何かいい作戦、十秒で思いつけるヤツは…いねぇよなあ」 「………………、…!そうだ、あの杖――――…」
ふと風華が口走る。 …そうだ、あの妖怪蜘蛛ババァ、もとい刻人からぶんどった、杖…! 使い方もまるでわからない、ただのガラクタに成り下がっていた杖だけれど、 うまく利用できれば奴らを撃退できるかもしれない。
「……ッ、駄目で元々!行きましょう!」 「案内する!…こっち!」
言って、ティアナは全速力で走り出す。 仲間達もすぐさま後を追うが、いかんせん運動量も反射神経も桁が違う。 遅れそうになるイリアの体が―――ふわりと浮く。 見れば、金色の獣がイリアを担いで走っていた。 満身創痍、ボロボロの体に鞭打って走る姿は、紛れもなく霙。
「…ば、っか、あんた何勝手に出てきて――――!」 「うるせー馬鹿イリア、話しかけんな気が散る」
いつもと違って捻りも何もないぶっきらぼうな雑言。 嫌味を言う余裕なんて欠片もないんだろう。 それなら大人しく札の中で休んでいたらよかったじゃない―――… ああもう何か泣きそうだ。腹がたってるのか申し訳ないのかわけわかんない。
●まだ続きます
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Re: オリジナルでリレー小説しています3 ( No.19 ) |
- 日時: 2006/07/04 21:33:50
- 名前: 夜雲
- 参照: http://www.geocities.jp/yoruko930/
「お前が鈍足だと他のヤツらが困ンだろ。迷惑かけられるのは俺だけで十分だっつの」 「……馬鹿狐!」 「上等だ馬鹿巫女が!」
罵りあいながら、金色の獣はスピードをあげる。 仲間達との距離も縮まり、最後には先陣を切って。 細くうねる路地を進むにつれて火薬の匂いが空気に混ざりだす。 路地が終わり、急に開けた場所に出た。 …人の手によって“整備”された広場ではなく、“破壊”によって生み出された場所。 地面はあちこちクレーターのように凹み、周りの建物は有無を言わさず破壊され。
「ハーヴェン!」
切なげに叫ぶティアナの視線の先には、確かに彼が居た。 彼と向かい合っているのは妙に黒ずくめ青年。なんとなく誰かに似ているような、面差しをしている。 黒ずくめの青年の側には…二度と会いたくなかった、レイニィの姿。 私達の姿を確認すると、上品に、けれど狂気的な微笑を浮かべる。 その手が袖口に消える前に、黒ずくめの青年の攻撃がハーヴェンに届く前に、 ――――イリアは杖を、思い切りハーヴェンに投げつける。
大きく弧を描いてハーヴェンの側に落ちてゆく、杖。
「――――投げて!」
からり、と杖は乾いた音を立てて地面と接触し、バウンドする。 もう一度地面に触れる前にハーヴェンの手が杖を掴み、 そして黒ずくめの青年が投げた“爆”のコイン目掛けて放つ。
●まだまだ続きます
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Re: オリジナルでリレー小説しています3 ( No.20 ) |
- 日時: 2006/07/04 21:43:28
- 名前: 夜雲
- 参照: http://www.geocities.jp/yoruko930/
――― 激しい閃光。目が潰れそうな程の、光。 ――― 遅れて地震にも似た爆音が響き、世界は静かになる。
次に目を開いた時、ハーヴェンのすぐ目の前の地面は見事に抉り取られていた。 地面だけではなく、爆発が起こった所から円状に建物も何もかも消え去っていた。 全員がぽかんと驚いている中ティアナは慌ててハーヴェンに駆け寄る。 肩を貸されてようやと立ち上がり、仲間たちと合流できたハーヴェンは開口一番に、
「俺を殺すつもりか」
と、心底肝を冷やした風に言った。 …まあ元気そうだからよしという事にしよう。
「…えーと、説明するとですね。あの杖、使い方は結局わからないままだけど、 とりあえずは“どこでも行ける”つまり“時空を移動する”チカラが閉じ込めてあったわけです。 チカラを閉じ込めた器である杖本体を破壊すればソレは弾け暴発―――。 あの黒ずくめ青年もレイニィも、どっか異次元へ飛んでるか、世界の裏側へ飛んでるか…」
そう、死んでいてもおかしくないのだけれど…どうしてかあの二人はタダじゃ死なない気がする。 運命という運命が味方してでも、生き延びていそう、だ。 それを感じているからこそ、誰も勝利とは思っていなかった。 ――――負け、だ。どう欲目で見ても、引き分けにはゆきつかない。 暗い空気が漂う中でハーヴェンはふと呟く。
●もうちょっとです。
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