Re: 時代劇リレー小説「闇狩り人」 ( No.1 ) |
- 日時: 2009/04/06 20:49:20
- 名前: 夢魔
- 「こんばんわ、そしてさようなら。」
血に染まる藍色の着物をまとった胴体は、地面にどさっと倒れる。
胴体から離れてしまった首は、赤いりんごのように転がった。
他にも、二本の腕が無い死体。
縦に斬られ臓物を撒き散らした死体。
手足も首も斬られた死体。
その数体が、黒い路地裏に転がる。
そんな血だまりで赤く染まった舞台に立つのはただ一人。
黒のローブを上から羽織り、骸骨のお面をつけている異形。
振り下ろされた鎌は未だに、赤い雫を地面に落す。
その異形は、満足そうにくくくと笑う。
己が憎むべき武士を殺すことが出来たこと。
己に潜む殺人的欲求を発散出来たことを。
そのまま、死体を背景に路地裏のどこかへ消えていく。
この男の凶行を知るのは、満月のみであった。
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Re: 時代劇リレー小説「闇狩り人」 ( No.2 ) |
- 日時: 2009/04/06 21:56:52
- 名前: 鈴空 モカ(元・緋色
- 参照: http://stm0.blog59.fc2.com/
- 将軍様のお膝元として有名なこの華やかな江戸の町
その一角に一つの酒屋がございます
「おーい、こっちに酒を持ってきてくれぇ〜!!」 「はーい!ただ今お持ちいたします!」
この賑やかな酒屋で働くは、このあたりじゃ酒屋の看板娘と有名な街娘の日和 人当たりもよく、明るい性格から皆から慕われている、そんな彼女にはもう一つの顔が・・・・
「そーいや、日和さん、しってますかぃ?」 「え?何をでしょう?」
ほろ酔い気味の客が一人日和にある話題を振り掛ける
「ほら・・・アレでぃ、今何かと世間を騒がせる『首狩り魔』!」 「お?その話なら手前もしってますぞ」
その言葉をきっかけに酒屋のあちらこちらで声が上がる
「いま、何かと世間を騒がせています、殺人鬼のことでしょう?」 「そうそう、また被害が出たらしいんでさ」 「まぁ・・・それはそれは・・・・」
ふと、店の置くから声がかかる
「・・・・旦那?もう上がる時間ですか?」
最近は物騒だからもう、あがった方が良いその気遣いをありがたく頂戴して、少し薄暗くなった帰り道を日和は急いだ
*+*
手入れが行き届いているのか、古いが綺麗に整頓されている蔵の中に、先ほどとは全く違う雰囲気をまとった彼女が居ました 山吹色の着物ではなく、黒い着物を着て「自分の物ではない蔵」を漁っています そう、彼女は裏の世界で闇を狩る者・・・・・世間では「闇狩り人」呼ばれる一人でございます
「あった・・・・・・」
蔵の中には月明かりしか入ってきませんが、闇になれた彼女の目には十分過ぎるほどの光 その中で見つけたのは、なにやら数字や文字が多く書かれている資料、その資料に淡々と目を通しその内容を頭の中で整理する その整理した内容に基づき彼女が出した答えは
「やっぱり・・・こいつ等は黒か・・・・」
何の痕跡も残さぬよう丁寧に資料をもともとあった位置に戻し蔵をでる、周りに人が居ないのを確認して 蔵に鍵を元のようにかけ直し、彼女は闇にまぎれていった
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Re: 時代劇リレー小説「闇狩り人」=人食い刀= ( No.3 ) |
- 日時: 2009/04/07 18:05:57
- 名前: 木野 あきら
- 根岸は日和の持ってきた報告書に目を通していた。
このごろ市内で起きている辻斬り同然の殺人鬼に共犯者 言わば支援者がいる・・・。 それについて調べさせていた 日和が侵入した屋敷の持ち主はある旗本の分家だ 幕府の財政を預かる身の上、 その旗本が幕府の公金を横領し、殺人鬼に渡しているらしい。 (予想したより厄介だな・・・。しかもここだけじゃない) 根岸は重く言い放った 「日和、みなに伝えろ。闇狩り人、全員招集だ。」
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Re: 時代劇リレー小説「闇狩り人」=人食い刀= ( No.4 ) |
- 日時: 2009/04/08 22:26:30
- 名前: 遊
- 現場百見。
何か面白いものは無いかと左京はつい先日あった殺人現場へと来ていた。 地面には生々しくも紅い模様があちらこちらに付いていた。 今日左京がこの現場に来たのは辻斬りに興味があるわけではなかった。 普通の殺人ならばきっと普通に事は進むだろう。 だが、首切り死体やらバラバラ死体やらが出ていたとなると別だ。 きっと『奴ら』は出るだろう、そんな期待を持って左京は現場へと3度目の足を向けた。 とは言ったものの奴らがどう動くか分かったもんじゃない。 今までだって何度かチャンスはあったが顔を見ることすら出来ていない。 左京は地面に付いた当の昔に乾いた紅い模様を触りながら不敵に笑い、その場を後にした。
「ひっよりさーん、おっかわり頂戴ー。」
腰に長短様々な刀を3本つけた男、一ツ橋鶴都は酒屋へと来ていた。 一見しただけでは確実に領主息子とは思わない飄々とした態度だった。
「またですか?飲みすぎですよ、昼間から。」
いつものことのように日和は鶴都に言う。 昼間だと言うのに客入りは上々なこの酒屋は鶴都もよく訪れる場であった。
「これで今日は終わりですからね。」
笑顔でそう言いながらお酒を手に日和は鶴都のほうへと訪れ、お酒とともに一枚の紙を渡した。 紙を受け取った鶴都は何かを感じ取ったかのように、一瞬真顔になるがすぐさま元の飄々とした態度へと戻った。 その紙には、ただ、今夜集合と荒々しい字で書かれてあった。
「今宵は月が綺麗なのにねぇ・・・。」
静かに鶴都はそう呟いた。
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Re: 時代劇リレー小説「闇狩り人」=人食い刀= ( No.5 ) |
- 日時: 2009/04/11 12:16:26
- 名前: 夢魔
- 某旗本家
「これが約束の金でございます。」
月明かりしか照らさぬ暗がりの部屋。
依頼人らしき男は、顔が見えずただしわが寄った年寄り独特の手が10枚の小判を異形の方へ寄せた。
骸骨の面をつけた黒ローブの異形。
赤屍 死人。
赤い屍に、死に人。
容易に不吉な物を連想させる名。
素性も過去も一切謎に包まれており、裏の世界つまり隠密や殺しを生業とする者でさえもこの名しか知らない。
わかっているとすれば.....。
振るう大鎌は、首を刈り取るだけではなく手足や細かいところに至るまでばらばらに切り刻む。 終わったころには、人であった面影もなくただの人体のかたまりと血だまりしか残らない。 ゆえに、世間には畏怖をこめて「首狩り魔」または「死神」と呼ばれている。
そして、この異形に殺人の依頼をすればほぼ成功するといっても過言ではない実力を持っていること。
多くの者が、この異形を追ったがいずれも死んでいった。
これが依頼人の男が知る限りの異形の知識。
異形の包帯が巻かれた手が、小判の数を数えそれから丁寧に懐にしまう。
そして、赤屍がここにきてようやく口を開いた。
「最近、私のこと嗅ぎまわっている連中がいるようなんですが。」
「.......それはもしや幕府の隠密ではないでしょうか。」
男は、心当たりを張り巡らす。
徳川家に代々仕える隠密の服部家。
他にも多数存在存在しているが、この異形と対等に渡れる存在とすれば一つしか該当しない。
赤屍は、そうですかと一言と呟き立ち上がり依頼人の男に背を向けた。
依頼人の男の声が聞こえたのだろうか。
ただ、一方的に言い放った。
「あぁ、別にこの質問に特に意味はありません。どうせ、殺しますから。」
こうして、また影の中へ消えていった。
取り残された依頼人の男は、異形への恐怖からか身震いが止まらなかった。
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Re: 時代劇リレー小説「闇狩り人」=人食い刀= ( No.6 ) |
- 日時: 2009/04/13 19:55:43
- 名前: 鈴空 モカ(元・緋色
- 参照: http://stm0.blog59.fc2.com/
- いつものように夕方、仕事を早めに終えた日和は一つの家屋の戸を鳴らした
少しするといかにも温和そうな人がでてきた
「おや、日和さん・・・どうしましたか?」
「お久しぶりです燕さん、この間借りた本を返しに」
日和が渡した本には裏返しになった紙が一枚のっていた 燕はそれを手に取りよむと普段と変わらない笑みを浮かべ 「わざわざすみません」と一言いって家に戻っていった その様子に日和は何も言わずもと来た道をもどっていった 紙には昼間鶴都に渡したのと同じく、今夜集合と書かれているだけだった
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Re: 時代劇リレー小説「闇狩り人」=人食い刀= ( No.7 ) |
- 日時: 2009/04/16 00:04:04
- 名前: 木野 あきら
- きれいな月が真上に登り詰める刻限、
根岸はやはり資料の頁を繰っていた。 その瞳は紙を貫かんばかりに厳しい。 遠方の闇狩り人から来た情報だ (やはり同じような手口の者が上方から東海道を通って江戸に来たのか。
上方とは関西地方のことです。 念のため
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