Re: 異世界遊戯王大戦記GX(笑)第X幕 ( No.65 ) |
- 日時: 2013/09/24 21:56:35
- 名前: カイナ
- 羽蛾「ぐっ……」
竜崎「な、なんでワイまで……」
レオにぶっ飛ばされた羽蛾はぐっと唸り、竜崎は止めようとしたのになんで自分まで殴り飛ばされたのか疑問の声を漏らす。
ラルフ「さあ、暴君の鎌に壊される前にとっとと去れ……っつーかホントにとっとと行け。命の保証が出来なくなるぞ」
竜崎「……そ、そうさせてもらうわ。行くで、羽蛾!」 羽蛾「くそっ! これで勝ったと思うなよ!」
こういうことはラルフの方が手馴れてるためか彼が睨みを利かせてドスの効いた声を出し(その後には本気で二人を心配する声になっていたが)、それを聞いた二人がすたこら逃げていくのを見送ってからラルフはふぅと息を吐いた。
ラルフ「ふぅ。大丈夫か、レ――」 レイ「ラルフ様ー!」 ラルフ「――ぐふっ!?」
彼が安否を問おうとした瞬間レイがハートマークを乱舞させながら勢いよくラルフに抱き付き彼は苦しそうに息を漏らす。気のせいかゴキッという音が聞こえた。
レイ「助けに来てくれると信じてましたラルフ様ー!」 ラルフ「ぐぇ……首が……」
レイは頬を赤く染めにやけてハートマークを乱舞させながらラルフに抱き付いている。なお本人無自覚だろうが首を絞めている。
ネラ「え、えっと……ラルフ、知り合い?」 ラルフ「ぐぇ……あ、ああ、しゃ、早乙女レイっつってな……」 レイ「ラルフ様の彼女候補ですっ!」
ぽかーんとしながら尋ねるネラにラルフが返し、そこにレイが名乗りを上げるとネラはずざざっと引いた。
ネラ「ラルフ、あんたロリコンだったの?……しかもアルフの身体で……」 ラルフ「違う! 誤解だ! っていうかレイもいい加減離れろ!!」
ネラの引きながらの言葉にラルフは必死で弁解しレイを剥がしのけてから改めてレイに目を向けた。
ラルフ「なんかな、数年前の旅行でこいつを成り行きで助けて、それから俺にぞっこんなんだそうだ。小学五年のくせに書類偽造してアカデミアに侵入して来やがった」 レイ「そうなんです! ところでラルフ様、こっちのブラマジガールはお友達さんですか?」 ラルフ「ああ……ま、腐れ縁だ。そっちこそそこの女子は知り合いか?」
宇佐美「ふぇっ!?」
ラルフはレイの質問に答えた後、さっき彼女が庇っていた少女――宇佐美と呼ばれていた――に目を向け、彼女は驚いたように声を漏らす。と、レイが笑顔でうんと頷いた。
レイ「私の近所に住んでる宇佐美お姉ちゃん。私にデュエルを教えてくれたのもお姉ちゃんなんだ。アカデミアに進学希望っていうから学園祭に連れてきたの」 ラルフ「不正侵入してないだろうな? 場合によってはつまみ出すぞ」 レイ「してないよ! この前のよしみでってレオ先生が招待状送ってきてくれたの!」 ラルフ「いつの間に……」
以前の事もあって疑うラルフにむっとしたのか怒ったようにそう言ってほら! と招待状を見せつけるレイを見てラルフは頭を抱えレオを見る。それにレオがあっけらかんと笑っていると宇佐美は頬を赤らめてうつむいた。
宇佐美「あ、あの、でもさっきのデュエル、プロ相手だったのに凄かったし、あなたはオシリスレッドみたいなのにその腕前、やっぱり、私なんか……」 レイ「そ、そんなことないよ! お姉ちゃん強いもん! 絶対合格できるよ! だってボクが編入試験合格できたんだもん!」
外から見れば三つの寮の内最下層であるオシリスレッドの生徒であるラルフがプロ相手に勝利した光景を見て自信をなくしたのだろうか、しゅんとなっている宇佐美をレイが慌てて元気づける。だがその最後の言葉は遠回しに小学五年生で編入試験が合格できるデュエルアカデミアのレベルの低さを言っているようにも聞こえる。
ラルフ「ま、そんなんじゃそもそもアカデミアに合格すら出来ないだろうな」 宇佐美「う……」 レイ「ラルフ様! いくらラルフ様でもお姉ちゃんをいじめるなら許さないよ!」
ため息交じりのラルフの指摘に宇佐美はまたしゅんとなり、レイもラルフを睨みながら叫ぶ。とラルフはチッと舌打ちを叩いてふんと鼻を鳴らした。
ラルフ「自信を持て」 宇佐美「え?」 ラルフ「デュエリストに大事なのは自分のデッキを信じる事。自分のデッキを信じられないような奴にデッキは力を貸してくれない。そして、自分のデッキを信じられればおのずと自信も湧いてくる」 宇佐美「自分のデッキを……信じる……」 ラルフ「あとは……とにかく、デュエルを楽しめ。俺は、そう紅葉師匠に教わった……」
ラルフはそう言ってふんっと顔を背け、ネラはにやにやと笑う。
ネラ「ラルフって素直じゃないからね〜。今風に言うと、ほらあれ……ツンデレ!」 ラルフ「余計なこと言ってんじゃねえよ」
ネラの言葉にラルフは彼女を睨みながらドスの効いた声を出し、それに対しネラはひゃあとわざとらしく声を出すとラルフはチッと舌打ちを叩く。
ラルフ「まあ、行くならレッド寮にでも行ってみろ。俺なんかより強く、デュエルを楽しむデュエル馬鹿が最低二人はいるからよ」 レイ「え? ラルフ様は?」 ラルフ「せっかく抜けられたんだ。アルフとネラに学園祭見物の時間でも与えてやるよ」 レイ「優しいね。でもいいの?」
自分は一緒に行かないというようなラルフの言葉にレイは最初こそ残念そうな表情だったがラルフの言葉を聞くと嬉しそうにえへへ、と笑い、ラルフはまたふんと鼻を鳴らす。しかし今ここには教師でもあるレオもおり、レイが尋ねるとレオはふっと笑った。
レオ「勝手にしろ。俺は招待したお嬢様が遅いから迎えに来ただけだ」 レイ「えへへ。じゃあレッド寮まで行こっか、宇佐美お姉ちゃん」 宇佐美「う、うん……」
レイがそう言って宇佐美の手を引くと宇佐美もこくんと頷いて歩き出すがラルフの前に立つと足を止める。
宇佐美「あの、んと……ラルフ、さん?」 ラルフ「あん?」 宇佐美「んと……ありがとう、ございました……」
宇佐美は頬を淡く染めてはにかみながらお礼を言い、レイとレオの乗っている馬車ならぬ戦車へと乗り込み、戦車も馬に引かれて出発する。
ネラ「……こういう属性はアルフだけだと思ってたんだけどな〜」 ラルフ「は?……ま、なんでもいい。アルフに代わるぞ」 ネラ「ふぇっ!? わわわちょっと待って!」
ネラの呟きにラルフははぁ、と聞き返した後なんでもいいと続けてアルフに代わるため目を閉じて精神を集中、それを聞いたネラは慌てて叫ぶがその頃には既に少年の目が穏やかなものに変わっていた。
アルフ「さてと。じゃあラルフが言ってたけど学園祭でも見て回る? サボりして」 ネラ「あ、うあ……」
アルフの柔らかくどこか悪戯っぽい微笑みにネラは顔を赤くする。とアルフが首を傾げた。
アルフ「どうしたの、ネラ?」 ネラ「ど、どうしたのって!……?」
首を傾げて彼女の顔を覗き込むような格好をしているアルフにネラは思わず叫び声を上げるが直後気づく。ラルフによるとアルフは鼻血を吹くわ顔を真っ赤にするわ気絶するわで大わらわだったはず。それなのに今彼は何事もなかったかのようにネラと相対していた。
ネラ「アルフ……私とラルフのデュエル、覚えてる?」 アルフ「え?……ううん、あんまり覚えてない。そういえば入れ替わってた弊害での記憶の混乱はたまにあるけど、ここまで綺麗さっぱり消えてるなんて珍しいなぁ」
ネラの質問にアルフは今度はその事に疑問を持ったように首を傾げながらそう言い、虚空を見ながら「ね、ラルフ?」と続ける。どうやらデュエルの記憶が消えているらしい、それを悟ったネラはにやりと笑った後アルフの右腕にしがみついた。
ネラ「じゃあアルフッ、一緒に学園祭見物しよっ!」 アルフ「わわわっ!?」
突然右腕にしがみつかれて柔らかい二つのものが腕にむにゅっと押し当てられたアルフは赤面しながら声を上げるのであった。
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Re: 異世界遊戯王大戦記GX(笑)第 ( No.66 ) |
- 日時: 2013/10/09 05:23:01
- 名前: 孝(たか)
- 同時刻・・・レッド寮
銀河「いやぁ負けた負けたぁ。やっぱアカデミアってだけあって強いわ」
銀河は苦笑いしつつ後頭部を掻きながら聖夜達の下に戻っていく。
聖夜「ドンマイ銀河。VWXYZを過信し過ぎたんじゃないのか?」 林華「銀河ってVWXYZの合体成功させると興奮しちゃって、詰めが甘くなるよね?」 銀河「うぐっ・・・」
図星を突かれて項垂れる銀河。そんな銀河の下に、凛が近寄ってくる。
凛「銀河君、ちょっといいかしら?」 銀河「あ、はい。えっと・・・司会のお姉さん?俺、いや僕に何か?」 凛「あら、お姉さんだなんて・・・私こう見えても君より年上の子を3人も産んでるのよ?」
お姉さんと言われて嬉しかったのか片頬に手を添えて銀河達に微笑む。
「「「・・・・・・ゑ?」」」
聖夜・銀河・林華の三人は凛の発言に目を丸くする。 それはそうだろう。目の前にいるのはどう見ても20代前半くらいのお姉さんが、自分達よりも年上の子供が3人もいると言っていたのだから・・・
凛「そんな事より、はいこれ。」
そう言って凛は銀河に1枚のコインを渡す。渡された銀河は首を傾げる。
銀河「・・・えっと?」 凛「あ、もしかして説明の時には居なかったのかしら?これはね。敗者には1枚、勝者には2枚渡す事になって居る物で、1枚につき1回トレーダーを回せるの。次の新弾パックに入るカードを先行入手出来るトレーダーを引く事が出来るわ。さぁ、こっちへ」
そうして銀河は凛に連れられてトレーダーの前に来る。
凛「好きなトレーダーを回していいわよ。」 銀河「えっと・・・ん?」
ふと、銀河は1つのトレーダーに眼が行った。 何故か判らないが眼を離せず、そのまま誘われるままにコインを投入してトレーダーを回す。
グリ、グリ、グリ・・・カシャ
そうして出て来たカードを1枚ずつ確認していく。
・幻獣機 ドラゴサック
・次元防衛基地−ディメンション・ガーディアン・ベース−
・ゴーストリック・パニック
銀河はその3枚を手に入れたのだった。 しかも、1枚はエクシーズ・モンスターである。
亮「氷牙さん。俺に用事とは一体何ですか?」
そこへ、カイザー亮が氷牙を訪ねにやってきた。どうやら氷牙が前もって呼んでいたようだ。
『あ”〜〜〜〜〜はっはっはっはっはっ!!』
それと同時に、上空から高笑いが響いてくる。 観客も氷牙達も上空へ視線を向けると・・・ヘリコプターが待機していた。
その数瞬後、そのヘリから人影が飛び降りてくる。
パラシュートも使わずに紐無しバンジーを決行してきた不審な人物は、ステージに華麗に着地して見せた。
「正義の味方カイバーマン!!」
なんと、その人影は今子供達に人気絶頂のヒーロー・・・正義の味方カイバーマンであった。
ビッ!とカイバーマンは氷牙に指差す。
カイバ「ジャンク・ウォリアーよ!約束通り、来てやったぞ!」 氷牙「おっす。カイバーマン。久しぶり〜こうやって生で顔合わすのはどれくらいぶりだ?」 カイバ「・・・かれこれ、10年といったところだな。」
いきなり世間話を始める正義の味方とガラクタ戦士。とてつもなくシュールである。
氷牙「もうそんなになるか・・・どおりで俺も歳をとった訳だな。そろそろAfの次期社長も決めないとなぁ〜」(チラっ)
わざとらしく十代に視線を向ける氷牙。しかし、当の本人である十代はカイバーマンの方にくぎ付けだったりする。
鏡夜「さ、亮君は僕と一緒にこっちに行こうか?」 亮「いきなり俺の死角に立たないでください。びっくりするでしょう。」 鏡夜「その割には表情がいつも通りだけど・・・ま、いいからこっち来て。」
そう言って、半ば引きずる様に亮を連れてレッド寮の衣装部屋に連行して行った。
数分後・・・
亮「何故、俺はこんな恰好をしている・・・?」
レッド寮から出てきたのは、ブラック・マジシャンズ・ナイトのコスプレをしたカイザー亮だった。
観客達に見つかると同時に女性客からキャーキャーと黄色い歓声が上がる。
カイバ「ほぉ。ブラック・マジシャンズ・ナイトか。俺の相手としては適任ではないか。」
鏡夜に散々貶され、氷牙に説得されてブルー生徒のトップとデュエルする様に頼まれたカイバーマン。 最初は面倒くさそうな態度ではあったが、子供達の前であり、相手がブラック・マジシャンズ・ナイトという事もあってモチベーションを上げた。
亮「彼とデュエルを?」 鏡夜「そ。偶には外の人とデュエルしてみるといいよ。・・・きっと、今の君に足りない物が見えてくるから」
最後の方は聞きとれないほど小さな声だった。 そんな鏡夜のコスプレは、セブン・ソード・ウォリアーである。
カイバ「貴様など、俺の足元にも及ばない事を思い知るがいい!!」 亮「簡単にはやられはしない!」
『『デュエル!!』』
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Re: 異世界遊戯王大戦記GX(笑)第X幕 ( No.67 ) |
- 日時: 2013/10/09 14:42:06
- 名前: カイナ
- 少し時間を戻して、亮が鏡夜に衣裳部屋に連れていかれた頃。アルフがネラを探している途中でネラからラルフにSOSを受け、そこにネラも一緒にいてナンパされていたレイを助けてレイ達がレッド寮に行き、と色々あった後にアルフとネラがやってくるのはイエロー寮。ここでは縁日が行われておりとても活気がある状態になっていた。
神楽坂「アルフ!」 アルフ「あ、神楽坂君……焼きそば?」 神楽坂「ああ。どうだ? 今なら一パックに割り箸二つ分つけてやるよ」 アルフ「二パックに一つずつでいいよ」 神楽坂「なんだよつまんねえ……ところでそっちのブラマジガールはなんでコスプレしたまま来てるんだ? レッド寮はコスプレデュエルだって聞いたけど」
ちょっとコントをしてから縁日の焼きそば係である神楽坂はネラを見て首を傾げ、アルフもそういえばというようにネラを見た。
アルフ「そういえばネラ、着替えは? 僕達と会った時にはもう着替えてたよね?」 ネラ「え? あーいやその……じ、実は船の中でもう着替えててさ、しかも着替えの服忘れちゃったんだ〜。ローブは持ってるんだけどレッド寮に置いてきちゃった」 神楽坂「……その心構えはぜひ参考にしたいけど、コスプレ道具を汚したらまずいよな……あ、そうだ。購買部で色々記念品売ってて、その中に衣料品があったはずだし行ってみたらどうだ?」 アルフ「そっか。ありがとう、神楽坂君」 神楽坂「おう。また後で来いよ」
有益っぽい情報を手に入れて二人は縁日を後にし、購買部へと歩いて行った。
セイコ「あ、アルフさん。いらっしゃーい」 アルフ「こんにちは、セイコさん。お土産用の衣服を売ってるって聞いたんですけど」 セイコ「はいっ! デュエルアカデミア名物アカデミア帽子にアカデミアTシャツ、アカデミアジャケット、アカデミアジーパンにアカデミアスカート……」
なんかもうなんでもありだった。ちなみに全部ワンポイント的に“Gx”という文字がついている。売り物の中にはアカデミア制服風の服もあるが胸元に着けられたワンポイントで正規の制服と見分けがつくようになっているようだ。
アルフ「えっと……ネラ、とりあえずここで何か買いなよ。僕が払うから……DPで払えますか?」 セイコ「はい、大丈夫ですよー」
アルフのPDAを取り出しながらの質問にセイコはにこにこ笑顔で答え、ネラは気に入るものがあるか探していく。そして何着か服を取ると女性用試着室――ということになっている購買部の従業員室。ちなみに男性用試着室は購買の隅にカーテンの仕切りで簡単に作られている――に入って着替えを始め、アルフがそっちの方をちらちらと見ているとセイコがふふっと笑った。
セイコ「彼女さんですか?」 アルフ「ふぇっ!?」
耳元で突然囁かれ、それを聞いたアルフの顔がぼんっと赤くなり彼はセイコから距離を取るとぶんぶんと首を横に振った。
アルフ「ちっちちち違いますよ! ネラは幼馴染で、お姉さんみたいな人で、そ、そりゃ可愛いと思うけど……」
アルフは真っ赤な顔であうあうと唸り慌てたようにまくしたてて両手をばたばたと上下させる。それを見ながらセイコがくすくすと笑っていると女性用試着室のドアが開いた。
ネラ「ねえねえどうアルフ? 似合う?」
そう言ってネラはくるっと回転し、自分の着ている服を見せる。ネラは真っ白なTシャツにアルフと同じオシリスレッドの、しかし中途半端に女子制服アレンジなのかノースリーブの制服に身を包み、スカートも白いミニスカート、さらに黒いニーソックスを履いて絶対領域を作っていた。ついでに靴も赤いブーツに履き替えている。ジャケットの前のボタンは留めておらず真っ白なシャツの薄い布地を豊満な胸がぐいっと押し上げてネラのスタイルの良さを強調。しかもさっきくるっと回転した時にスカートがひらりとめくれそうになったり少し胸が揺れたりとあってアルフはどぎまぎしてしまう。しかし結果的にアルフは無言になっており、ネラは不安そうな目を見せる。
ネラ「……似合う?」 アルフ「う……ぅん」
改めて聞き返すとアルフは絞り出すように肯定、ネラは嬉しそうににこっと微笑む、がその後不安そうな目をセイコに向ける。
ネラ「え、えと……これ、おいくらですか?」
DPとはいえアルフに全額払わせるのは気が引けるのだろうか。それを察したセイコはくすくすと笑うと電卓をタタタンッと叩く。
セイコ「じゃあアルフさん。これくらいでいいですか?」 アルフ「ん?……えっ!? これ、日本円に換算したら随分安い……」 セイコ「しーっ。サービスですよ。でも、今度DPが入ったらたくさんカードパック買ってくださいね」
アルフの言葉を遮ってセイコはしーとすると悪戯っぽく微笑んでそう言い、アルフはそれにこくこくと頷くとPDAを取り出しDPを支払う。それからネラのブラマジガール衣装――というか彼女の本来の服や杖――を貰った紙袋に入れておく。その時だった。
女性客A「わ、見てあの人……可愛い……」 男性客A「な、なんだ? アイドル?」 女性客B「ブラマジガールそっくり……綺麗」
他の客がネラに気づいてざわざわと騒ぎ出し、ネラが可愛い、アイドル、綺麗という言葉に照れた様子を見せる。アルフはそれを見てむっとした顔を見せると手近なとこにあったGxという文字が前面に描かれている赤いキャップを取るとそれをネラに無理矢理被らせた。無理矢理の割に深くかぶらせており、ネラの顔が目立たなくなっている。
ネラ「わっ!?」 アルフ「これも貰います、お釣りはいりません。足りなかったらまた後日」
アルフは不機嫌そうな様子を見せながらお金をセイコに押し付け、セイコからの返答も聞かずに「行こ」と言ってネラを引っ張り購買部を出ていく。セイコもしばらくポカンとしていたがまるで独占欲の強い子供みたいな様子を見せたアルフを思い出すとくすっと微笑む。
セイコ「可愛いですね」
そして明らかに足りないどころかDPと合わせればさっきの服の代金も支払えてお釣りも十分もらえる額のお金を見てぼそりとそう呟いた。
一方レッド寮。その場は凄まじい雰囲気に包まれていた。アカデミアのカイザーと呼ばれる実力者、丸藤亮VS謎のデュエリストカイバーマンのデュエルが今から始まろうとしていた。
カイバーマン「俺の先攻、ドロー! 俺は[ブラッド・ヴォルス]を攻撃表示で召喚し、カードを二枚セット。ターンエンドだ」手札三枚 ブラッド・ヴォルス 攻撃力:1900
カイバーマンの場に現れる、斧を手にし殺戮を好む魔獣人。その背後に二枚のカードが伏せられた。
亮「俺のターン、ドロー。俺は[サイバー・ドラゴン]を攻撃表示で特殊召喚。このカードは相手の場にモンスターが存在し、俺の場にモンスターが存在しない時特殊召喚出来る。バトルだ! 俺は[サイバー・ドラゴン]でブラッド・ヴォルスを攻撃! エヴォリューション・バースト!!」 サイバー・ドラゴン 攻撃力:2100
亮が攻撃を指示し、サイバー・ドラゴンの口内にエネルギーが溜まっていく。
カイバーマン「甘いわ! リバースカードオープン[破壊輪]!! モンスター一体を破壊し、破壊したモンスターの攻撃力分のダメージを互いのプレイヤーに与える! 俺が破壊するのはサイバー・ドラゴン!!」 亮「なっ!?」
カイバーマンの場の伏せカードが翻り、サイバー・ドラゴンにまるで首輪のように手榴弾のついた輪が装着。それが大爆発を起こし、フィールドを爆煙が包み込んだ。
亮「ぐあああぁぁぁぁっ!!!」LP4000→1900
一気に亮のライフが削られ彼の悲鳴が響き渡り、爆煙が晴れていく。その時カイバーマンの場で緑色の羽のついた輪がひゅんひゅんと回転しているのを彼らは見た。
カイバーマン「速攻魔法[防御輪]! このカードが発動した時、発動プレイヤーへのダメージは0となる!!」
カイ「カイザーのモンスターを破壊し、さらに相手にのみダメージを与えたか!」 十代「あいつ……強ぇ!」
ヴィヴィオ「まあ、当然だと思うんだけど……」
十代「え? なんだって?」
ヴィヴィオ「……なんでもない」
カイバーマンのコンボにカイと十代が驚愕の声を上げるとヴィヴィオがぼそりと呟き、十代が首を傾げると彼女は呆れたように嘆息しながらそう漏らす。それに十代は首を傾げていた。
亮「くっ……俺は[サイバー・ラーバァ]を守備表示で召喚! カードを一枚セットし、ターンエンド!」手札三枚 サイバー・ラーバァ 守備力:600
亮の場に小さな白銀の機械竜の一体が姿を現し、彼はカードを一枚伏せてターンエンドを宣言した。
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Re: 異世界遊戯王大戦記GX(笑)第 ( No.68 ) |
- 日時: 2013/10/22 06:15:30
- 名前: 孝(たか)
- カイバ「俺のターン。ドロー!ふむ・・・[サファイア・ドラゴン]を攻撃表示で召喚!」
サファイア:攻撃力1900
別名宝石竜と呼ばれる内の1体を場に出すカイバーマン。 青く煌めく鱗が美しい竜だ。
カイバ「バトルだ![サファイア・ドラゴン]で[サイバー・ラーバァ]を攻撃!”サファイア・ブレス”!!」
サファイア・ドラゴンは口から青い炎の息吹でサイバー・ラーバァに攻撃する。
亮「この瞬間、[サイバー・ラーバァ]の効果発動!表側表示のこのカードが攻撃対象となった時、このターン戦闘によって発生する自分への戦闘ダメージは0になる!更に戦闘によって破壊され、墓地に送られた時、デッキから[サイバー・ラーバァ]を1体を特殊召喚する事が出来る!デッキから再び守備表示で特殊召喚!」
ラーバァ:守備力600
カイバ「ふぅん。このまま攻撃したところで、デッキを圧縮させるだけだな・・・ならば、メインフェイズ2に移行する。魔法カード[死者への手向け]を発動!手札1枚を捨て、相手モンスター1体を破壊する!俺は、手札から[伝説の白石]を捨てて発動する。[サイバー・ラーバァ]を破壊だ!」 亮「ぐぅっ!?」
そして、カイバーマンはこの瞬間に、自身の正体を悟られるような行動に出た。
カイバ「墓地に捨てられた[伝説の白石]の効果発動だ!」 亮「!?墓地に送られる事で発動する効果か!?」 カイバ「このカードが墓地に送られた時、デッキから[青眼の白龍]を1枚手札に加える!!」
デッキから1枚のカードを選び、手札に加えたカードはなんと・・・青眼の白龍。
世界に4枚しか存在していない最強の通常モンスター・・・持ち主に、勝利を運ぶ伝説の龍である。
『『『『『ブルーアイズだってええええええええええ!?!?!』』』』』
正体を知っている氷牙達は全く驚かず、観客達は大いに騒ぎ出す。
亮「まさか、貴方は・・・!?」 カイバ「ふぅん。俺様の正体など些細な事だ。今はデュエルに集中しろ。」
十代「ブルーアイズだって!?今は海馬さんしか持っていない筈のカードを持ってるなんて、あいつ・・・何者なんだ!?」
『『・・・・・・ゑ?』』 十代「・・・え?」
十代の発言に大層驚く仲間達。よもや十代が此処まで天然だったとは、幼馴染をして驚愕を禁じ得ない。
ヴィオ「・・・え?代ちゃん・・・それ本気で言ってる?」 十代「え?え?」
ライ「いやぁ・・・前々から思ってたけど、まさかここまで天然だったとは・・・」 エルフィ「ちょっと・・・恥ずかしいわね」
十代「な、なんだよ皆して!お前らはアイツの正体が判ったって言うのか!?」 風華「いやぁ・・・判らない方がどうかと思うよ?・・・うん。」 美海「所詮は、十代。頭は弱い。でも、限度がある。」 翔「アニキ、それは無いっスよ・・・」
弟分の翔にまで呆れられる始末だった。
十代「なんなんだよぉおおおおおお!?」
十代の叫びは観客の歓声にかき消されるのだった。
カイバ「俺はカードを1枚伏せ、ターンエンドだ」手札1(青眼の白龍) 亮「俺のターン。ドロー!相手の場にのみモンスターが居る場合、このカードは特殊召喚出来る。来い!サイバー・ドラゴン!」
そう言って亮は2体目のサイバー・ドラゴンを呼び出す。しかし、カイバーマンの方は動く気配も無い。
亮「更に、[融合呪印生物−光]を召喚!効果を発動する!このカードは、融合素材1体の代わりにで切る。その際、他の融合素材モンスターは正規のものでなければならないがな。更に、フィールド上のこのカードを含む融合素材モンスターをリリースする事で、光属性の融合モンスター1体を特殊召喚する。俺は、サイバー・ドラゴンと融合呪印生物−光をリリース!」
2体のモンスターが混じり合い、新たなモンスターへと変貌する。
亮「来い![サイバー・ツイン・ドラゴン]!!」手札2
機械双頭龍 攻撃力:2800
亮「サイバー・ツイン・ドラゴンは、バトルフェイズ中に2回攻撃ができる!バトルだ!!」
そうして、亮はカイバーマンのモンスター達に攻撃を仕掛ける事にしたのだった。
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Re: 異世界遊戯王大戦記GX(笑)第X幕 ( No.69 ) |
- 日時: 2013/11/01 23:30:05
- 名前: カイナ
- 亮「サイバー・ツイン・ドラゴンでブラッド・ヴォルスを攻撃! エヴォリューション・ツイン・バースト!!」
カイバーマン「リバースカードオープン[攻撃の無力化]!! 攻撃を無効にし、バトルフェイズを終了させる!」 亮「くっ!?……ターンエンド」手札二枚
双頭の機械竜の攻撃が時空の穴へと吸い込まれて無効化され、亮はくっと唸ってターンエンドを宣言した。
カイバーマン「俺のターン、ドロー!」
カイバーマンはカードをドローした後、ふっと笑う。
カイバーマン「見せてやろう、我が最強のしもべの姿を! 俺はブラッド・ヴォルスとサファイア・ドラゴンを生贄に捧げ――」
叫び、彼は手札の一枚を天空へと掲げる。それとともに彼の場の二体のモンスターが主最強のしもべである存在を呼ぶための贄となり光となって天空へと消えていく。そして空を雲が覆い隠した。
カイバーマン「[青眼の白龍]を召喚!!!」 青眼の白龍 攻撃力:3000
その言葉と共に天空から光が爆発、雲の一部が薙ぎ払われ、その薙ぎ払われた部分から光が下りていく。光は一体の美しい龍が放つものだった。
カイバーマン「ふつくしい……」
光を放ち優雅且つ豪快に咆哮する白き龍、その姿にカイバーマンは感嘆の声を漏らす。そしてカイバーマンは再び亮に目を向けた。
カイバーマン「さあ、バトルだ! 青眼の白龍でサイバー・ツイン・ドラゴンを攻撃!! 滅びの爆裂疾風弾!!!」 亮「うわあああぁぁぁぁっ!!!」LP1900→1700
白き龍の放つブレスに双頭の機械竜はなすすべなく破壊され、亮もダメージを受ける。
カイバーマン「俺はリバースカードを一枚セットし、ターンエンドだ」手札零枚
そしてカイバーマンは最後の手札を伏せ、ターンエンドを宣言する。
亮「俺のターン、ドロー! 俺は魔法カード[貪欲な壺]を発動! 墓地のモンスター、サイバー・ドラゴン二体、サイバー・ラーバァ二体、サイバー・ツイン・ドラゴンをデッキに戻し、デッキからカードを二枚ドローす――」 カイバーマン「俺にそんな姑息な手が通用すると思うな!! カウンタートラップ[王者の看破]!!! 俺の場にレベル7以上の通常モンスターが存在する時、魔法・罠カードの発動、モンスターの召喚・反転召喚・特殊召喚のどれか一つを無効にし破壊する! 貪欲な壺の発動を無効にし、破壊!!」 亮「――なっ!? ぐああぁぁぁっ!!」
青眼の白龍の放つオーラが貪欲な壺の力を封じ、壺を木端微塵に破壊する。それを操るカイバーマンもまた王の風格を漂わせていた。
カイバーマン「さあ、どうする!?」 亮「くっ……俺は[サイバー・フェニックス]を守備表示で召喚し、ターンエンド……」手札一枚 サイバー・フェニックス 守備力:1600
カイバーマンの強い言葉に亮は唸り、機械の不死鳥で守備を固めターンエンドを宣言した。
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Re: 異世界遊戯王大戦記GX(笑)第X幕 ( No.70 ) |
- 日時: 2013/11/21 06:09:59
- 名前: 孝(たか)
- カイバ「俺のターン。ドロー!ふぅん。魔法カード[命削りの宝札]を発動!手札が5枚になる様にドローする!俺の手札は0。よって、5枚ドローする!ドロー!!」
カイバーマンは一気に5枚のカードを引く。そこで、さらなる切り札とも呼べるカードを引き当てた。
カイバ「ふぅん。貴様に、青眼のさらなる力を見せてやろう!俺は、チューナーモンスター[青き眼の乙女]を召喚!」
青き眼の乙女:ATK0
民族衣装に身を包み、青眼の白龍と同じ青き眼を持つ乙女が現れる。その乙女は、チラリとカイバーマンを見てニコリと微笑むが、それは一部の者しか見る事の出来ない仕草だった。
氷牙「この感じ・・・まさか・・・精霊?」 カイ「・・・そうみたいですね。しかも、相当強い力を持っているみたいです。」 カノンノ「・・・なんだか、青眼の白龍と同じ力を感じます。」
この場に精霊の存在を感じ取れる者達のみが、青き眼の乙女の正体を感じ取ったのだった。
カイバ「装備魔法[ワンダー・ワンド]を青き眼の乙女に装備!攻撃力を500ポイントアップさせる!更に、青き眼の乙女はカード効果の対象となった時、効果を発動する!」 亮「いったい、何が起きる・・・?」
攻撃力が0のモンスター程、厄介な効果を持つカードは多い。それが判っているからこそ、亮は注意深く青き眼の乙女とカイバーマンを見つめる。
カイバ「青き眼の乙女の効果発動!1ターン1度カード効果の対象となった時、デッキ・手札・墓地より・・・[青眼の白龍]を特殊召喚する!」 亮「何だと!!?」
ざわざわと観客達も驚きの声を上げる。まさか、青眼の白龍が2体も揃うと言うのだろうか・・・と。
カイバ「デッキより現れろ!我が最強の僕よ!2体目の[青眼の白龍]を特殊召喚!!!」
青眼の白龍 ATK3000
『ギャオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!!』
青き眼の乙女を間に挟む様に、青眼の白龍が2体出揃う。
カイバ「更に、ワンダー・ワンドの効果発動!このカードと、装備モンスターを墓地に送り、デッキから2枚ドローする!ドロー!」手札5
再び手札を5枚に増やし、遂に切り札を揃える準備が整った。
カイバ「魔法カード[古のルール]を発動!手札からレベル5以上の通常モンスター1体を特殊召喚できる!」 亮「レベル5以上の通常モンスター・・・まさ、か・・・!?」
ここまで来て察せない者は1人もいないだろう。いま、ここにいる者達は伝説を見る。
カイバ「出でよ!我が最強の僕よ!3体目の[青眼の白龍]!!!」
『ギャオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!』
今ここに、3体の青眼の白龍が顕現した。
圧巻 圧倒 荘厳 畏怖 そして美麗
最強の通常モンスターにして、最強のドラゴン。
青眼の白龍が3体、神々しく舞い降りた。
これは夢か? 否、現実である。
今この場にいる者たち全員が、伝説の光景に立ち会えたのだ。
カイバ「ふつくしい・・・だが、まだ終わった訳ではない。ここからだ。ここから、青眼の新たな力を見せてやる!魔法カード[ワン・フォー・ワン]を発動!手札のモンスターカード[トライホーン・ドラゴン]を捨て、デッキから、レベル1のモンスター・・・チューナーモンスター[暴風竜の防人]を特殊召喚!見るがいい!青眼の新たな力を!レベル8の青眼の白龍に、レベル1の暴風竜の防人をチューニング!」 亮「青眼を・・・シンクロ素材にするだと!?」
青眼の白龍の新たな力、それは・・・シンクロ召喚の力を得た事だ。
カイバ「”力を持って力を制す!力無き者に、覇道は進めぬ!我が象徴たる最強の僕よ!新たな力をここに示せ!”シンクロ召喚!粉砕せよ![蒼眼の銀龍]!!」
青眼の白龍よりも多少くすんだ色の瞳を持った、銀の龍が現れる。
亮「蒼き眼をもつ・・・銀の龍・・・!?」
蒼眼の銀龍 ATK2500
白銀に輝く鱗が、太陽の光を浴びて神々しく煌めいていた。
カイバ「[蒼眼の銀龍]の効果発動!このカードが特殊召喚に成功した時、自分フィールド上に存在する全てのドラゴン族モンスターは次のターン終了時まで、あらゆる効果の対象とならず、効果では破壊されない!更に、この効果にチェーンして速攻魔法[銀龍の轟咆]を発動!墓地からドラゴン族通常モンスターを1体、特殊召喚する!再び現れろ![青眼の白龍]!!!」
銀龍の轟く様に響く咆哮が、墓地のドラゴン族を呼び覚ます。
カイバーマンの場に、青眼の白龍が3体と、蒼眼の銀龍1体が集結し、亮を睨みつける。
鏡夜「攻撃力3000の青眼の白龍が3体に、攻撃力2500の蒼眼の銀龍。しかも、効果対象に出来ず効果破壊もされない・・・対して、亮君の場には、守備表示のサイバー・フェニックスが1体と、手札が1枚。サイバー・フェニックスが戦闘破壊されれば、1枚ドロー出来るけど、基本的にサイバー系と機械族モンスターしかいない亮君のデッキ。速攻のかかしとかが無ければ・・・ここまでかな?」
今の状況を冷静に分析し、今までの亮の行ってきたデュエルからデッキの構成を8割以上熟知している鏡夜は、亮の敗北と予想するのだった。
カイバ「くらうがいい!ブルーアイズの攻撃!”滅びの爆裂疾風弾”!!!」
1体目の青眼の白龍によるブレス攻撃がサイバー・フェニックスを爆殺する。
亮「ぐううううう!?さ、サイバー・フェニックスの効果!戦闘で破壊され、墓地へ送られた時、デッキから1枚ドロー出来る。」
しかし、亮はデッキに指を添え、カードを引こうとするが・・・そこから動けないでいた。
震えていた。
そう、亮はこの最後のドローに迷いが出ている。 ここで逆転のカードを引かなければ亮は負ける。
亮は、ここ最近思うようになっていた。”相手をリスペクト出来るなら負けても良い”と。
だが、つい数日前にはセブンスターズの一人だったエヴァとのデュエルでは自身の信頼したサイバー・エンド・ドラゴンは容易く砕かれ、オーバーキルさえ受けた。
意識を保つのも厳しい程の身体中を襲う強烈な痛み、それを思い出すと・・・負けるのが怖いと思ってしまう。
そんな自分に気付き、激しく嫌悪する亮。
カイバ「・・・・・・興醒めだ」 亮「!?」
バッと亮はカイバーマンの方へ視線を向ける。
カイバ「失望したぞ。奴の言うとおり、ここ数年間でアカデミア本校のブルー生徒の実力が年々低下し、3年に至っては3名を除いてエリートという椅子に座り増長しているとな・・・だが、よもやその3人の内の一人である貴様がこの程度で戦意を失う腰ぬけであったとは・・・な。」
カイバーマンはイラつきを隠そうともせずに吐露する。
亮「お、俺は・・・」 カイバ「そして、俺が最も許せんのは・・・貴様のデュエリストとしての魂が感じられん事だ!!」
カイバーマンは怒髪天を突く勢いで怒鳴る。
カイバ「貴様の戦いには、何もない!空虚なる魂で、デュエリストを名乗るとは何事だ!!」 亮「何も、無い・・・?デュエリストの魂・・・」
亮は茫然とカイバーマンの怒りを受ける。
カイバ「貴様のプレイング。確かに無駄な所はほぼ無いと言える。しかし、それだけだ。そんな物ルールを熟知していれば誰にでも出来る事だ。だが・・・負けても良いと言うその性根は気に食わん!!」 亮「!?なぜ・・・そう思うんです?」
亮は、自身の思いを誰かに教えた事は無い。あるとすれば、ただ1人。サイバー流師範であり、この学園の校長・・・鮫島のみである。
カイバ「貴様のカード達が語っているわ!デッキとは、デュエリストの魂にして心そのモノ!デッキに込めた魂は、偽る事など出来はしない。そこに宿る思いは、デュエルによって顕現する!」
腹の底から響かせるように叫ぶカイバーマン。普段の彼ならば絶対に言わないであろうが、仮面を付けているのか止まる気配が無い。
カイバ「相手をリスペクト出来れば負けても良いだと?全力を出さずに相手と対峙する事が、貴様のリスペクトか!!それはリスペクト(敬意)ではない!侮辱だ!」 亮「なっ!?お、俺はそんなつもりでは!」 カイバ「ならば何故全力で迎え撃たない!相手に敬意を表すると言うならば、尚更全力を持って相手を叩き潰す!相手が全力を出すまで本気を出さないだと?それが侮辱以外の何だと言うのだ!!!」 亮「!!?」
そう。相手が全力を出し切るまで全力を出さないという亮の考えは、相手を思いやる、敬意を表するというリスペクトとは対極の位置にあるものであったのだ。
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Re: 異世界遊戯王大戦記GX(笑)第 ( No.71 ) |
- 日時: 2013/12/02 05:01:30
- 名前: ヘルマン
- 亮「お、俺は・・・俺は・・・っ!?」
亮は愕然として片手で額を押さえる。自分は何をしていたのかと・・・今まで自分のしてきた事に今更ながらに怒りを覚えた。
敬意を払うなどと大層な事を掲げていた癖に、実際にしていた事は己が実力に酔いしれ、相手を格下と決めつけ本気を出さずに”遊んでいた”のだ。
亮「俺は・・・なんという事を・・・」
遂に亮は膝を折り、両手を地に付けて蹲ってしまった。まるで今まで自分に挑んできたデュエリスト達に懺悔するように・・・。
カイバ「・・・・・・・・・(この程度か・・・ここで持ち直せば凡骨程度には認めてやろうと思ったが・・・戦意すら失ったか・・・つまらん)ふぅん。もはや「諦めんな!!!!!!」っ?」
カイバーマンの台詞をさえぎり、大声を張り上げる声のする方・・・亮の後方・・・レッド寮生が居る方へと視線を向けるカイバーマン。
十代「諦めんなよ!カイザー!!アンタは、アカデミアの皇帝(カイザー)何だぞ!今までがどうだったかなんて知らないけどよ!けど・・・だけど!俺や氷牙さんとデュエルした時はもっと楽しそうだったじゃねぇか!」
十代だ。常に楽しくデュエルをする事を信条にしているレッド寮のナンバー1と言える存在。
亮「十、代・・・?」 十代「今までがどうだったかは知らない。今までが間違いだって言われてそれをどう思うかは自分次第だ!もし自分でも間違ってるんだって言うなら、これから直せばいいじゃねえか!たったそれだけの事だろう!罪は消えなくても、償う事が出来る筈だろ!でも、ここで諦めちまえば・・・今までアンタに倒された奴はもっと惨めな思いをする事になるんだぞ!?それでもいいのかよ!?」
十代は思いの丈を亮にぶつける。今ここでアカデミアのカイザーがデュエルを諦める事は、アカデミアの生徒全員が目標とするカイザーの称号を汚す行為に他ならない。それだけはしてはいけない。と訴える様に叫んだ。
亮「罪は消せなくても・・・償える・・・己の行動をどう思うかは己次第・・・そうか・・・そうだな・・・間違って居たなら直せばいい。そんな簡単な事に気付けないとは・・・俺もまだまだという事か・・・」
十代の思いが通じたのか・・・亮はゆっくりと・・・だが、しっかりとその二本の足で大地に立つ。
もう・・・迷いは無い!
亮「サイバー・フェニックスの効果により・・・ドロオオオオオオオオオ!!!!」
シュピイイイン!!と勢い良くデッキからカードを引き抜く亮。
カイバ「(ほう・・・ここで持ち直すか・・・奴の啖呵で鼓舞されたか?)ふぅん。漸くか・・・ならば受けろ!2体目のブルーアイズの攻撃!!”滅びの爆裂疾風弾”!!」 亮「手札からモンスター効果発動!『速攻のかかし』!相手の直接攻撃宣言時に発動!このカードを墓地に捨て、相手モンスター1体の攻撃を無効にし、バトルフェイズを終了する!」
亮が引き当てたのはこのターンの攻撃を凌げるに足るカードであった。
カイバ「ふぅん。そうこなくてはな。ターンエンドだ!」手札0 亮「俺のターン。ドロー!・・・カードを1枚伏せ、魔法カード『天よりの宝札』!互いのプレイヤーは手札が6枚になる様にデッキからドローする!」
ここに来て、デュエルモンスターズ最強のドローソースを引き当てる亮。今、流れは亮に傾きつつある。
カイバ「ふぅん。面白い。互いに手札は0。この状況でそれを引き当てる貴様の引き・・・窮鼠猫を噛むといったところか?」手札6 亮「反撃させてもらう!」手札6
両者、互いに睨み合う。
亮「永続魔法『未来融合‐フューチャー・フュージョン』を発動!エクストラデッキから融合モンスターカード1枚を選択し、そのカードに指定された素材をデッキから墓地に送る事で、2ターン後の自分のスタンバイフェイズに特殊召喚出来る。俺は・・・『キメラテック・オーバー・ドラゴン』を選択!デッキから3体目の[サイバー・ドラゴン]と6体の機械族モンスターを墓地に送る!」
亮はデッキから「サイバー・ドラゴン」「サイバー・ドラゴン・ツヴァイ」2枚「サイバー・ドラゴン・ドライ」1枚「サイバー・ドラゴン・コア」3枚を墓地に送った。
亮「魔法カード『無欲な壺』を発動!墓地のカード2枚をデッキに戻し、その後でこのカードを除外する。俺は墓地の[サイバー・ドラゴン]2体をデッキに戻し、シャッフル。そして、墓地の[サイバー・ドラゴン・コア]の効果を発動!相手の場にのみモンスターが存在する時、このカードを墓地から除外する事で、デッキから[サイバー・ドラゴン]1体を特殊召喚出来る!来い!サイバー・ドラゴン!!!」
亮の場に、サイバー・ドラゴンが3度目の登場をして見せる。
亮「[サイバー・ドラゴン・ドライ]を召喚!効果発動!このカードが召喚に成功した時、俺の場のサイバー・ドラゴンのレベルは5になる。そして、サイバー・ドラゴン・ドライはフィールドと墓地ではサイバー・ドラゴンとして扱われる。よって、ドライのレベルは4から5に変更される!」
ドライ:ATK1800 ☆4→5
氷牙「レベル5が二体・・・エクシーズか!」 鏡夜「どうやら、アレを使うみたいだね・・・」
鏡夜は含みのある表情でデュエルを眺める。
亮「レベル5のサイバー・ドラゴン2体でオーバーレイ!2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築!エクシーズ召喚!!サイバー・ドラゴンよ。真の姿をここに現せ!!出でよ!『サイバー・ドラゴン・ノヴァ』!!!」手札3
『グルルル・・・グォォォォォオオオオオオオオオオオオ!!!!』
サイバー・ドラゴン・ノヴァ:ATK2100
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Re: 異世界遊戯王大戦記GX(笑)第X幕 ( No.72 ) |
- 日時: 2013/12/07 15:45:59
- 名前: カイナ
- 亮「サイバー・ドラゴン・ノヴァの効果発動! このカードのオーバーレイユニットを一つ使い、墓地から[サイバー・ドラゴン」を特殊召喚する! 俺はオーバーレイユニット、サイバー・ドラゴンを使用し、墓地から[サイバー・ドラゴン]を特殊召喚! そして、サイバー・ドラゴン・ノヴァのもう一つの効果発動! 一ターンに一度、自分の手札またはフィールド上のサイバー・ドラゴン一体を除外する事でこのカードの攻撃力を2100ポイントアップさせる!!」
サイバー・ドラゴン・ノヴァ 攻撃力:2100→4200 オーバーレイユニット数:2→1
カイバーマン「なに!?」
亮の場に姿を現したサイバー・ドラゴンがすぐさまノヴァへと吸収され、ノヴァが攻撃力を上昇する。
亮「バトル! サイバー・ドラゴン・ノヴァで蒼眼の銀竜を攻撃!! エヴォリューション・ノヴァ・バースト!!!」 カイバーマン「ぐおおぉぉぉっ!!!」LP4000→2300
ノヴァのブレスが蒼眼の銀竜を貫き、ついにカイバーマンへとダメージを与え、その攻撃の余波によりカイバーマンの装着していたマスクが吹っ飛ぶ。
翔「カイバーマンのマスクが!?」 十代「カイバーマンの正体が明らかになるのか!?」 ヴィヴィオ「既に代ちゃん以外みーんな分かってるけどね!」
翔の声に十代が今明かされる衝撃の真実とばかりの驚愕の表情で叫ぶとヴィヴィオが叫んでツッコミを入れる。
??「ふ、ふふ……はーっははははは!!!」
カイバーマンのマスクが弾け飛んだ男性は顔に手を当てながら突然高笑いを始める。
??「まさか、貴様如きがこの俺に傷をつけてくれるとはな……」
そう言い、男性は顔から手を離す。
海馬「いいだろう。ここからは本気で叩き潰してくれる!!!」
男性――海馬が亮を睨みつけ、吼える。
十代「そ、そんな……カイバーマンの正体が伝説のデュエリスト武藤遊戯さんの永遠のライバル、デュエルの貴公子海馬瀬人さんだったなんて!!」 ヴィヴィオ「いやだから、皆とっくに分かってるからね!!」
十代がわなわなと震えながら叫ぶとヴィヴィオは再び天然十代にツッコミを入れた。
亮「……俺は魔法カード[死者蘇生]を発動。墓地の[サイバー・ドラゴン]を守備表示で特殊召喚し、カードを一枚セット。ターンを終了します」手札二枚 サイバー・ドラゴン 守備力:1600
海馬「俺のターン、ドロー……ふぅん」
海馬はカードをドローし、鼻で笑う。
海馬「今ここでブルーアイズで攻撃を仕掛けたとて、恐らくサイバー・ドラゴン・ノヴァの攻撃力上昇効果を発動しサクリファイス・エスケープ及びノヴァの攻撃力上昇による戦闘破壊回避を狙うか……」
海馬は初めて見たノヴァの効果を現在の状況から素早く推察、にやりと笑って手札を一枚取った。
海馬「ならば二体ともに消えてもらう! 魔法発動[滅びの爆裂疾風弾]!! 俺の場にブルーアイズが存在する時、ブルーアイズの攻撃を封じる代わりに相手モンスター全てを破壊する!!! 俺の前に立ちはだかる敵を薙ぎ払え、ブルーアイズ!!!」
海馬が叫び、ブルーアイズ三体の口が開きその口内にエネルギーが溜まっていく。
亮「トラップ発動! 永続罠[サイバー・ネットワーク]!! 俺の場にサイバー・ドラゴンが存在する時、デッキから機械族・光属性モンスター1体を除外する! 俺が除外するのは[サイバー・ドラゴン・ドライ]!! そしてドライの効果発動! ドライがゲームから除外された時俺の場のサイバー・ドラゴン一体はこのターン戦闘またはカード効果によっては破壊されない!!」
亮は伏せていた永続罠からのコンボでサイバー・ドラゴンを守る。しかしノヴァは守りきる事が出来ず白龍のブレスで薙ぎ払われた。
亮「サイバー・ドラゴン・ノヴァのさらなる効果発動! このカードが相手の効果によって墓地へ送られた場合、機械族の融合モンスター1体をエクストラデッキから特殊召喚できる!!」
十代「まさか!?」
亮「出でよ、[サイバー・エンド・ドラゴン]!!!」 サイバー・エンド・ドラゴン 攻撃力:4000
だが亮はノヴァのさらなる特殊能力により自身のもっともリスペクトする存在――サイバー・エンド・ドラゴンを呼び出すことに成功する。
海馬「ふぅん。少しは面白くなってきたか……俺はリバースカードを一枚セットし、ターンエンドだ」手札五枚
亮「俺のターン、ドロー! 俺は魔法カード[強欲な壺]を発動! カードを二枚ドロー! よし、速攻魔法[サイバネティック・フュージョン・サポート]発動! ライフポイントをコストにし、このターン自分が機械族の融合モンスターを融合召喚する場合に一度だけ、その融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを自分の手札・フィールド上・墓地から選んでゲームから除外し、これらを融合素材にできる! 魔法カード[融合]を発動! 俺は墓地の[サイバー・ドラゴン]と[サイバー・ドラゴン・コア]二体を除外融合! サイバー・ドラゴン・コアは墓地に存在する時カード名をサイバー・ドラゴンとして扱う!! 出でよ、[サイバー・エンド・ドラゴン]!!!」LP1900→950 サイバー・エンド・ドラゴン 攻撃力:4000
亮の場にもう一体のサイバー・エンド・ドラゴンが姿を現した。
亮「バトルだ! サイバー・エンド・ドラゴンで青眼の白龍を攻撃!! エターナル・エヴォリューション・バースト!!!」
亮が攻撃指示を出し、三つ首の機械竜が三つの頭からブレスを撃ち放ち青眼の白龍を呑み込む。しかしその次の瞬間ブレスが何かの力によって爆散、辺りがブレスの閃光で眩い光に照らされる。
亮「な、なんだ!?」
閃光から目を守るように腕を顔を覆う亮は驚愕の声を放つ。しかしブレスが爆散しただけにしてはなかなか閃光が消えず、亮は少しずつその閃光をゆっくり見ていく。
亮「なっ!?」
そこには三体のブルーアイズが……いや、三本の首を持つ白き竜が眩い光を放っていた。その主の場では一枚のカードが翻っている。
海馬「俺は貴様の攻撃宣言時にリバースカードを発動していた! [機械じかけのマジックミラー]!! この効果により俺は貴様の墓地から魔法カード[融合]を発動していたのだ!!」
亮「な……まさか……」
海馬「これぞ史上最強絶美の究極モンスター、[青眼の究極竜]!!!」 青眼の究極竜 攻撃力:4500
亮「く……俺はサイバー・ネットワークの効果でデッキから[サイバー・ドラゴン]をゲームから除外し、ターンエンド!」手札一枚
彼の場に姿を現した究極竜に亮は唸り、サイバー・ネットワークで除外ゾーンを肥やしてからターンエンドを宣言した。
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Re: 異世界遊戯王大戦記GX(笑)第X幕 ( No.73 ) |
- 日時: 2013/12/07 15:47:21
- 名前: カイナ
- 海馬「俺のターン、ドロー! ふん、バトルだ! アルティメット・ドラゴンでサイバー・エンド・ドラゴンを攻撃!! アルティメット・バースト!!!」
亮「ぐああぁぁぁぁっ!!!」LP950→450
究極竜の三つの頭から放たれたブレスが三つ首の機械竜を打ち砕き、亮にダメージを与える。
海馬「俺はリバースカードを二枚セットし、ターンエンド!」手札四枚 亮「俺のターン、ドロー! このスタンバイフェイズに未来融合−フューチャー・フュージョンの効果発動! 俺は[キメラテック・オーバー・ドラゴン]を融合召喚!!」
亮の宣言と共に、彼の場に黒き機械竜が姿を現した。
亮「キメラテック・オーバー・ドラゴンの効果発動! このカードが融合召喚に成功した時、このカード以外の自分フィールド上のカードを全て墓地へ送る。もちろん、未来融合も墓地に置かれ、未来融合がフィールドを離れた時、キメラテックは自壊します」
翔「そんな!?」
現れた黒き機械竜はその暴虐の力により自らの存在をフィールドに現す源であるカードさえ破壊してしまい、自ら消え去っていく。それに翔は悲鳴を上げるが、亮が「だが」と不敵に笑った。
亮「この時、キメラテックの効果により墓地へ送られたサイバー・ネットワークの効果発動! このカードがフィールド上から墓地へ送られた時、除外されている自分の機械族・光属性モンスターを可能な限り特殊召喚し、自分の魔法・罠カードを全て破壊する! 俺はゲームから除外されているサイバー・ドラゴン二体、サイバー・ドラゴン・ドライ、サイバー・ドラゴン・コア二体を特殊召喚!! この効果で特殊召喚したモンスターは効果を発動できない」 サイバー・ドラゴン ×2 攻撃力:2100 サイバー・ドラゴン・ドライ 攻撃力:1800 サイバー・ドラゴン・コア ×2 攻撃力:400
十代「サイバー・ドラゴンシリーズが一気に五体!?」
亮「魔法カード[壺の中の魔術書]を発動! 互いのプレイヤーはデッキからカードを三枚までドローする! 三枚ドロー!」 海馬「ふん、施しを受けるつもりはないが……三枚ドロー!」 亮「魔法カード[魔法石の採掘]! 手札二枚をコストに墓地から魔法カードを一枚手札に加える! 俺は[貪欲な壺]を手札に加え、発動! 墓地のサイバー・エンド・ドラゴン二体、キメラテック・オーバー・ドラゴン、サイバー・ドラゴン・ノヴァ、速攻のかかしをデッキに戻し、カードを二枚ドロー!」
亮は一気に怒涛のドローコンボを見せ、手札をさっと見るとうんと頷いた。
亮「魔法カード[パワー・ボンド]を発動! このカードは機械族モンスターを融合召喚する! 俺はフィールドに存在する限りサイバー・ドラゴンとして扱うサイバー・ドラゴン・ドライとサイバー・ドラゴン・コア二体を融合!!」
翔「えっ!? サイバー・ネットワークの効果でその効果は……」 氷牙「いや、サイバー・ネットワークの効果は特殊召喚したモンスターの効果を無効にするのではなく、発動させなくする事。効果そのものが無効になるわけではない」 鏡夜「今回の例で言えばサイバー・ドラゴン・コア達の永続効果は無効にならない」
亮「出でよ、[サイバー・エンド・ドラゴン]!!! パワー・ボンドの効果で攻撃力は倍になる!!! さらに二体のサイバー・ドラゴンでオーバーレイ! 二体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築! エクシーズ召喚!! 来い、[サイバー・ドラゴン・ノヴァ]!!! オーバーレイユニットを一つ使い、[サイバー・ドラゴン]を特殊召喚!」 サイバー・エンド・ドラゴン 攻撃力:4000→8000 サイバー・ドラゴン・ノヴァ 攻撃力:2100 オーバーレイユニット数:2→1 サイバー・ドラゴン 守備力:1600
亮は一気に再び自らの新旧切り札とその素材を呼び出した。
亮「サイバー・ネットワークの特殊召喚効果を発動するターン、自分はバトルフェイズを行えない。俺は[サイバー・ジラフ]を召喚し、ジラフをリリースする事でこのターン受ける効果ダメージを0にする。ターンエンド」 海馬「俺のターン、ドロー!」
亮の場に切り札が立ち並び、海馬はデッキからカードをドローすると合計八枚にまで増えた手札を見る。
海馬「魔法カード[闇の量産工場]を発動。墓地から通常モンスター、[青眼の白龍]二体を手札に加える。さらに魔法カード[融合]を発動! 手札の[神竜ラグナロク]と[ロード・オブ・ドラゴン−ドラゴンの支配者]を融合し、[竜魔神 キング・ドラグーン]を融合召喚! キング・ドラグーンの効果で手札から[青眼の白龍]を特殊召喚! 魔法カード[スター・ブラスト]を発動! 500の倍数ライフポイントを支払い、自分の手札または自分フィールド上に表側表示で存在するモンスター一体のモンスターのレベルをエンドフェイズ時まで、払ったライフポイント500ポイントにつき一つ下げる! 俺は2000ライフを支払い、手札の[青眼の白龍]のレベルを4つ下げる!」LP2300→300 青眼の白龍 レベル8→4
万丈目「これで青眼の白龍の召喚にリリースが必要なくなった!」 三沢「しかし、同時にライフも風前の灯火!!」
海馬「青眼の白龍を召喚!!!」 青眼の白龍 攻撃力:3000
怒涛のコンボにより海馬の場に青眼の白龍とその融合体が並んだ。と、海馬は警戒を強めている亮を見る。
海馬「丸藤亮、と言ったな? まさか、この俺が何の意味もなくライフを削ったと思っているわけではあるまい」 亮「……」
海馬の言葉に亮はさらに警戒を強め、海馬はニヤリと笑って手札の一枚を取った。
海馬「魔法カード[巨大化]を[青眼の白龍]に装備!! 俺のライフポイントが相手より少ない場合、装備モンスターの攻撃力は元々の攻撃力を倍にした数値になる!!」 青眼の白龍 攻撃力:3000→6000
三沢「そうか! 巨大化による攻撃力倍を狙い、見越した上でのスター・ブラスト!」 万丈目「だが、ならば何故究極竜に巨大化を使わない?……」
海馬「魔法カード[受け継がれる力]を発動! 俺の場のブルーアイズ一体を生け贄に捧げ、巨大化を装備したブルーアイズの攻撃力を生け贄に捧げたモンスターの攻撃力分アップさせる!!」 青眼の白龍 攻撃力:6000→9000
ヴィヴィオ「攻撃力9000!?」 十代「パワー・ボンドの効果を受けたサイバー・エンド・ドラゴンを超えた……」
海馬のプレイングに学生達が驚愕や疑問の声を漏らす。しかし海馬はかまわず「バトルだ!」と戦闘に入る事を宣言した。
海馬「青眼の白龍でサイバー・エンド・ドラゴンに攻撃!! 滅びのバーストストリーム!!!」
亮「リバースカードオープン[月の書]!! 俺は、サイバー・エンド・ドラゴンを裏守備表示に変更!!」
翔「な、なんで!?」 鏡夜「キング・ドラグーンの効果により海馬君の場のドラゴン族モンスターは亮君の魔法・罠・モンスター効果の対象とならない。つまり月の書は今海馬君のモンスターには通じず、亮君は自分のモンスターを守備表示にして戦闘ダメージを防ぐしかないんだ」 翔「……で、でも耐えたっす!」
ブルーアイズの一撃を亮はサイバー・エンド・ドラゴンが破壊されつつも耐え、翔はまだ兄の反撃を信じているように叫ぶ。
海馬「リバースカードオープン[破壊神の系譜]!!!」
しかし海馬はその奇跡を信じる思いを断ち切るようにリバースカードを発動した。
海馬「相手フィールド上に守備表示で存在するモンスターを破壊したターン、自分フィールド上に表側表示で存在するレベル8のモンスター一体を選択して発動する。このターン、選択したモンスターは一度のバトルフェイズ中に二回攻撃する事ができる!!!」
万丈目「な……」 三沢「まさか、ここまで計算して青眼の白龍を強化したというのか……」
海馬「青眼の白龍でサイバー・ドラゴン・ノヴァを攻撃!!」
海馬の全てを見通しているかのようなコンボに万丈目と三沢のコンビが絶句し、海馬は連続攻撃を宣言。
亮「サイバー・ドラゴン・ノヴァの効果発動! サイバー・ドラゴンを除外し、攻撃力を2100ポイントアップ! 迎え撃て、サイバー・ドラゴン・ノヴァ!! エヴォリューション・ノヴァ・バースト!!」 サイバー・ドラゴン・ノヴァ 攻撃力:2100→4200 海馬「粉砕しろ! ブルーアイズ!! 滅びのバーストストリーム!!!」
二人の切り札が激突。そのブレスは一瞬拮抗するものの、次の瞬間にはブルーアイズのブレスが押していき、ノヴァはついにそのブレスを受けて爆散。
亮「ぐああああぁぁぁぁぁっ!!!」LP450→0
悲鳴と共に亮のライフが0を示し、このデュエルは終結した。
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Re: 異世界遊戯王大戦記GX(笑)第X幕 ( No.74 ) |
- 日時: 2013/12/20 04:08:20
- 名前: 孝(たか)
- 静寂・・・
一同は己が目の前に繰り広げられた青眼の雄姿に見惚れ、余韻に浸る。
それは数秒の事だったのか・・・数時間に及ぶ静寂だったのか?
しかし、彼らには一瞬でありながら永遠とも言える静寂を・・・突き破る
『『『『『おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!!!!!!!!』』』』』
大地が震えたと錯覚出来る程の大歓声。
機械龍と白龍の戦いを目に焼き付け、決着を見届けた一同の興奮はさめやらない。
海馬「ふぅん。」
一言。・・・海馬がいつもの口癖を1つ行うと、観客の大歓声はピタリと止む。
海馬「学生にしては楽しめたぞ。この俺のライフを半分以上削ったのは貴様で丁度10人目だ。光栄に思うがいい。貴様はあの凡骨より楽しめた。これからも精進する事だな」
ばさりとマントを翻し、亮の返事を聞く事も無く舞台から降りて行く。
亮「・・・・・・ふぅ〜〜〜」
緊張の糸が切れ、珍しく亮は尻もちを付く。それほどまでに緊張していたのかと今更ながらに思い、そんな自分に苦笑する。
鏡夜「お疲れ様。」
よっこいしょと腰の抜けた亮に肩を貸して舞台から揃って降りる。
亮「す、すみません鏡夜さん。」 鏡夜「気にする事無いよ。それより、凄いじゃない。亮君は、城之内君と同じ位だって海馬君に認めさせたんだから。」
ニコニコと鏡夜は亮に告げる。伝説のデュエリストに実力者と認められたのだから・・・と。
亮「どう言う・・・事ですか?」 鏡夜「海馬君が凡骨云々って言うのはね、城之内君を基準に実力を測ってるんだ。つまり、プロデュエリスト相手にもそれなりに通用するって言う海馬君なりの遠回しな褒め言葉なんだよ。」
口ではあーだこーだ言っている割に、一応その実力は買っている海馬は何とも面倒くさい性格をしているのだろう。
それから舞台から降りると亮は仲間達から労いの言葉を貰い、気持ちを新たにする。
亮「(俺は、今度こそ真のリスペクトデュエルを目指す。それを気付かせてくれた海馬さんや、氷牙さん、鏡夜さんに恥をかかせない為に・・・)」
氷牙「さぁ!このまま興奮冷めやらない内に、さっきのデュエルに負けないくらいの白熱したデュエルをしてやろうじゃねぇか!!」
そう言って氷牙はマイク片手に舞台に上がり・・・声高らかに次の挑戦者を募集するのだった・・・。
ちょっと時間を置いて・・・レッド寮寄りの舞台の裏側。
海馬「・・・ふぅん。エクシーズ召喚。それなりに楽しめる相手だった。だが、この俺の敵ではないな。」 鏡夜「よく言うよ。結構焦ってたくせに(笑)」
にゅっと海馬の背後から現れる鏡夜。今日も彼は平常運転だ。
海馬「いちいち人の死角に入るのはやめろと言っている!」 鏡夜「まぁ良いじゃん。・・・で?どうだった?アレが、今のブルー寮の最強クラスなんだけど・・・?」
言われ、海馬は黙考する。
海馬「タクティクスは認めてやろう。だが、メンタルが些か弱いのではないか?アレではプロリーグ辺りで挫折する可能性が高い。」 鏡夜「あ〜〜それは亮君というより、彼の周り(ブルー生徒)がヘタレ過ぎるだけだから。その方面が鍛えられなかったんだよ。まぁ、その辺はこれから矯正していくから・・・後は・・・ね?」
分かってるよね?と海馬に問う鏡夜。
海馬「・・・ふぅん。来たついでだ。連れて行け。」 鏡夜「はいはい。ま、流石に君の一喝なら耳を傾けるかもね。遠慮はいらないよ?完膚なきまでに全☆力☆全☆壊で叩き潰すといいよ?ブルーのヘタレエリートバカガキ共(笑)」
背筋が凍る程の超黒い笑顔で返す鏡夜。氷牙達ほどではないが、一応それなりに付き合いの長い海馬も、例に漏れず鏡夜の笑顔には冷や汗をかかずにはいられないのであった。
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