Re: 会話式リレー小説『ELESIS』過去小話。 ( No.41 ) |
- 日時: 2007/09/22 07:00:55
- 名前: 雨雲太陽
- 参照: http://yaplog.jp/soukuu-amagumo
「ごめんなさい」
コンピュータに打ち込まれる、0と1の配列。
「ごめんなさい」
エンターキーを押して、此処の中枢であるマザーコンピュータの一部に 強力なウィルスを送り込んだ。
これで、あの子は此処から出られる。
あの檻を開けるには、私より上の研究者達のIDとパスワードが必要だった。 当然、それは私の手には永遠に渡ってこないだろう。 だから、この混乱に乗じて一部に強力なウィルスを送り、檻のロックを解除する……
薄々、エレシスに異変があると思っていた。 けれどもその事を知名度の低い科学者がたった一人主張したところで、上は動く筈は無い。
そして、今回のエレシスの暴走。
きっとこれは、神からの制裁なのだろう
「ごめんなさい」
この謝罪はまずあの子へ。
ごめんなさい。私達科学者の傲慢であなたに酷い仕打ちをして。
どうか、恨むなら私を恨んで。
だって許してなんて言えないもの。
第二の謝罪は、弟へ。 ごめんなさい。あなたを今日ここに呼んでしまって。 こんな惨劇、見たい人なんていないもの。
ごめんなさい。ごめんなさい。
けれどどうか、世界を恨まないで。
人を恨まないで。
恨みを、償いをするべきなのは、私達なのだから。
* (ごめんなさい、ごめんなさい。謝ることしか出来なくてごめんなさい)
リーシャさんの頭の中。 エレシス暴走時。 支離滅裂だ;
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Re: 会話式リレー小説『ELESIS』過去小話。 ( No.42 ) |
- 日時: 2007/09/22 13:39:18
- 名前: 春歌
- 幼いころ、父の研究を見に行った、そこにいたのは
「おんな、、、のこ?」 「そうだ、まだ実験段階だがな」
酷い人、可哀想な人、父への正直な感想だった またガラス越しにその子を見る、あっちからはこっちが見えないらしく 私たちのことが分からないらしい
「なまえ・・・」 「ん?エル、エルヴィスだよ」 「エルヴィス??・・・・・」
無機質で、何も無い寂しい部屋の中 うずくまってる少女の名をそっと呼んでみた
「きこえるわけ、、無いか」
そっとガラスから手を離し 暫しその子を見つめるとふ、と父へと視線を戻した
「今日はありがとう」 「あぁ、いいんだよまたおいで」 「そうする」
それじゃ、と父に背中を向け歩き出す
「また、あの子に会いにこよう」
そういい、家への道を急いだ
*+*+ エレシス暴走前 クォーツ約13、14歳時
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Re: 会話式リレー小説『ELESIS』過去小話。 ( No.43 ) |
- 日時: 2007/09/22 15:03:46
- 名前: 遙
- 人の気配で目が覚めた。
そこで初めて自分が寝ていた事と、誰かが強度ガラスの向こうに立っている事に気付く。 片方は白衣の研究者。だがもう片方は見慣れない小さな影。 よく見ようとしたが、“薬”に侵された目はぼんやりとしか影を写さなかった。
、、、いい、止めてくれ
視線をガラスから落とし、頭の中で呟く。
放っておいてくれ、、、
思い出されるのは方々から伸びる白衣の手と、骨ばった腕に刺される“薬”の入った注射器。
ボロ雑巾のようにガラス室へ投げ込まれ
待ち受ける狂った巨大動物は私を見て涎を垂らし
生きるか死ぬかの駆け引きが始まるんだ
戦闘中、人間の子供にはありえない反射神経、動体視力、跳躍などを発揮する度、科学者達は好奇に満ちた目で私を見た。 その目が嫌で嫌で、もう戦いたくなくて、自らの脚を一本折ってみた事もある。
使えなくなりますように そこから悪い病原菌が入って、死んでしまえますように
こんな事まで望んだ。
でも
脚は翌日、何事も無かったかのように戻っていた。
今度はその再生力に科学者達が目を光らせ、好奇の目は一向にやまなくなる。
生きたい でも死にたい 死にたい でも生きたい
うわ言のように毎日呟く。が、生活は何も変わることは無かった。
だから
自分に向けられる目が嫌なんだ
怖いんだ 五月蝿いんだ 苦痛なんだ
お願い
ワ タ シ ヲ 見 ナ イ デ
(人なんてダイキライだ)
* * *
春歌さんに便乗(ぇ この頃のエルはリーシャさんも知らず、かなりの人間不信です。
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Re: 会話式リレー小説『ELESIS』過去小話。 ( No.44 ) |
- 日時: 2007/09/22 16:28:47
- 名前: 春歌
- 私は研究室に通うのが日課になった
私がガラスの前に立つと私に気が付いた様に視線を向けてくる
「分かるんだ・・・・・・」
ぼそりとつぶやくと、私は部屋の入り口のところまで来た
鍵はあらかじめ父から盗み出したので心配はない
だがPWが必要みたいなのでなかなかあかない
「うむむ・・・意外と頑丈だな」
ま、父の思考を手に取るように分かる私だ
コレが父の作った物なら簡単だ・・・
<パスワードを入力してください>
「QUARTZ」
<パスワードを認識しました。ロックを解除します>
鍵が開いた扉を少しだけ開くとその隙間から私は中の様子を見た
*++* 遙サンにさんに便乗〜! クォーツったら!悪い子ねv
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Re: 会話式リレー小説『ELESIS』過去小話。 ( No.45 ) |
- 日時: 2007/09/24 09:19:46
- 名前: 涼
- 「まほうのて」なんかじゃない
もしそうなら、僕は欲しいもの全て手に入れられるよ でも実際は最初に父を亡くし、母を失くした
欲しいものは全てこの手からすり抜けてしまうんだ これが魔法の手のはずがないよ・・・・
知らず知らずのうちにまた涙が出てくる 男が泣くなってよく言われてたけど、今日くらいいいよね? 今日で終わりにするからさ お願い、本当に今だけ泣かせて・・・・・
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 私は学校に行ったことがない 父さん曰く、「私の仕事を継げばよいのだから、奏は勉強しなくてもよい」のだそうだ 要するに私の将来が約束されてるって事でしょ? って聞いたら父さんはにっこり笑ってそうだよ、と言ってくれた
でも、必要最低限の知識は付けときなさいって母さんは言うから 家庭教師をショウがする事になった 護衛の腕も確かで、私のそばに長くいたのは彼だけだった
家庭教師の他にも習い事をしなくちゃいけなかった ただ、全てそれ専用の部屋があったから外に出る必要はなかったけど 華道・茶道・日本舞踊にピアノ・・・ その中でも一番好きだったのが、射撃訓練 実弾を使うようになってからは、的の真ん中に当たるのが嬉しくって仕方がなかった 父さんにもショウにも褒めてもらえるしね♪
射撃訓練は父さんが言い出したものだった 「私はいろいろな人から妬まれててね 護衛はいるけど最後に自分の身を守れるのは自分しかいないんだよ」 前半の言葉の意味をよく掴めなかったけど、 私にナイフや銃を持ったすごい形相の人が時々現れるのはこういう事なのかと漠然と思った でもその時はいつも「お友達」がなんとかしてくれて、その間に私とシュウは車で逃げれた だから皆に守られてた私には、後半の言葉はまったくもって理解不可能だった
今なら分かるけどね・・・・
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 奏は子供の癖に大人びた言葉を使いたがる子なのです(なんだそりゃ) それにしても可愛くなさすぎだ・・・・
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Re: 会話式リレー小説『ELESIS』過去小話。 ( No.46 ) |
- 日時: 2007/09/24 19:07:15
- 名前: 雨雲太陽
- 参照: http://yaplog.jp/soukuu-amagumo
どうしよう。どうしよう。
また泣いちゃった。俺が『まほうのて』だなんて言ったから?
「ごめんなさい。ごめんなさい」
ぎゅうと、彼を抱きしめる。
ごめんなさい。泣かせてごめんなさい。
ぎゅうぎゅうと抱きしめていたら、伝染った。
嗚呼、目頭が熱いよ。
* (もらい泣き)
一青窈のもらい泣き聞きながら書いたら……; 涙脆い子にしてみた
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Re: 会話式リレー小説『ELESIS』過去小話。 ( No.47 ) |
- 日時: 2007/09/26 23:55:31
- 名前: 涼
- 泣かないで、泣かないで
僕のせいで泣かせちゃったんだ 僕が泣いてたから・・・
もう泣かないよ 誰も悲しませたくないから 君に泣いて欲しくないから
優しく頭をなでた
「僕は大丈夫だよ」
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
めったに会うことの無いお母さんが私を訪ねてきた ひどく焦った顔つきで私に言う 「私を殺して頂戴」
私が日頃、いう事を聞かなくちゃいけない順番は お父さん→お母さん→シュウの順番だった だから迷いなくいつも護身用として携帯している銃の引き金を引いた だって、言いつけなんだもん 守らなくちゃ怒られちゃう
パンと大きな音がする いつもは耳栓をして打つから、こんなに大きな音がするなんて思わなかった 少し耳が痛い
お父さんが部屋に入ってくる 「やってしまったんだね・・・・」 嬉しそうな声で言うんだね って言ったらバツの悪そうな顔をされてしまった そのままお父さんは言う 「さぁ、さよならをして」 ばいばい、お母さん
(死を知らない奏―無知は罪)
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Re: 会話式リレー小説『ELESIS』過去小話。 ( No.48 ) |
- 日時: 2007/09/27 22:12:57
- 名前: 雨雲太陽
- 参照: http://yaplog.jp/soukuu-amagumo
ぼろぼろと、目から溢れて来る液体が止まらない。
くそくそ。リーク・キャスパー。お前は男だろう?チクショウ。
喉の奥がツンと痛くなってくる。
あ、頭撫でられた。
気持ちいい。まるで父親か母親に。否、兄に頭を撫でてもらっているようだった。
もっとも、兄弟なんていないし両親共々あったことは無いけど
けれど、本能が。
この温もりが親愛のような。そんな暖かさを持ったものだと分かっていた。
なんだかこそばゆい気がして、もっとぎゅうと抱きしめた。
* (『しんあい』の温もり)
この暖かさが心地いいと感じるのは、本能。
昔は抱きつきっこだった。
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Re: 会話式リレー小説『ELESIS』過去小話。 ( No.49 ) |
- 日時: 2007/09/27 23:15:05
- 名前: 遙
- あれから、何日経ったんだろう
やけに時間の進みが遅く感じる。もしかしたら、まだ三時間くらいしか経っていないのかもしれない。
そう思うと、急に怖ろしくなった。 もっと遠くへ逃げなきゃいけないのに。まだ一日も経ってないんだとしたら、すぐ見つかってしまう。
あの生活には、もう戻りたくない。
麻痺して感覚の無くなった脚に鞭を打ち、私は歩き続けた。 北も南も、西も東も分からない。 けど 歩くしかない。それしか方法が無いんだ。
(、、、、さい、、)
ふいに、頭の中で聞きなれた声が木霊する。 それは酷く哀しそうな声で
(ごめんなさい、、)
心から許しを請うていた。
ああ、お願いだからどうか そんな顔をしないで 謝らないで。私が置いていったから?だからそんな顔をするの? ごめんなさい。あの時、あの場所で、無理矢理にでも一緒にいれば良かった。 貴女は悪くない。悪くないんだ。 だから
膝をつく。 スローモーションのように景色が流れ、気が付けば冷たい土の上に横たわっていた。
ごめんなさい、リーシャさん。 貴女がもうこの世にいない事は、分かっています。 だから、私ももうすぐ貴女の下へ 貴女の眩しい笑顔の下へ、行かせてください。
「、、もう、疲れたよ、、、リーシャ、、さん、、、」
目を閉じると、暖かい水が頬を伝った。
(涙って、こんなに暖かいものだったんだ)
* * *
一応これでエルヴィス編は完結です。 最初から最後まで、気が滅入りそうな話ですみません。 他投稿者さんがエル絡みの過去話を書いてくださったら、それに便乗するかもしれませんが、次回からスウェイル編に突入しますんで。
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Re: 会話式リレー小説『ELESIS』過去小話。 ( No.50 ) |
- 日時: 2007/09/28 19:35:01
- 名前: 雨雲太陽
- 参照: http://yaplog.jp/soukuu-amagumo
他人はいつも僕を、『化け物』だの『神様』だのと言った。
『普通』は、傷付いたり嬉しくなったりするだろうが、
僕にはどちらでも無かった。
僕という個体はこの地球上に存在していて、それから見たら僕なんて 1ミクロンにも満たない人類の一人なのだから。
ただちょっと、他人とは違って『物』を修復させられるだけ。
それだけしか違わない。
他人と一緒。
『化け物』だろうが『神様』だろうが、僕にとっては何の意味もなさないのだ。
*
(それに、『化け物』も『神様』も、この世に存在するはずは無いから。 そんなものの存在で例えられてもね。)
カーン君の心の中。意外に神様を信じていない。 ちょっと複雑。
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