Re: 世界を彩る物語。 ( No.56 )
日時: 2007/05/11 21:26:53
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参照: http://www.geocities.jp/akatukiquartet

【 夢想春花 】

冬の寒さに耐える花は
いつか来るその日を夢見てまだ眠る

いつか いつか

貴方の眼前で花ひらく日を


冬の寒さに耐える花は
貴方の掌に暖められて
ようやく冬を越えました

貴方の掌に、瞳に、心に支えられて

やがて春に至るのです


春の日差しにほころぶ花
柔らかな風に包まれて、貴方の隣で微笑みます

けれど 春の花はその先にある運命を知らぬのです


春の花びらに、雫が一つ
見上げればそれは貴方の瞳から溢れ出して
ぽたぽた、ぽたぽた零れます

どうして、どうして泣くのでしょう

愚かな春の花は知らなかったのです

春の先の、散りゆく運命を


どうか、どうか泣かないで
貴方が泣くと、花も哀しいのです

けれど、とても幸せでもあるのです

花のために 貴方が泣いてくださるのですから


くるくる くるくる

矛盾した想いは廻り

くるくる くるくる

私の意識もやがて廻って 堕ちて

深い深淵に 飲み込まれた

最後に視えたのは 貴方と笑った あの空の下