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お題使用リレー小説「金色の獣が駆け抜けた世界」
日時: 2008/01/28 18:08:58
名前: Gard
参照: http://watari.kitunebi.com/

こちらは本編になります。
何かある場合は設定の方へお願いします。




「金色の獣が駆け抜けた世界から15のお題」

1.現世に舞い降りた戦女神
2.人であって人ではないモノ
3.この仇は必ずとる
4.似た者同士

  ↑ここまで済

5.糸を知ってる操り人形
6.動乱の序章
7.とんだ恋の季節
8.たった一人の大切な人
9.王座よりも大事な物
10.初めて死にたくないと思った
11.俺はそんなに安くない
12.純白に散った深紅の色
13.押し掛け女房に参りました
14.必ずまた会える、信じろ
15.伝説の終焉


お題配布サイト:泡沫の夢
URL:http://nemunoki814.fc2web.com/odai/odaiindex.html


日華様特製まとめページ:http://hakuin.zouri.jp/
メンテ

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斯くて物語は始まりを告げる ( No.1 )
日時: 2008/01/28 18:11:22
名前: Gard
参照: http://watari.kitunebi.com/

 昔むかし、遠い昔。
 まだあまり種族に境界線が引かれていなかった頃のこと。
 一番始めに境界線が引かれた「魔族」と名付けられた種族と、まだまだ沢山の種族が混ざっている、それでも大まかに「人間」と名付けられた種族が存在していました。
 魔族は残虐で強大な力を持っているもの、人間はそれ以外のもの、という簡単な境界線でしたが、それはとても大きな意味を持っていました。
 彼等はその境界線を持って、争いあっていました。
 人間は魔族の持つ力を恐れていました。彼等が持つのはとてもとても強大な力で、人間が何人束になっても敵わないと思っていました。
 魔族は人間のことを恐れていました。彼等が持つ強い絆という繋がりが生み出す大きな力は、魔族が何人束になっても敵わないと思っていました。
 けれど、人間も魔族も、お互いに欲するものがありました。
 それは自分たちの種族が生きるための肥沃な土地でした。けれど土地には限りがあります。それを巡ってお互いに争っていました。
 相手を恐れるあまり、お互いは力を全力で出せませんでした。だからこそ人間は魔族相手でも生き延びることが出来ました。
 魔族が恐れた力は、人間五十人によるもので、やっと魔族一人分ほどにしかならないのです。
 争いが続くうちに、魔族はそれに気がつきました。
 気付いた魔族は、人間は恐れるに足りないものだと力を出してきました。とてもとても強大な力です。
 どんどんと人間は押され、魔族が優位に立っていきました。
 このままでは人間は全滅する。そう思った一人の少女が、神へと祈りを捧げました。

「どうか私達人間をお救いください」

 神は少女の祈りに答えました。
 人間のために、一人の戦女神を地上へ使わせたのです。
 戦女神はとても強く、美しく、その姿に魔族も人間も心を奪われました。
 魔族は戦女神に押され、人間が今度は優位に立っていきました。
 魔族は数が少なくなっていきました。けれど、その残った魔族の中で一番強い者が魔族を導き始めたのです。
 統率の取れた魔族は、戦女神すらも苦戦するほどのものでした。
 戦女神は自らも率先して戦場に立ちながら、人間達を統率し始めました。人間はそれに従いました。
 そして、魔族の統率者と戦女神は、戦場で相見えました。
 二人の戦いは休むことなく、長く長く続きました。
 長い長い戦いは、戦女神が魔族全ての力を四分の一にまで封印することによって終わりました。
 人間が勝ったのです。
 戦女神に力を封じられ、数も少なくなった魔族は、仕方なく何処かへと消えていきました。
 人間は戦女神に感謝しました。ですが戦女神は、魔族の力を封じるために沢山の力を使い、すぐに帰らなければならなくなりました。
 戦女神が大地を離れる際、人間に言いました。

「魔族の力を封印した石は、この地に残していきます。あなた方はそれを護り続けてください」

 そうして戦女神は去り、人間の世の中が生まれたのです。
                         〜 「神聖典」より 〜





 かつり、と石畳の床を靴底が叩いた音が静かな空間に広がった。辺りは仄暗く、ちらちらと揺れる炎の影響で、生まれた影を揺らしていた。
 普段なら静謐なるその空間。嘗て現れたという戦女神を祀る神殿。けれど、今そこは濃い血臭に彩られていた。炎の揺らめきを映す紅い液体がそこら彼処に散らばっている。
 そんな中を、一人の女が歩いていた。
 先程の靴音の主である女は、床に転がるものを全く気にせずに歩を進めていく。血臭や紅い液体にも顔を顰めることはない。それどころか、何処かうっそりとした笑みを浮かべていた。
 女が歩き辿り着いたのは神殿の最奥部。戦女神の神像がある広間だった。そこで足を止める。
 戦女神の像を見上げ、女は口端を吊り上げるだけの笑みを浮かべる。
「…………滑稽ね」
 静かに紡がれた言葉は思いの外広間に響いた。響き、けれど女の耳にのみ届いて消えていく。
「幾ら祀ったところで、女神は助けてくれなかったわね」
 喉の奥で女は笑い声を押し殺す。振動にあわせ、腰下まである長く豊かな黒髪が揺れた。
 女の言葉は戦女神に向けられたものではない。それを祀っていた、この神殿に勤める神官達へと向けられたものであった。
 一頻り喉の奥で笑うと、女は踵を返して元来た方へと向き直った。
「あの時の戦女神は、もういない」
 紅い爪が彩る指先でつぃ、と空を撫でる。
「時も、満ちた」
 撫でられた所から、じわじわと空間が裂けていく。
「私はお前達に宣戦布告をしよう。お前達を絶望に落とそう」
 裂けた空間へその身を躍らせながら、なおも女は呟いた。
「生み出すなら生み出せばいい。新たな戦女神を。私はそれを、」
――――――――八つ裂きにしてくれようぞ。





 女が不気味な言葉を神殿に残し消えたと同時刻。
 各地に存在する戦女神を祀る神殿の壁に、女が呟いたものと同じ言葉が同時に浮き上がると言う現象が発生。
 最後に残された「Sovrana di tenebra(闇の王)」というサインから神話学者達が魔族の復活を示唆。
 神殿に浮かび上がったことから、魔族が狙っているのは魔族の力を封じた石と学者達は判断する。
 各地の有力者達は、魔族から今の人間の世を守り抜くため魔族と戦う人間を集め、派遣しだす。

 そうして物語はここ、「アバリム」の街から始まる――――――――

☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

えー、序章的です。
こういう感じで皆さん旅立ったり旅立たなかったりするわけです。世界観もこんな感じで。
……いいッスかねぇ?
これだけだとわけワカメ(古っ)なので、もうちょっと書きたいと思います。
次はもっと短くなると思う。多分。
メンテ

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