Re: 小説専門店(あの掲示板の人どうぞ) ( No.1 ) |
- 日時: 2007/03/23 20:11:22
- 名前: ソエル
- 「友からのオクリモノ」
朝、集まった皆はサクラの持っていたものに驚いたようだ。 いや、小狼だけは、どこか納得したような顔をしている。
「あのね、昨日サクラに侑子が渡してくれたんだよ!」
モコナが黒鋼とファイに言う。2人とも、最初はびっくりしていたようだがその真意が分かったのか、何も言わなかった。 ただ、1つ心配なのは・・・・。
「姫、その銃使わないときはどうするんですか?」
やや焦っているような声に間違いはないだろう。
「えっと・・・どうすればいいんでしょうか?」
やっぱり、と皆が思った。サクラは、後先を考えずに行動することがしばしばある。侑子に銃を貰うとき、それをどこにしまうのか、なんてことは考えていなかっただろう。
「だったら、これをどうぞ!」
困っていたサクラに譲刃があるものを差し出した。それは、ガンベルトだった。
「私が使っていたものですけど、にゃんこさんにあげます!」 「い、いいの?」
譲刃は、にっこりと笑った。
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Re: 小説専門店(あの掲示板の人どうぞ) ( No.2 ) |
- 日時: 2007/03/23 20:12:11
- 名前: ソエル
- 「いいんです!大切にしてくださいね!」
「うん!」
サクラが譲刃からガンベルトを受け取る。どうやら、足に巻くタイプのものらしい。 モコナが水晶から光を出した。
「侑子!皆、準備できたよ!」
その向こうに現れた次元の魔女は、小狼たちを見ると、頷いた。
『では、そろそろこちらに送りましょう。雪兎神官にはもう、知らせてあるわ。』 「はい。」
小狼が返事をするのと同時にモコナの翼が生えてきた。
「モコナ=モドキもどっきどき!!はぁ〜ぷう〜!!」
光が小狼たちを包んでいく。
「龍王、またな。」 「ああ。・・・・またな、小狼。」
龍王と小狼がこぶしを突き出す。サクラと譲刃もおたがいに敬礼のように額に手を当てた。
「これ、大切にするね!」 「はい!それは、私からの贈り物です。友達への。 また・・・・また会いましょう!」 「うん!」
そして─────小狼たちは、玖楼国へと移動していった。全てに決着をつけるために。
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Re: 小説専門店(あの掲示板の人どうぞ) ( No.3 ) |
- 日時: 2007/03/23 20:12:53
- 名前: ソエル
- 文字数オーバーで2回に分けています。
ちなみに、前回のです。 もう少し経ったら続きを載せますね。
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Re: 小説専門店(あの掲示板の人どうぞ) ( No.4 ) |
- 日時: 2007/03/24 22:15:24
- 名前: プルモ
- 参照: http://hituhinalove.blog81.fc2.com/
- ソエル小説復活おめでとォォ!!!
また楽しく読ませてもらうね♪♪
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Re: 小説専門店(あの掲示板の人どうぞ) ( No.5 ) |
- 日時: 2007/03/25 11:55:21
- 名前: ソエル
- ありがとう、プルモ♪♪
がんばるね☆
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Re: 小説専門店(あの掲示板の人どうぞ) ( No.6 ) |
- 日時: 2007/03/26 12:46:21
- 名前: ソエル
- 「懐かしのカオ」
「次の世界に到着〜!!」
モコナが、いつもより数倍元気よく言った。決戦は目前だが、気まで暗くなってはだめだ。
「ここは、王宮のどこかですね。」
小狼の言うとおり、着いたところは廊下だが、なにか違う感じのするところだ。 気品、高級さなどが漂っている。
「姫、ここがどこなのか、分かりますか?」 「見覚えはあります。確か、こっちに行けば出られたはずです。」
サクラが示すのは廊下の奥。
「小狼は知らないの?」
モコナが疑問を口にする。
「おれが入れたのはお城の外のほうだから。それに・・・・・。」
小狼の瞳が一瞬暗くなる。
「小狼?」
モコナが不思議そうに小狼を見る。
「いや、大丈夫だ。・・・姫、ここがお城の中だとして、呼べば、誰か来るんじゃないですか?」 「あっ!そうですね!」
サクラは、少し息を吸った。そして、響くような声でその名前を呼んだ。
「兄様〜!雪兎さん〜!」
しばらくの間、静寂が4人と1匹を包む。だが、しばらくすると、足音が聞こえてきた。
「サクラ!」
そういって駆けてきたのは玖楼国の王、桃矢だ。その後から雪兎神官もついてくる。
「お帰りなさい、サクラ姫。小狼君。」
雪兎がのんびりと挨拶をする中で、桃矢は、妹が心配でたまらないようだ。
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Re: 小説専門店(あの掲示板の人どうぞ) ( No.7 ) |
- 日時: 2007/03/26 12:47:21
- 名前: ソエル
- 「で、ここには決着をつけに来たのか?」
桃矢も、知っているのだろう。雪兎へと伝えられた魔女の言葉を。 そして、その言葉は小狼に向けられて。
「はい。ただ、少し準備をさせてください。いつ、来てもおかしくはありませんから。」
小狼の瞳は、さっきと違い、真剣なものだった。 命の危険がないとは言い切れない。冗談では済まされない。
「分かりました。」
返事をしたのは、雪兎神官だ。
「皆さんのお部屋を用意いたします。こちらへ。」 「は〜い!!」 「は〜い!」
ファイとモコナが元気よく返事をする。 黒鋼は、少しだけ小狼を睨むように見ている。まるで、隠し事を見抜くように。
「あと、小狼君。」
雪兎神官が振り向いていった。
「あとで、渡したいものがあります。私の部屋まで来てくれますか?」 「あっ、はい。」
小狼の返事に満足したように雪兎は微笑んだ。そして、ファイたちを連れてその場を後にした。
「小狼君は、どうするの?」 「おれは、いったん家に戻ります。色々と準備をしなければならないので。」 「分かりました。」
その会話を聞いて、桃矢は少しだけ顔を曇らせた。 それは、サクラが発した言葉に向けて。
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Re: 小説専門店(あの掲示板の人どうぞ) ( No.8 ) |
- 日時: 2007/03/26 12:48:08
- 名前: ソエル
- (サクラ、本当に小僧の記憶がないのか。)
旅に出る前は、羽根が飛び散ってしまう前は、サクラは小狼を困らせるほどに、呼び捨てで呼べと言っていた。そして、お互いに、「小狼」、「サクラ」と呼び合っていた。
それが、今は『ない』。昔の記憶がなく、旅の記憶しかない。 遠慮の少し混じった呼び方。もちろん、小狼にとってサクラはどんな状態でも、『大切な想い人』だろう。そして、サクラにとっても。だが、サクラの中には『昔の想い』はない。だからこそ、想っていても敬語になってしまう。呼び捨てで呼ぶことが出来 ない。
それが、小狼にとって、どれほどの傷になったか。桃矢に予想することは出来ない。 だが、それが『本当に辛いこと』であったことは確かだ。
小狼は、心が強い。それは桃矢も知っている。『サクラとの関係性』を払っても、自分の記憶が戻らないと分かっていても、それでも大切な人のために羽根を捜し続けることが出来た心。それが、どれほど強いのか。想像もできはしない。 だが────。
(強いからこそ、壊れやすく、もろい。そこを、小僧は分かっていない。こらえるだけでは、いつか壊れる。)
それは、本当に心配してのこと。今、もし小狼が壊れてしまったら、サクラを支える人がいなくなってしまう。 だからこそ、大切な妹を思ったからこそ自然に出た言葉だった。
「小僧。こらえてばかりだと、他の人が悲しむだけだぞ。」
その言葉に、小狼はびっくりしたように顔を向けてから、笑顔で言った。
「はい。」
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