Re: 異世界遊戯王大戦記GX(笑)第 ( No.85 ) |
- 日時: 2014/02/23 06:24:05
- 名前: 孝(たか)
- 古代妖精竜[どういう、ことですか?]
ヴァルツ「……見ていれば、わかりますよ。」
ヴァルツはどこか遠い眼をしながらエンシェント・フェアリー・ドラゴンから視線を外す。
心なしか、ヴァルツの表情も疲れ切った様な顔をしている。恐らく、当時の事を思い出して呆れていいのか感心していいのか迷っているのだろう。
氷牙「……」 ベア「人間如きが…図に乗るなあああああああ!!!!!」
無言で近づいてくる氷牙(着ていたコスプレ衣装は闇の壁に触れた時にボロボロになっていたのでブースターとメットだけ外している。)に苛立ちを覚えたベアトリクスはシグナーの龍達から受けた痛みを振り払うように、右腕に魔力を集中させて剣の形へと変える。
そのまま氷牙に向かって飛びかかり、その魔力剣を振り下ろした。
エヴァ「…無知とは、愚かな事だな。」
ベアトリクスの不用意な接近に、エヴァンジェリンはベアトリクスを哀れな表情で見やる。
ペチっ。
軽い。飛んでいる虫を払う様な軽い動作でベアトリクスの振り降ろした魔力剣の腹を叩く氷牙。
ただそれだけで、文字通り地に足の付いていないベアトリクスは大きく体勢を崩す。
ベア「……は?」
クルンっと無防備に氷牙に背中を曝し、自身の視界の天と地が逆さになった事に茫然としてしまう。
次の瞬間・・・ズゴン!!!!!!!
ベアトリクスの背中に大砲でも放たれたかのような衝撃が襲う。
ベア「がうっ!?!!!」
空中で仰け反る様な姿勢で吹き飛ばされ、進行方向にあった森の木(太さ20センチはある)を3本ほどへし折り、漸く止まる。
ベア「がっ!?ぐ・・・(な、なんだ?・・・何が、起きた?)!!?!?」
背中に衝撃が来たと思った瞬間、木を3つへし折って漸く止まったと認識すると、それによって受けた胴体に走る強烈な痛みを知覚する。
そんなベアトリクスを見ても、ザ、ザ、ザっとゆっくりと歩を進める氷牙。
ベア「っ!?…貴様、何、を…?」 氷牙「何を?ただお前の剣を払って背中を殴っただけだ。」
何を当たり前の事を?と事も無げに言う氷牙に対して、ベアトリクスは眼を見開くしかない。 当たり前だ。ただの人間が、吸血鬼の強靭な肉体を前にして1発殴っただけで大ダメージを与えたのだ。驚くなと言う方が無理なのだ。
氷牙「来いよド3いや、5流の吸血鬼モドキ。お前程度、素手で十分だ。」
言って、氷牙は残っていたコスプレ衣装の上半身部分を破り捨て、腕に付けていたガントレットも外す。 所謂カンフースタイルだ。
クイクイっと、利き手で挑発する氷牙。
舐められている。人間と言う脆弱な存在に、強靭な肉体を持つ自身が人間如きに…それは、ベアトリクスにとって許されない事であった。
ベア「5、流?私が・・・?ふ、ふざけるなああああああああああああ!!!!!!!」
またも激昂したベアトリクスは、両手に魔力剣を纏わせ、氷牙に突撃する。
我武者羅に剣を振りまわすベアトリクスに対し、氷牙は腕を組んだまま右足1本で全て防ぎ続ける。既に氷牙の右足は霞んで見える。
ガガガッガガッガガガガッガガガ!!!!
数合、剣の腹と足がぶつかり合う。
ゼェハァと息が上がって来ているベアトリクスとは対照的に、氷牙は欠伸までする余裕があるくらいだ。
ベア「な、なんなんだ・・・貴様、いったい、なんなんだ!?!?何なのだああああああああ!!!」 氷牙「黙れ雑魚。」
両の魔力剣を一つに合わせ、斬艦刀の様な巨大な剣へと変えると、大上段から振り下ろす。
しかし、氷牙はそれが振り下ろされる直前にベアトリクスの懐に潜り込むと、膝蹴りで顎を打ち抜く。
ベア「!”#$%?!!?!」
ガチンッ!!大口を開けていたベアトリクスは、顎を蹴られた事で舌を噛み切り、歯が数本砕け、血を滴らせる。
魔力剣は霧散し、再び仰け反った状態で宙を舞うベアトリクス。
だが、それだけで終わる筈がない。
背中から地に叩きつけられる前に姿勢を低くした氷牙が地面とベアトリクスの背の間に滑り込む様に潜り込むと、その背中を打ち砕かんとばかりに強烈なアッパーを最初の一撃を入れた背中に抉りこむ様に放つ。
ドガン!!!!!!
ベア「ごぉっ!!!??!!?!」
そのままベアトリクスは強制的に8メートル程宙へ打ち上げられた。だが、それよりも更に速い速度で跳び上がった氷牙がベアトリクスを追い越し、身体を丸めて空中前転により勢いを付けて・・・無防備な腹部へ踵をめり込ませた。
ベア「ごぅぇっ”#$%)&%$?!!?」
声にならない声で呻くとほぼ同時に地面へ叩きつけられる。 凡そ10メートルの高さから勢いよく叩きつけられたのだ。如何な吸血鬼の肉体と言えど、痛みを感じないわけではない。
背中を殴られ、木を3本折りながらの腹部への打撲、再び背を殴られ、腹を蹴られ、地面に叩きつけられる。ほんの数分で既に満身創痍と言っていい程のダメージを受けている。
古代妖精竜[・・・し、信じられません。彼は、本当に人間ですか?] ヴァルツ「遺憾ながら、アレでも、列記とした人間なのです。ええ。実に遺憾ながら・・・」
声色から認めたくないが認めざるを得ない程に、彼は理解してしまっているのだ。 氷牙という人物を・・・その周りに居る類友という存在達を・・・。
氷牙「立てよ。俺の怒りは、この程度じゃ収まらねぇぞ・・・?」 ベア「ヒッ!?」
無表情でベアトリクスを見やる氷牙に、とうとう恐怖で短い悲鳴を上げてしまう。
身体の痛みを気にしてる余裕はなく、氷牙が一歩近づくごとに後ずさりを始めるベアトリクス。
ベア「あ・・・ああ・・・うああああああああああああああ!!!!!!!!!!!」
無様にも氷牙に背を向けて走り出そうとするが、恐怖と痛みで足に力が入らず、這いずる様に逃げる様は滑稽と言える。 しかし、すぐに思い出したとでも言う様に蝙蝠を呼び出し、纏わせるとベアトリクスの身体に見合う大きな翼となる。
そう、手足に力が入らないなら、空へと逃げればいいと・・・
上空に舞い上がり、ある程度距離が取れると、ベアトリクスの口から率直な思いがこぼれる
ベア「ひぁ!ヒィィ!な、何なんだ!?何なのだアレは!?あんな・・・アレが、人間!?違う・・・化け物・・・悪魔だ!!」
上空50メートルは離れて居るであろう位置から、しかし氷牙の眼はベアトリクスをハッキリと捉えている。
氷牙「…逃さすわけねぇだろ。」
氷牙は何処からともなく愛槍・ガングニールを取り出す。 今、ズボンしか穿いていないのにどこから出したのだろうか?
ジャキンと、槍が中心から左右に開く様に展開され、ガチンとロックされる音が鳴ると、まるで両端に刃のある薙刀の様な形になる。 そして、刃の腹の丁度中心辺りがコキリとこ気味の良い音を鳴らすと、中心から折れ曲がる。 そして、刃の先端と先端を繋ぐように弦が現れ、まるでアルファベットのWを描く様なメカメカしい弓へと変貌したのだ。
矢を番えず、弦を引く氷牙。途端に、球体のプラズマの様な物が弓の先端に現れる。
そして、氷牙が弦を引けば引く程、そのプラズマは肥大化していく・・・人間の構造上、これ以上引けないというところまで引き絞ると・・・空へ逃げているベアトリクスに標準を合わせる。
氷牙「駆けろ・・・隼・・・。」
引き絞った弦を離すと・・・発生したプラズマは荷電粒子砲となってベアトリクスに向かい・・・
ベア「んな?!ぐぎゃああああああああああああああああああああああああ!?!?!!!?!?」
意図もあっさりとベアトリクスを呑み込んだ。
ボロボロになったベアトリクスは、そのまま頭から自由落下してくる。 そして氷牙は、クラウチングスタートの構えをとると・・・落下地点と予想される位置に向けて・・・ギュン!!!
かき消える様にその場から居なくなると・・・次の瞬間には落下まで後1メートルもない位置にまで落下してきたベアトリクスの背に向けて、飛び蹴りを放っていた。
氷牙「ダイナミック・エントリー!!!」
ゴキッ!!!!!!!!!!
既に意識を失っていたベアトリクスの背骨を蹴り砕き、そのまま森の入口付近にある大岩へと叩き潰すのだった。
ベア「ぐぅあ”あ”あ”あ”あ”あ”ああ”ぁ!!!!!!!!!!あ・・・ああ・・・ご、ぶ・・・・・・・・・」
大岩と足に挟まれ、骨を砕かれ、断末魔を上げ、呻き、血を吐き・・・完全に意識を手放した。
氷牙「力の真意も知らぬ雑魚が、強者を騙るな・・・愚図が。」
闇の力を取り込んで強大な力を得た吸血鬼を、無傷で完封して見せた。
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Re: 異世界遊戯王大戦記GX(笑)第 ( No.86 ) |
- 日時: 2014/02/24 05:27:12
- 名前: 孝(たか)
- 氷牙「ふんっ・・・」
ピンッと、肩にかかっていた一房に纏めている髪を親指で弾くと、眼を閉じたまま振り返って十代達の元へ歩いてゆく。
つまり、トドメはエヴァンジェリンに任せるという事だろう。彼女も、ベアトリクスとは決着を付けたがっているのだから。
十代「す、すげぇ・・・」 ライ「あっという間、だったな。」
頬に一筋の汗を垂らし、率直な感想を述べる2人。
亮「前々から常識外れの人だとは思っていたが・・・ここまでとは」 三沢「常識の範疇で納めていいのか分からない。」
無理にでも常識に捉えようとする者もいるが、それこそが間違いと言う物の様な気がしないでもない。
焔「あ〜小さい時から知ってたけど・・・ヤクザの若頭の父ちゃんより生傷多いのはこういう事ばっかやってたからなのかぁ・・・納得納得」 吹雪「いや、そんな焦燥しきった表情で言う事じゃないと思うけど・・・」
ふと零れた焔の言に吹雪も冷や汗を垂らしながらツッコミをせざるを得なかった。 因みに、吹雪は亮と一緒に来ていたのだが、未だ療養中の為に見学していたのだ。
氷牙「ふん。あの程度なら、レオや剣一でも余裕で倒せる。まぁ流石に空に逃げられたら俺や鏡夜とかの領分ではあるが、些細な違いだな。」
近くまで戻ってきた氷牙は子供達の口から零れた疑問を適当に返す。
レオ「お疲れっす。先輩」 凛「はい。予備の着替えです。」
レオは戻ってきた氷牙にタオルとドリンクを、凛はレッド寮にある着替えと白衣を持ってきた。 それを受け取った氷牙は適当に汗を拭くとさっさと着替えながら水分を補給する。
因みに、未だガングニールを手に持ったままだ。
氷牙「さて・・・後は頼んだぞ。キティ。」 エヴァ「また、その名で呼ぶのだな・・・まぁいい。”手加減”、感謝する」
そう、忘れているかもしれないが氷牙はアレで手加減した状態なのだ。本気を出したならば・・・一体どうなっていたのだろうか?
翔「アレで手加減してたんすか!?」 美海「氷牙おじさんは・・・30メートルくらい離れたライフルの弾も、掴み取れるって聞いた事・・・ある。」 翔「ライフルを!?マッハ2か3は出てる筈でしょう!?どんな反応速度でどんな視力があればそんな事が可能になるの!?氷牙先生って本当に人間っすか!?」
少々失礼な物いいかもしれないが、当然の反応である。もう既に氷牙は化け物と言っても過言ではないだろう。
氷牙「まぁ、一応?」 翔「自覚あるんすか!?」
翔達の話声が聞こえたのか返答する氷牙。彼自身も、自分が普通の人間から外れている事は自覚しているらしい。
氷牙「まぁ俺が今みたいになるように体鍛えたのはガキの頃、よく苛めに会ってたからってのが理由だけどな。」 隼人「今のアレを見て苛めに会ってた時期があるという事の方が信じられないんだなぁ…」
なんだか久々に登場した気がする隼人にまで言われる始末。
氷牙「あっははははは・・・俺、保育園から中二くらいまでは隼人みたいな体形だったんだぜ?昔はキモいだとかウザイだとか臭いだとかトロいだとか死ねだの言われるわ体育倉庫に一晩閉じ込められるわ。修学旅行先でワザと置き去りにされるわ、プールで溺れされかけるわ。殴る、蹴る、刺す、物捨てる。机隠される。落書きされる、カツアゲされるなんてザラだったぞ?しかも教師は素知らぬ振りっつう屑共だったし。」
何ともヘヴィな義務教育期間である。良くそれだけの事をされて自殺とかを考えなかったなと思わないでもない子供たちだった。
隼人「そ、それで・・・結局どうなったんだなぁ」 氷牙「俺はお婆ちゃん子でな。ずっと婆様(ばばさま)にべったりだったんだが、身体に痣ができ始めてから避けてたら・・・不審に思った婆様が風呂に入ってる時に鍵開けてきて体中の痣がバレた。」 翔「そ、それで・・・?」
なんとなく予想出来るが怖いもの聞きたさで続きを促す翔。
氷牙「もう、大変大変。4日後にいじめっ子達集めて2時間説教。それ聞いた親がそんな事してる筈がないとか俺が嘘ついてるだとか言いだされてな。」 アルフ「??なんで4日後?その日の内か翌日にでもすると思うんだけど・・・」
大変だという割に、4日も期間が空いたのは何故なのかと疑問が出来る。
氷牙「・・・証拠集めの為に4日間の俺に対するイジメを盗聴したんだよ。服の一部に盗聴器を縫い込んで、決定的な証拠を掴む為にな。で、さっきの話に戻る訳だ。」 風華「つまり、その場で服に縫い込ませた盗聴器を出して見せたの?」
氷牙「風華正解。しかも、最初にする事は教師に助けを請う様にするってな。んで、盗聴器に録音されていた物が証拠になって・・・イジメなんて無かったという教師の言い訳が全て嘘だった事、いじめっ子のやらかした事、カツアゲした金額。ぜ〜〜〜んぶバレたって訳よ。裁判まで起こしてな。」 風華「ヴィヴィオの曾お婆ちゃん・・・凄い行動力だったんだね。」
氷牙「因みの因みに、その学校は信用を失って崩壊した。」 翔「そこまで!?」 氷牙「その後も大変だったなぁ・・・婆様にイジメを受けない様に強くなれって言われて・・・(ガタガタブルブル)」
当時の事を思い出したのか脂汗が大量に流れ、顔面は蒼白になりガタガタ震えだした。 吸血鬼よりも自身の祖母の方が恐怖を感じるとはどれ程の事をされたのだろうか・・・と言うところまで考えて子供達はそれを放棄した。きっと知らない方が幸せな様な気がしたから・・・。
そんなこんなで氷牙の重い思い出話をしてエヴァンジェリンとベアトリクスから気を引いている頃・・・エヴァンジェリンはベアトリクスを見降ろしていた。
ベア「ぐ・・・が・・・」
数秒して、強靭な吸血鬼の肉体のせいで死なずに意識を取り戻したベアトリクスは激痛で呻く。
エヴァ「無様だなベアトリクス。闇の力に溺れ、驕り昂った挙句に人間に敗れ、情けまで掛けられる始末。さぞ口惜しい事だろうさ。」
腕を組んで見下し、嘲笑う。事実であり、しかも下等と侮っていた人間に瞬殺され、挙句恐怖を刷り込まれたのだ。ぐうの音も出ない。
エヴァ「私の心の闇から産まれたと言ったな?せめてもの慈悲だ。今、楽にしてやる。」
スッと利き手に魔力を纏わせ、剣と成す。
エヴァ「さらばだ。我が心の闇。貴様の名は、忘れるまでは覚えておいてやる。私の汚点としてな。」
ザン!!!
躊躇など微塵も見せずに己が半身とも言えるベアトリクスを切り裂くと・・・遂に息絶えたのかまるで霧の様に霧散していった。
エヴァ「・・・漸く・・・終わったか・・・。っ!?」
ガクリ・・・ドサッ・・・
とうとうエヴァンジェリンは、闇のデュエルで負ったダメージにより、ベアトリクスを葬った後に倒れ伏すのだった。
残るセブンスターズは・・・4人。
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Re: 異世界遊戯王大戦記GX(笑)第X幕 ( No.87 ) |
- 日時: 2014/03/01 03:45:14
- 名前: 孝(たか)
- ドサリ・・・
ベアトリクスにトドメを刺す所を見せぬように自身の過去話をして視線を集めていた氷牙は不意に耳に届いた音に気付いて振り返る。
そこには、ベアトリクスの姿は無くエヴァンジェリンが倒れているという軽く衝撃的なものだった。
氷牙「キティ!!?」 ヴィオ「エヴァンジェリンさん!?」
すぐさまエヴァンジェリンの元へ駆けつける氷牙達。いち早く到着した氷牙はエヴァンジェリンを抱き起す。
氷牙「キティ!何があった!?」 エヴァ「はは・・・心配、するな・・・闇のデュエルの、後遺症だ・・・」
先のベアトリクス達との闇のデュエルで受けたカオスナンバーズの圧倒的な力が思った以上にエヴァンジェリンにダメージを与えていたようだ。
ボロ・・・
氷牙「なっ!?」 十代「エヴァンジェリンの腕が・・・!?」
十代の言うとおり、エヴァンジェリンの腕の一部が炭化していき、ボロボロとゆっくりと崩壊し始めていた。
カイ「カオスナンバーズ・・・いや、地縛神とベアトリクスの力で作られたRUMのせいか」 氷牙「どう言う事だ!?」
ナンバーズについて一番知識があるのはカイとカノンノだ。ランクアップマジックの存在を知っていて話していないのは、それ程強力な力を秘めているからという事を考慮すれば弁解の余地はあるが、不死生物である真祖の吸血鬼であるエヴァンジェリンがここまでの傷を負っているのを見てしまっては、黙っている訳にはいかなかった。
カイ「本来、ランクアップはナンバーズやエクシーズモンスターの力を引き出し、一段階上の存在に進化する力・・・可能性の力なんです。ですが、奴らが使ったのは闇の力。悪意に染まった力で与えられたもので、文字通り・・・”悪魔に魂を売る行為”なんですよ。」
レオ「そう言う事か・・・手っ取り早く強くなるなら、単純に力に頼ればいいだけの話。銃や戦車が生まれたのと一緒か。」 エルフィ「強過ぎる力は災いを呼ぶ。って奴ね」
カイの話を聞いて納得する一同。所詮、善でも悪でも、強大な力とは厄介な物である。
氷牙「カイ。どうにかしてキティを救う事は出来ないか?」 カイ「・・・精霊としての力を十全に使える状態なら、崩壊を遅らせる事くらいは出来ますが・・・疲労した今の俺達にはそれだけの力も残ってません。」
悔しそうに顔を歪め、首を振って無理だと答えるしか、今のカイに出来る事はなかった。
氷牙「・・・だったら・・・・・・・これでどうだあああああああああああああ!!!!」
ジャキ・・・ドシュッッッ!!!
未だに持っていたガングニールの刃を右腕に突き刺す氷牙。勢い良く突き刺した事で、刃が腕を貫通し、ダバダバと血が溢れ出る。
『『『ッッ!!?!?』』』
いきなり自分の腕を傷付ける氷牙の奇行に子供達は驚愕する。
三沢「・・・そうか!吸血鬼の生命力は血液!氷牙さんの様な化け物級の生命力に満ち満ちている血液ならもしや!?」 レオ「三沢、ドサクサに紛れて結構酷い事言ってないか?まぁ確かに化け物並みだけども・・・」
三沢もこのショッキングな場面に立ち会って動揺を隠しきれないのかうっかり本音が出てしまうが、レオの方も自分の事を棚に上げて失礼な事をのたまって居た。
氷牙「キティ!コイツでなんとかなるか!?」
言って、氷牙は傷口をエヴァンジェリンの口元に持って行き、直接血を垂れ流す。
エヴァ「う・・・あ・・・ん、く・・・ちゅぅ・・・ぴちゃ、ぴちゅ・・・ん、ちゅる・・・」
ボタボタと流れた氷牙の血が喉を伝い、魔力に変換されるとエヴァンジェリンの生命力を満たしていく。 腕の崩壊が止まり、徐々に再生が始まる。閉じかけていた瞼を開き、目の前にあった血の滴る氷牙の腕に自ら吸いつく。
まるで美酒に酔ったかのように頬を朱に染め、厭らしく音をたてながら少しずつ傷口から氷牙の血を飲むエヴァンジェリン。
漸く満足したのか、血に濡れた氷牙の腕についた血を舐めとる。吸血鬼の能力で氷牙の腕を治癒させる。
エヴァ「はぁ・・・はふぅ〜〜〜」
熱に浮かされたような、うっとりした表情で余韻に似たるエヴァンジェリン。先程までの炭化して崩壊しかけて居たのが嘘のように艶々の肉体を取り戻していた。
エヴァ「はにゃぁ〜〜」
なんだか小動物を見ている様な温かい眼で一同はエヴァンジェリンを見つめていた。
エヴァ「・・・・・・ハッ!?」
その視線に気付いたのか漸くエヴァンジェリンは正気に戻ったのだった。
エヴァ「ん!ん!すまない。氷牙のおかげで一命を取り留める事が出来た。感謝するぞ。」 氷牙「まぁ、眼の前でダチに死なれると寝覚めが悪いからな。念の為、後で検査だからな!逃げるなよ。」 エヴァ「なんだ?そんなに私の身体が見たいのか?ならば今ここで見るがいい!」 氷牙「よし。そこに直れ。俺が息の根を止めてやる。」
折角心配してやっているというのに下ネタにはしるエヴァンジェリンにそれなりに血を消費した筈の氷牙はそんな事など無かったかのように暴れようとする。
レオ「ドウドウ!先輩落ち付いて!?今貧血状態なんすよ!無理したらダメですって!?」 氷牙「ええいHA☆NA☆SE!!今すぐコイツに引導を渡してや・・・ぐぬ」
やはり貧血で視界がぶれる氷牙。如何な化け物級の生命力の氷牙でも、貧血には勝てない様だ。
レオ「よし!今の内に先輩はベッドに縛り付けるとして・・・メリオル達は観客達が眼が覚めた時の混乱を収めてくれ!」
氷牙の代わりに事態を収拾させるように指示するレオ。そして氷牙の抑止力としてヴィヴィオと十代も一緒に連れて行く。 親馬鹿の氷牙は娘にはそう簡単には逆らえないのだ。
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Re: 異世界遊戯王大戦記GX(笑)第X幕 ( No.88 ) |
- 日時: 2014/03/19 16:22:57
- 名前: ヘルマン
- 少し時間を戻して・・・ヴィヴィオ達がベアトリクスと対峙していた頃に時間を戻そう。
ちょうど海馬と鏡夜がブルー寮についた頃の事。
ベアトリクスの力が発動し、視界に入る人達が急に眠りに落ちたのだ。
海馬「・・・またオカルト事件か。」 鏡夜「ははは。大分耐性が付いたみたいだね。まぁまだ納得してない様だけど・・・?」 海馬「当たり前だ。完全にオカルトを信じたわけではないからな!」
いい加減認めてしまえばいいのにと思う鏡夜。だが、そうも言ってられない。
ブルー寮の入口から表情が虚ろでまるでゾンビのような動作で集まるオベリスクブルーの生徒達。
一斉にデュエルディスクを構え、鏡夜と海馬にバトルロイヤルルールで強制デュエルを仕掛けて来たのだ。
海馬「・・・ふぅん。この程度で操られ、無謀にも俺様達に挑むか。愚かと言う他ないな。」 鏡夜「いやいや。そもそもどちらかと言うとそんな力を撥ね退けられる耐性を持ってる僕達の方が異常だと思うんだけど?」
なんと、鏡夜に常識を問われるとは思っても見なかった海馬は、眼を見開いて信じられないという表情で鏡夜を見る。
鏡夜「・・・?どうしたの?鳩がバズーカを食らった様な顔して?」 海馬「そんな顔する前に吹き飛ぶだろうが。貴様に常識を問われたから驚愕しただけだ。」 鏡夜「え?僕は常識人だけど?」
未だ成し得ていない超電磁砲の縮小化や医療ポッドなどを完成させ、時たま氷牙を溶岩や海に沈めさせようとしたり、平気で屑を拷問したりする人物が何を言うか。
海馬「・・・・・・前から言っておこうと思った事がある。」 鏡夜「なに?」
既に40超えだというのに20代の瑞々しい肉体を保っている鏡夜は、コテンと首を傾げながら耳を傾ける。
海馬「貴様が常識人と言うのはオカルトの存在以上にあり得ん!!!」 鏡夜「ガーーーーーーーーーン!?!?!?」
海馬の渾身の叫びにショックを受けた鏡夜だった。
因みに、その後デュエルを行ったのだが・・・
二人ともそれぞれ5人ずつに囲まれ、1VS5を強制されたのだが・・・
2人会わせて50人。・・・10分も掛らない内に全員を1KILLして見せたのだった。
海馬「・・・なんだこれは。」 鏡夜「うん。気持ちはわかるよ?いくらなんでも”弱過ぎ”だよねぇ?」 海馬「くっ・・・よもやオベリスクブルーがこれほどまでに質が落ちているとは・・・これは、由々しき問題だ。」
まさかここまでオベリスクブルーが弱体化しているとは思ってもみなかったのだ。
デュエルしている時、カードのコンボなど、装備魔法で攻撃力を強化する位で、耐性を付ける訳でもない。 ただ攻撃力が高いモンスター・・・いや、本当に攻撃力しか見ていないのだ。
簡単にグレイモヤや激流葬、ミラーフォースに引っ掛かり、伏せカードを除去する素振りも見せず、墓地の状況も全く見ていない。
エリート(笑)とはよく言ったものだ。
鏡夜「まぁ、今ここに居る子たちは全員中等部からの繰り上げ組だけどね。中等部からの繰り上げはブルー行きは廃止した方がいいんじゃない?だってこの子達、ここに来てから全く成長してないもん。」 海馬「・・・そうだな。中等部からの者は成績が一定を満たしていない場合は全員レッド行きにしてくれる。」 鏡夜「イエローじゃないの?」
成績が一定に満たない者はイエローどころか最下層のレッドという暴挙。
海馬「中等部で学習しておいて一定に満たない者などに、エリートを名乗る資格など無い!」
尤もである。中等部からの繰り上げでオベリスクブルーになれるのなら、学習している意味が無いという物。
海馬「鏡夜。鮫島に伝えておけ。次の月一試験、寮別ではなく、実力別でやれ。下寮の者に敗北した物など、即刻レッドに放り込めとな!!」 鏡夜「了解。オーナーの権限には従わないとねぇ〜」
自分からそう差し向ける様にしておいて何を言うかと思わないでもない海馬だった。
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Re: 異世界遊戯王大戦記GX(笑)第X幕 ( No.89 ) |
- 日時: 2014/03/26 18:26:03
- 名前: カイナ
- それから時間が過ぎて学園祭二日目――なおベアトリクスの闇の影響で眠ってしまっていた人達はヴァルツとネラがアルフ達に隠れて大規模な魔法を使用、記憶操作をして誤魔化した――に入る。
鮫島「待っていたよ、万丈目君。学園祭中だというのにすまないね」
万丈目「なんですか校長、一大事って?」
校長室に万丈目――後十代、翔に教師からはレオとメリオルだ。ライ達は学園祭のコスプレデュエルのためレッド寮に残っている――が入ると鮫島が声をかけ、万丈目が自分をここに呼んだ用件を尋ねる。
海馬「ふぅん。この学園を買収しようという話が持ち上がってきたのだ」
十代「海馬さん!?」 翔「ば、買収!?」
と、校長室にあるソファに座っていた海馬が足を組みふぅんと鼻を鳴らしながらそう言う。十代は海馬がまだこの学園にいたことに、翔は買収という単語に驚きの声を上げた。
鮫島「ここの運命が、買収相手とうちの代表生徒とのデュエルで決まることになったのだ」
十代「デュエルで!?」
鮫島の言葉に十代が驚いたような声を上げる。さしものデュエル馬鹿十代も流石に一つの買収問題をデュエルで片付けるなど思いもしなかったのだろう。と、この学園のオーナーである海馬が再びふぅんと鼻を鳴らした。
海馬「未来のロードは己が手で切り拓くものだ。ブルー寮の腐敗振りと言い、もし負けたら学園などそいつにくれてやる」
レオ「海馬……」
海馬の言葉にレオが額に汗を流しながら呟く。ちなみに氷牙は昨日からまだ安静状態、凜が看病役、ヴィヴィオは抑止力としてレッド寮に止められ、鏡夜はニコニコ笑顔で氷牙を新薬の実験台にしていた。ちなみにカイとカノンノは氷牙の治療に使おうと残り少ないデュエルエナジー―――学園祭中のデュエルでまた少しは補充できるらしいが――を使った精霊の力でライフ回復カードを具現化していたのだが二人とも「ご隠居の猛毒薬が……」と震えながら呟いていたことを追記しておこう。
十代「なら校長、俺に戦わせてくれよ!!」
鮫島「そうはいかんのだ……」
十代の声に鮫島は元気のない声で呟く。それに十代はえっと声を出した。
鮫島「相手は既にデュエリストを指名してきている」
レオ「なるほど……その指名したデュエリストが万丈目だって事か。と、いう事は……」
鮫島の言葉にレオはその先を予測する。その時いきなりピピピピピという電子音が鳴り始め、メリオルは校長室にあるモニターの方に歩いた。
メリオル「鮫島校長、お電話が入っています」 鮫島「繋いでください」 メリオル「はい」
鮫島に言われメリオルはモニター近くのボタンを押す。と、モニターに二人の男性が映し出され、見覚えのある姿に翔が目を丸くし、レオはやっぱりなというように嘆息する。
翔「まさか、買収の相手って万丈目グループゥ!?」 万丈目「兄さんたち、これはどういう事です!?」
翔が素っ頓狂な声を上げる横で万丈目が叫ぶ。とモニターの先の万丈目兄長男――万丈目長作が口を開いた。
長作[知っての通り、我々の目的は政界――] 正司[――財界――] 長作・正司[――そしてカードゲーム界に君臨し、世界に万丈目帝国を作り上げる事!!]
長作に続いて万丈目兄次男――正司がそう言い最後は声を合わせる。
万丈目「だが俺はもう!」
長作[誰が落ちこぼれなど相手にするものか!] 正司[我らは自らその学園を手に入れ、カードゲーム界への足掛かりとすることにしたのだ! 貴様には兄者と、学園を賭けて戦ってもらう]
万丈目「俺が長作兄さんと!?」
万丈目帝国を作り上げる計画に手を貸さないと言おうとしたのだろう、万丈目の言葉を長作が遮り、正司がそう続ける。それに万丈目は驚いたように叫んだ。
翔「そんな事言ったって……」 十代「万丈目の兄貴はデュエルの素人、学園でも指折りの実力を持つ万丈目に勝てるわけないぜ」
長作[もちろんハンデはつけさせてもらうよ]
翔と十代がそう言うと長作はそう言ってモニターに映るようアタッシュケースを取り出し中身を見せる。
長作[以前、準が使うのを拒んだカードだ。俺はこのカードでデッキを組む。そして準、お前はハンディとして攻撃力500未満のカードで戦え]
翔「無茶苦茶だ!」 十代「そんな条件――」
海馬「いいだろう」
長作の出した無茶苦茶なハンディキャップに翔がクレームを出し、十代もそんな条件受けられるかと叫ぼうとするが、その前に海馬がそのハンディキャップを許可する。
海馬「初心者相手なら、当然だ」
メリオル「相変わらずね……」
ふぅんと鼻を鳴らし足を組んで我が道を行く海馬にメリオルは額に手を当てながら呟いた。
長作[楽しみにしているぞ]
長作がそう言い、万丈目兄弟長男次男が高笑いをしているところで映像が切れ、メリオルがモニターを切る。
万丈目「……用が済んだんなら帰らせてもらう」
言うと同時、万丈目は踵を返して校長室を出ていった。
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Re: 異世界遊戯王大戦記GX(笑)第X幕 ( No.90 ) |
- 日時: 2014/03/26 19:12:03
- 名前: 孝(たか)
- 少し時間が経って・・・
レッド寮・氷牙自室。
氷牙「買収ねぇ・・・馬鹿だろあいつら。」 万丈目「返す言葉もありません。」
ガックリと肩を落とし、片手で頭を抱える万丈目。
レオ「で、出された条件ってのが、モンスターの攻撃力500未満と言うハンデなんだが・・・」 氷牙「500未満・・・実質、攻撃力450までのモンスターか・・・余裕じゃね?」
結構あっさりと返す氷牙に、子供達は驚きに目を剥く。 普通なら、どう考えても無理な要求だからだ。
氷牙「レオ、其処の引き出し開けてくれ。」 レオ「うっす。」
言われ、レオは氷牙の指示した引き出しを開ける。そこに入っていたのは何かの鍵束。
氷牙「レッド寮の地下広場、階段降りて正面の本棚の上から二段目の広辞苑を押し込んでみろ。凛。案内してやってくれ。」 凛「はい。分かりました。ヴィヴィオ。氷牙様の事、見張っててね?」 ヴィオ「はーい!」
ヴィヴィオに氷牙が安静にする様に見張りを頼むと、レッド寮の地下へと向かう一行。
レッド寮地下広場・・・
レオ「2段目の広辞苑・・・これか。よっと・・・」
ギュム・・・ガコン・・・ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・・
言われたとおりに広辞苑を押し込むと、横の壁がスライドして新たな通路が現れた。
万丈目「・・・レッド寮の地下はどれだけの魔改造が施されているんだ?」 十代「まぁ・・・氷牙さん達だしな。気にしてたら身が持たないと思うぜ?」
既に呆れを通り越して悟りを開きかけている。
通路を抜けた先・・・そこは・・・一面に広がるガラスケースに安置された様々なカード達だった。
翔「こ、これって・・・全部デュエルモンスターズのカードっすか!?」 凛「はい。ここには現存するカードの7割近くが10数枚ずつ保管されてるんですよ?」 十代「すっげぇ・・・」 万丈目「これだけの数を・・・」
唖然。60畳程の室内に所狭しと飾られたカード達を見てそれ以上のリアクションを取る事を忘れる子供達一同。
レオ「これは・・・もしかして」 凛「・・・ええ。過去にこのアカデミアの生徒が捨てて行ったカード達です。」 十代「捨てられた!?」 翔「そんな!?こんなに沢山・・・」
まさかここにあるカードが捨てられていた物だとは思いもよらなかったのだ。
凛「昔から、必要のないカードはアカデミアのとある古井戸に捨てられていたんです。それを回収して、ここに保管しているんですよ。」
説明しながら、凛は案内の為に移動を開始する。
凛「そして、ここが攻撃力500前後のカードを低い順や名前順に並べた場所です。」
そこには、パッと見だけで100を超えるのではないかと言う大量のカードがあった。
そして、万丈目はふとあるカードに眼が行く。
万丈目「これは・・・」
そのカードとは・・・
翔「うわぁ・・・なんだか色々と遠慮したい見た目っすね。」 十代「おジャマ?どんなカードなんだ?」
何とも気色の悪いモンスター達があった。
レオ「おジャマシリーズか・・・全部レベル2、光属性、獣族、攻撃力0、守備力1000で統一されてるシリーズだが・・・実はサポートカードも結構あるし、神獣王バルバロス見たいな全体破壊系のカードもある。トリッキーなシリーズだ」 万丈目「・・・・・・決めた」
それを聞いた万丈目は、おジャマシリーズに手を伸ばすのだった。
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Re: 異世界遊戯王大戦記GX(笑)第X幕 ( No.91 ) |
- 日時: 2014/03/27 23:56:17
- 名前: カイナ
- ????[あらん?]
と、いきなり変な声が聞こえ万丈目はつい手を止める。
万丈目「十代、今何か言ったか?」 十代「え、翔じゃねえ?」 翔「何の事っすか?」
万丈目が十代に問いかけ、それに十代が翔じゃないのかというと翔は二人が何を言っているのか分からないというように首を傾げる。
????[あんちゃん達、氷牙の旦那以外に久しぶりにここに来る人がいたわよ?] ????[え? あ! ホントだ!!] ????[凜の女将、久しぶりです!]
突然おジャマ・イエローのカードからおジャマ・イエローが半透明の姿――精霊だ――で現れ、それに続いておジャマ・グリーンとおジャマ・ブラックが現れる。
十代・万丈目「「せ、精霊!?」」 凜「ああ、ここのカードには大方精霊が宿ってますよ? ほら」
十代と万丈目が驚愕の声を上げると凜は手慣れた様子で倉庫内をぐるっと指差す。と、
魂虎[ウォーン!] またたびキャット[にゃー!]
魂虎とまたたびキャットが客人を見て嬉しそうに咆哮し、
そよ風の精霊[あら凜さん、ご機嫌いかが?]
そよ風の精霊がふわふわと倉庫内を飛び回りながら可憐な笑顔で挨拶し、
薄幸の美少女[……]
倉庫の隅っこで薄幸の美少女が座り込んでいた。
十代「どれだけ精霊いるんだよこの倉庫……」
さしもの十代も呆然とするしか出来なかった。ちなみに精霊が見えていない翔は首を傾げている。
???[お、なんでぇなんでぇ、なんか珍しい奴が来てるじゃねえか] ???[ふぅん。見てくれはまあまあね]
と、赤いおジャマ――おジャマ・レッドに青いおジャマ――おジャマ・ブルーまで現れた。
万丈目「頭が痛くなってきた……」
凜「あ、おジャマさん達。こちらの万丈目君があなた達を使ってデッキを組みたいそうなのよ」
いきなりの精霊大登場な展開&おジャマメンバーのキャラの濃さについていけなくなったか顔に手を当ててぼやく万丈目。それを横に凜がおジャマ達に事情を説明、それを聞いたおジャマ達は目をキラキラと輝かせた。
イエロー[ほ、ほんとに!?] グリーン[俺達を使ってデッキを組んでくれるなんて!] ブラック[これで鏡夜の旦那の地獄のような日々から解放されるのか!?]
デュエルに使ってもらえることが喜びであるはずのデュエルモンスターズの精霊にそうとまで言われる鏡夜とは一体……。そんな感想が頭に浮かんだが十代は空気を読んで口をつぐむ。
レッド[おう! ってこたぁもちろん俺達も使ってくれるんだよな!?] ブルー[ふん、ま、力を貸してあげてもいいわよ?]
レッドとブルーもそう言い、万丈目はため息をつく。
万丈目「分かった、男に二言はない……凜先生。このおジャマシリーズのサポートカードはどこに? あと低レベルモンスターと一部通常モンスターのサポートカードもこのシリーズには応用が効くはずです」
凜「ええ。こっちよ」
万丈目はおジャマ三兄弟&二人組のカードを取った後、凜におジャマシリーズのサポートカード及び低レベルモンスターサポートカードなどおジャマサポートに応用が効きそうなカードのあり場所を尋ねる。そして凜が万丈目を案内していき、十代と翔もその後に続いた。
その頃レッド寮。
氷牙「おい鏡夜……それはなんだ?……」 鏡夜「カイ君とカノンノちゃんが残り少ないデュエルエナジーを使って、氷牙の傷を癒すためにライフ回復カードを具現化してくれたそうなんだよ。後でお礼言わなきゃダメだよ?」
氷牙は貧血とは違う意味で顔から血の気を引かせながら鏡夜に震える声で尋ね、鏡夜はニコニコ笑顔でそう言う。その両手にはそれぞれ緑色の液体が入れられた細長いフラスコと紫色の液体が入れられた小さなフラスコが握られている。
氷牙「それ……[ご隠居の猛毒薬]じゃないか?」 鏡夜「ぴんぽーん。ライフ1200回復、治療の神をも上回る回復力ってすごいよねー」 氷牙「鏡夜……」
氷牙の問いかけに鏡夜が楽しそうな声で返し、それを聞いた氷牙が再び彼に問いかける。
氷牙「どっちがライフ回復なんだ?……」
呟くような問いかけ。ご隠居の猛毒薬の効果は二つ、一つはさっき鏡夜が言ったライフポイントの1200回復、もう一つはライフポイント800のダメージ。文字通りの猛毒だ。しかしその問いかけに対し鏡夜は笑みを崩さない。が、その笑みの内容が困ったようなものに変わっていた。
鏡夜「いやーそれがね。カイ君もカノンノちゃんもご隠居の猛毒薬を渡した後きぜ……寝ちゃってね。分かんないんだー」 氷牙「……」
鏡夜の言葉に氷牙の顔が真っ青に染まる。
鏡夜「まあ良薬は口に苦しと言うし、とりあえずこっちの紫の薬から試してみよっか」 氷牙「なんでそっちから試そうとする!? 明らかにそっちが毒だろうが!?」 鏡夜「そうとは限らないよー? まあもし毒だったとしたらすぐもう一つの薬飲ませるから大丈夫大丈夫。差引400は回復するはずだから」 氷牙「800ダメージ受ける事前提か!? いやおいちょっ待っ、ヴィヴィオ! 凜! 助けてくれぇ!!」
命の危機を本能的に感じた氷牙がヴィヴィオ――コスプレデュエルの客が多すぎて手が回らなくなってきたとネラに言われ大慌てでサイレント・マジシャンのコスプレをして出ていった――と、万丈目達を案内し倉庫に消えていった凜に助けを求める。が、二人とも戻ってくる様子はなく、氷牙は鏡夜に顔を掴まれる。
氷牙「ぎゃああああぁぁぁぁぁっ!!!」
そして氷牙の悲鳴が響き渡った。
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Re: 異世界遊戯王大戦記GX(笑)第 ( No.92 ) |
- 日時: 2014/04/14 00:21:42
- 名前: 孝(たか)
- 氷牙が鏡夜によって猛毒薬と回復薬を飲まされている間、万丈目はおジャマ達でデッキを作っていた。
万丈目「とりあえず、おジャマモンスターは2枚ずつ入れれば問題ないだろう。出来れば獣族で統一したい所だが・・・今回のこのデッキ。俺は攻撃力0のモンスターでデッキを作る。」
攻撃力500未満のハンデなら、攻撃力0も一緒であろう。 そう思い、宣言する万丈目。
翔「攻撃力0っすか!?と言う事は・・・おジャマ達で守りを固めて、バーンで攻めるデッキなんすか?」 万丈目「まぁ、それでもいいんだが、それだと兄さん達は納得しないだろう。それに、コイツを見てくれ。」
そう言って、万丈目は1枚のカードを見せる。
十代「おジャマ・カントリー・・・おジャマのフィールド魔法か?」 万丈目「ああ。コイツは、場におジャマが居れば全てのモンスターの攻撃力と守備力を入れ替えるフィールドなんだ。」 風華「それって、[右手に盾を左手に剣を]の永続版って事?」
おジャマ・カントリーを見せて、バーンに頼る必要も無いと語る万丈目。 確かに、ハンディとして出された攻撃力は500未満であり、攻撃力の低いモンスターの中には高い守備力を持つモンスターが多い。
万丈目「それに、[おジャマ・レッド]の能力。召喚した時、手札のおジャマを4体まで場に出せる。[おジャマ・ブルー]の効果でおジャマ2種類をサーチ。おジャマジックをコストに死者転生でブルーを呼び戻し、おジャマジックのサーチ効果で残りのおジャマを揃え、レッドでおジャマを全て出し、デルタハリケーンで相手の場を全て破壊。更にカントリーで攻守を逆転させれば・・・」 美海「総ダメージ5000。ワンターンキルが成立する。」
万丈目がおジャマカードの効果を全て読破し、コンボ手順を説明していく。 遅くても5ターンもあれば一気に瞬殺可能の恐ろしいコンボだ。
翔「見た目はアレっすけど、とんでもないコンボっすね。」 美海「ステータスが低い為に作られたテーマカード。見た目はアレだけど、決して弱くない。」
おジャマ達は見た目はどうあれ、強力なシリーズである事が立証された。
ステータスだけがデュエルではない。魔法・罠・モンスター効果、ステータスそれら全てを考慮すればどんなデッキでも勝ち筋は見えるのだ。
万丈目「カントリーは3積み、他のおジャマシリーズを2積みにしても、デッキの半分が埋まる。後は如何に早くブルーとおジャマのサポートを引き当てるかが問題になる。」
そう、如何に早くキーカードを揃えるかがこのデッキのコンセプトだ。 ただでさえ低いステータスで作らなければならない為、早期決着型・・・スピード勝負だ。
三沢「なら、コイツはどうだ?[子狸たんたん]レベル2で攻撃力0、獣族。リバース効果で自分以外のレベル2の獣族をデッキから場に呼び出す効果を持つカードだ。おジャマとの相性は高い。」 神楽坂「おジャマは赤と青以外は通常モンスターなんだよな?だったら、[凡骨の意地]、[凡骨の施し]、[補充要員]や[馬の骨の対価]なんかもシナジーすると思うんだが?」 青迫「[闇の量産工場]や[エンジェル・リフト]も忘れちゃいけないぜ」
と、イエローのトップ2と、あれ以来改心したブルー生徒も参加してきた。どうやら今し方ここに着いたようだ。
三沢「風華君に事情を聞いてね。協力させてもらうぜ」 神楽坂「何処まで力になれるか分からないが、全力で協力させてくれ」 青迫「俺も、微力ながら手伝わせてもらう。」
頭脳派の三沢や神楽坂の2人やバランスデッキを使う青迫が参戦する事で更にデッキの完成度は高まるだろう。 既にコンセプトは決まっており、後はどうやってそこまで持っていくかが議題だ。
詰め過ぎてもダメ、かといってシンプルすぎるとジリ貧になる。 何処までバランスを整えるか。それが最大の問題だ。
風華「ねぇねぇ。これはどう?[簡易融合]。ライフコスト1000は痛いかもしれないけど、融合召喚扱いだから、これで[おジャマ・ナイト]を呼んで自壊した後で複数呼び出して、相手のモンスターゾーンを使用不可にして埋める事も出来るよ?」 万丈目「確かに、それも1つの手か。体長ロックではなく、モンスターゾーンロックか・・・」
おジャマの融合モンスターはモンスターゾーンを複数使用不可にする能力を持っており、その守備力は上級モンスター並みのステータスもあるおかげで、カントリーとのコンボで上級モンスターとも張り合えるのだ。
翔「このシリーズ・・・鬼畜っすね。」 美海「攻守逆転、相手フィールドの消滅、モンスターゾーンの制圧、そして展開力、低ステータス故のサーチ領域。破格。」
そう、このシリーズは低ステータスだからこその展開力によって場を制圧する名前の通り、徹底的に相手を邪魔する能力に長けているのだ。
十代「こんなに強いのに・・・なんで捨てられたんだろうな?」 万丈目「”見た目”だろ。」
万丈目の一言は身も蓋も無かったのだった。
そうして互いに意見を出し合い、段々と形になっていくおジャマデッキ。
何度も試しにデュエルしては修正、デュエル→修正→デュエル→修正と何度も何度も繰り返す。
そうして、漸く完成したおジャマデッキ。
オシリスレッド、ラーイエロー、オベリスクブルー。 一部とはいえ寮の格差なく協力し合う子供達を見て、レオも凛も次代を担うであろうデュエリスト達を嬉しく思うのだった。
完成したデッキを更に使いこなすべく、万丈目はコスプレデュエルではずっとおジャマデッキを使用して参加者を圧倒していた。 流石に子供相手には衛生上見せにくいので基本的に同年代以上の参加者しか相手してないのだが・・・。
こうして、学園祭2日目も終わり・・・学園祭3日目の朝がやってくる。
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Re: 異世界遊戯王大戦記GX(笑)第X幕 ( No.93 ) |
- 日時: 2014/04/14 19:13:18
- 名前: カイナ
- そして学園祭三日目の早朝――学園祭に支障が出ない&万丈目長兄次兄の予定の関係上だ――にアカデミアの中央デュエルスタジアムで万丈目長兄――万丈目長作と末っ子――万丈目準の、デュエルアカデミア買収デュエルが行われようとしていた。自分達の学園の買収問題のためか生徒達はほぼ全員が早朝にも関わらずそこに集合している。
十代「ふあああぁぁぁぁ〜……」 ヴィヴィオ「代ちゃん……」 翔「緊張感ないっす……」
客席で大あくびする十代にヴィヴィオと翔が汗マークを付けたような表情で呟く。
長作「ハンディに怖気づかずによく来たな。逃げるかと思っていたが、その勇気だけは褒めてやるぞ? 準」 準「兄さん、デュエルの前に宣言しておく」
自らの勝利を確信しているかのごとくそう言う長作に万丈目はそう、宣言すると言う。
準「俺のデッキのモンスターの攻撃力は500未満という約束だったが……」
生徒A「こ、攻撃力500未満だって!?」 生徒B「そんな雑魚モンスターだけで戦うなんて出来るわけねえ!」 生徒C「インチキルールもいい加減にしやがれ!!」
ここにきて明らかになった、万丈目が背負わされたハンディキャップに生徒達がざわめく。
万丈目「俺のデッキのモンスターは全て……攻撃力0だ!!!」
生徒『ナ、ナンダッテー!!??』
万丈目の宣言したハンディに生徒達が声を上げ、
ブルーA「ふざけんじゃねえぞ万丈目!!」 ブルーB「お前、この学園を売るつもりか!?」
万丈目「それが、俺の決めたハンデだ」
ブルー男子から怒号が飛び交い始めるが万丈目は静かにそう締める。
長作「ふん、面白い……来い、準!!!」
長作が叫び、二人はデュエルディスクを展開。
長作・万丈目「「デュエル!!!」」
そして二人の声が重なり合った。
万丈目「俺の先攻、ドロー!! 俺はモンスターをセットし、ターンエンドだ!」
万丈目はモンスターを一体伏せただけでターン終了を宣言する。
長作「私のターン、ドロー! 私は魔法カード[融合]を発動!! 手札の[ロード・オブ・ドラゴン−ドラゴンの支配者−]と[神竜 ラグナロク]を融合する!」
長作は光り輝くカードを使っている。
風華「これって全部!」 美海「パラレルレアカード……」
長作「出でよ[竜魔人 キングドラグーン]!!!」 竜魔人 キングドラグーン 攻撃力:2400
長作が叫び、竜魔人が姿を現す。パラレルレアカードを使っているためか何故かその姿もパラレルに輝いていた。
長作「キングドラグーンの効果発動。このカードはワンターンに一度、手札のドラゴン族モンスターを一体、特殊召喚出来る。出でよ、[エメラルド・ドラゴン]!!!」 エメラルド・ドラゴン 攻撃力:2400
さらに彼の場にエメラルドを喰らう美しいドラゴンが姿を現す。その姿もやはりパラレルに輝いていた。
ライ「いきなり、攻撃力2400のモンスターが……」 アルフ「二体……」
客席のライとアルフもワンターン目からの展開に表情を険しくする。
長作「ゆけ、キングドラグーン!! 守備モンスターに、トワイライトバーン!!!」
長作が叫び竜魔人は手に持っている小型のドラゴンを呼ぶ笛に力を籠め、螺旋状の衝撃波を放つ。
準「ぐああぁぁぁっ!!」
彼の場で守備を取っていた狸型のモンスターが吹っ飛ばされ、準も悲鳴を上げる。が、彼は「ぐぅっ」と唸った後フィールドを睨んだ。
準「守備モンスター[子狸たんたん]のリバース効果発動! デッキから子狸たんたん以外の獣族・レベル2モンスター一体を特殊召喚する!」
準はそう叫んで素早くデッキをサーチ、一枚のカードを手に取るとモンスターカードゾーンに叩きつけた。
準「来い、[おジャマ・ブルー]!!」 おジャマ・ブルー[ふんっ] おジャマ・ブルー 守備力:1000
彼の場に青い身体のおジャマが姿を現した。
女子A「わ、何あれ!?」 女子B「あんなモンスターを使うなんて……」
そのキモ……独特の姿に女子達からブーイングが飛ぶ。
長作「ふん、雑魚など薙ぎ払ってくれる! ゆけ、エメラルド・ドラゴン!! エメラルド・フレイーム!!!」
主の指示と共にエメラルド・ドラゴンが炎を吐きおジャマ・ブルーを破壊する。
準「おジャマ・ブルーの効果発動! このカードが戦闘によって破壊され墓地へ送られた時、自分のデッキからおジャマカード二枚を手札に加える事ができる! 俺は[おジャマ・カントリー]と[おジャマジック]を手札に加える!!」
万丈目は一気に二枚のカードをサーチする。しかし戦法通りの展開とはいえあっという間に万丈目のフィールドががら空きになる。
長作「ターンエンドだ」
威風堂々の様子で長作はターンエンドを宣言した。
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Re: 異世界遊戯王大戦記GX(笑)第 ( No.94 ) |
- 日時: 2014/04/15 06:17:42
- 名前: 孝(たか)
- 万丈目「俺のターン・・・ドロー!!!!」
シュピィィィンッ!!
万丈目は勢い良くデッキからカードをドローする。
そして・・・ゆっくりと前に持ってくる。
ニヤリ・・・引き当てた。
赤[待たせたな。いつでも行けるぜぇ!] 万丈目「ああ。長作兄さん。宣言しよう。」
長作「宣言?サレンダーでもする気になったか」 万丈目「サレンダー?何故、みすみす勝てるデュエルを投げる必要があるんだ?」
勝てるデュエル。万丈目はそう宣言した。
つまり、このターンで決着を付けると宣言したのだ。
長作「準。貴様はこの二体のドラゴンが見えないのか?攻撃力0のデッキで、この二体を越える事が出来るとでも・・・?」
雄々しく聳える二体の竜。
パラレルレアに輝くその姿は、まさに神々しい物だろう。
だが、それはただのレアリティの高さからくる偽りの輝きにすぎない。
真の神々しさとは、デュエリストが起こすものである。
万丈目「長作兄さん。デュエルモンスターズは、攻撃力だけで勝てる程、甘く無い。魔法・罠・モンスター。そして、それらを組み合わせる事で生まれるコンボ!それこそが、デュエルだ!!ただ攻撃力が低いだけで弱いと決めつけるのは、デュエリストに非ず!真のデュエリストは、例えどんなに低い能力のカードでも、勝ち筋を見つける事が出来る!それを今・・・見せてやる!!一!」
拳を作って掲げ、一と叫ぶ万丈目。
それに続いて、アカデミアの生徒達も拳を掲げて続く。
レッド生徒「十!!」
イエロー生徒「百!!!」
ブルー生徒「千!!!!」
万丈目「万丈目サンダアアアアアアアアアアア!!!」
これが・・・万丈目サンダーである。
『『『サンダー!サンダー!万丈目サンダー!!!』』』
アカデミア生徒達のサンダーコールを聞きながら、万丈目は早速一枚目のカードを手に取る。
万丈目「今の俺の手札は8枚。これで、兄さんを倒す!まず一枚目!!魔法カード[死者転生]!手札1枚を捨て、墓地のモンスター1体を手札に加える!俺は、[おジャマジック]を捨て、さっき破壊された[おジャマ・ブルー]を手札に加える!」手札7 青[ふぅ。私、華麗に舞い戻る!]
おジャマ・ブルーがバレリーナのように万丈目の手札に戻ってくる。
万丈目「この瞬間、[おジャマジック]の効果発動!手札またはフィールドから墓地に送られた時、デッキから[おジャマ・グリーン][おジャマ・イエロー][おジャマ・ブラック]のおジャマ三兄弟を1枚ずつ手札に加える!」手札10 『『『イエ〜〜〜イ!!!』』』
ババーーンとおジャマ三兄弟が組み体操の扇のポーズで現れ、手札に加わる。
それによって更に手札が増える万丈目。
万丈目「2枚目![おジャマ・レッド]を召喚!」 赤[俺、参上!]
おジャマ・レッド:ATK0
どこかの桃のライダーの様なポーズで現れる赤いおジャマ。
万丈目「[おジャマ・レッド]の効果発動!召喚に成功した時、手札の「おジャマ」と名のついたモンスターを4体まで攻撃表示で特殊召喚出来る!現れろ!おジャマ達!!」手札5
青[降臨。満を持して。] おジャマ・ブルー:ATK0
黒「よっしゃー!やってやるぜぇ!」 おジャマ・ブラック:ATK0
緑「おいら達にまっかせろぉ!!」 おジャマ・グリーン:ATK0
黄「頑張るわよぉぉん!!」 おジャマ・イエロー:ATK0
それぞれが思い思いのポーズで場に臨戦態勢で現れる。
一気にモンスターゾーンを埋め尽くすキモ・・・独特の姿のおジャマ達。
観客・・・特に女子が引いている。
赤[聞いて驚け!俺がリーダー![おジャマ・レッド]!] 青「華麗さなら負けないわ![おジャマ・ブルー]!」 緑「目指せ素敵アイドル![おジャマ・グリーン]!」 黄「キモくてごめんなさ〜〜い![おジャマ・イエロー]!」 黒「ネクロフェイスよりマシだろ![おジャマ・ブラック]!」
赤[あ〜れ〜る〜ぜ〜・・・] 『『『『『止めてみな!!』』』』』
万丈目「・・・・・・とりあえず、本家の方々に謝れブサメン共。」 『『『『『ごめんなさいorz』』』』』
額に青筋を作った万丈目は某スーパー戦隊の名乗りをパクッた行為についておジャマ達に土下座させる万丈目。中々に息ぴったりである。
長作「ふん!一度にフィールドを埋めた事は褒めてやるが、結局は攻撃力0ではこのドラゴン達を越える事など・・・」 万丈目「言った筈だ長作兄さん。攻撃力だけがデュエルじゃない!7枚目のカード。魔法カード[おジャマ・デルタハリケーン!!]このカードは俺のフィールドにおジャマ三兄弟が表側表示で存在する場合に発動出来る。その効果は・・・相手フィールドのカードを全て破壊する!!」
グリーン、イエロー、ブラックが三体で前に飛び出ると、イエローとブラックの肩にグリーンが乗る事で△を描く。
両手を中央に持っていく様に構えると、何処からかエネルギーが集まってくる。
グリーン[おジャマ!] イエロー[デルタ!] ブラック[ハリケーン!]
ズドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンッ!!
攻撃力0の集団とは思えない暴風の如き衝撃が万丈目長作のフィールドを蹂躙する。
長作「な、なん・・・だと!?攻撃力0の癖に、私のドラゴン達が・・・!?」 万丈目「おジャマ三兄弟はその低ステータス故にフィールドに揃える事が困難とされていた。だからこそ、作られたのがこの必殺の魔法カード。だが、おジャマ・レッドの登場でそれは簡単に行えるがな。」
そう、当時おジャマ達が出た頃は三兄弟しか存在していなかったが、それ故に場に揃えるのは困難を極め、ロマンカードとして専用必殺カードが生まれたのだ。
長作「だ、だが、所詮は攻撃力0。戦闘を行ったところで・・・」 万丈目「そこでこれだ。8枚目のカード。フィールド魔法[おジャマ・カントリー]!このカードは名前の通り、おジャマの街だ。このカードの効果はフィールドにおジャマが表側表示で存在する限り、フィールド上の表側表示モンスター全ての元々の攻撃力と、守備力を入れ替える!」 長作「元々の数値を、入れ替える?」 万丈目「おジャマ達のステータスは、攻撃力0、守備力・・・1000だ!」
おジャマ達ATK0→1000×5
長作「攻撃力1000が・・・5体!?」 万丈目「これで終わりだ・・・長作兄さん。おジャマ達の攻撃!”おジャマ!ファイブ!エクスプロージョン!!”」
おジャマ達は、同時に飛び上がると空中で一回転し・・・頭から長作に突撃し・・・文字通り爆発した。
長作「うあああああああああああああ!?!?」LP4000→0 『『『『『ぎゃああああああああああ!?!?』』』』』
まさに、自爆特攻である。長作は長作で、おジャマの独創的な顔面が一度に5つも突っ込んできたものだから相当の驚きがあった事だろう。
攻撃力0・・・しかし、結果は3ターンによる一方的な結末による万丈目準の勝利だった。
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