小説ふぁんサーチ > 作品内容 ※この作品の著作権は作者にあります。無断転載は禁止です。
テイルズオブシンフォニグレイ 〜第19話〜
レナ「・・・今度の痛みは何も見えない、聞こえない、
真っ暗闇の中に放り込まれるなんてね・・・」

みんなの視線の先には傷口に結ばれた布に手を置いて呆然と
しているレナの姿。何も話さず、ただぼー・・・っとしているだけ。
ここまで運んでくるの少し手間がかかった。


*****

レナ「なにも・・・なにも見えない・・・聞こえない・・・だ、れか・・・!誰か・・・・・・!」

両手を前に出して何かを探りながら戸惑うレナ。
側にいたロイドはそっとその手を伸ばしてその手を握った。

レナ「・・・・・・・・・・・・っ?!」

いきなり触られた手を振り払おうとしたがその手はきつく握り締められる。
振り払おうとしても無駄だとわかったのか手を一度休めてじっとその手の
感触を布越しに感じ取る。

レナ「・・・ろ、いど・・・?」

頷く代わりに手を握り締めた。
それをい肯定とわかったのか安心したようにもう片方の
手を握っている手に重ね、自分を安心させるように
ロイドの名を何度も呼んだ。

レナ「ロイド・・・ロイド・・・ロイド・・・!」
ロイド「・・・大丈夫だ、俺はここにいる。みんなもいるから・・・」

頭を撫でてやると安心したのかそのまま倒れこんだ。
それを見た神田も慌ててレナを抱きとめる。
その手を誰のものか確かめようと片方の手を伸ばし、
神田の手を握ってそっと頬に当てる。

レナ「・・・ユウなの?」
神田「そうだ」
レナ「・・・そっか、よかった。コレットは大丈夫だった?疾患・・・」
神田「ああ、大丈夫だ」
レナ「そっか・・・ごめんね、こんな状態になっちまって・・・」
神田「大丈夫だ、それより・・・立てるか」
レナ「なんとか、ごめんね二人とも・・・支えてくれる?」

見えてはいないだろうが二人は頷き、
レナの腕を肩にまわして野営をする場所まで運んだ。

*****

ジ−ニアス「本当に見えていないのかな・・・?」

疑問に思ったジーニアスが慈郎の前に行き、
あっかんべーをしてみるが何の反応もない。
変顔もしてみたが反応が全然ない。

リフィル「ジーニアス!いい加減にしなさい!」
ジ―二アス「はーい・・・」
しいな「他の聖霊とは違う痛みって・・・この事だったんだねぇ
・・・確かにいきなり何も見えなくなったり、
聞こえなくなったりしたら怖いだろうね・・・」
リフィル「光の聖霊だから、光を失う痛み・・・なのかしらね・・・」
クラトス「・・・それも気になるが・・・術書の方はどうなのだ?」
ロイド「おいクラトス!レナのことはどうでもいいって言うのかよ!」
クラトス「今までの聖霊の痛みのことを考えたら明日か今日辺りにでも戻るだろう。
だったら今の内に術書を読み、レイナの治療をしてやるのが得策ではないか?」
神田「クラトスの言う通りだ・・・急いで術書を読むぞ」
ロイド「・・・わかったよ」

――――――――――――――――――――――――――――

レナ(・・・何も、見えない・・・何も、聞こえない・・・真っ暗で・・・ただ、
ただ・・・闇が広がっているだけ・・・)

何も見えない闇の中、何も聞こえない無音の空間、光のない・・・闇の世界。
かのヘレン・ケラーもこんな闇の中を彷徨っていたのだろうか。
・・・などと思いながら傷口から感じる熱さをただ受けているだけ。

レナ(何も見えないんじゃ・・・手当ても出来ないよ・・・。
みんなは・・・今、何しているのかな・・・?)

手を伸ばしたい、が・・・その瞬間何が起こるのかわからなくて、
恐ろしくて中々手を伸ばす勇気が出ない。
光がほしい、みんなの顔が見たい、切実に願った。
早く、この痛みから解放してほしい・・・。

レナ(・・・ロイド・・・ユウ・・・)

と、不意に手に暖かさを感じた。
何か文字を掌になぞっている。

しいな(大丈夫かい?)
レナ「・・・・・・・・・・・・しい、な?」

誰かの暖かみが今、自分の手にある。
それだけでも十分闇への恐れが薄れていった。

しいな(わかるのかい?)
レナ「・・・なんとなく、この手の感触はしいなでしょ?」
しいな(感触だけでわかるのかい?)
レナ「・・・なんとなく、私そういうのにはなんでか敏感なの・・・」
しいな(ふぅん、テセアラのこと、みんなに話したよ。
明日ユニコーンに会いに行くことになった)
レナ「・・・そっか」

しいな(あと、あんたの治療なんだけど、神田がやることになったから)

レナ「えっ?」
しいな(あいつがどうしてもやるって言ってさ、
今治療道具を持ってくるところだよ)
レナ「・・・そうなんだ・・・」
しいな(あ、来たよ)

来た、と言われても見えないのだから空いている手を動かすしかない。
そしてその手に誰かの手が触れた。

レナ「・・・ユウなの?」
神田(ああ)

指で文字を書き、自分の伝えたいことを書く神田。

神田(怪我の治療、俺がする。一回服を脱がせなくちゃいけない、
だから・・・みんなには見られたくないだろ?)
レナ「・・・あ、そうなんだ・・・」
神田(だから、ノイシュとコリンとクラトスが見張りをしてくれる)
レナ「・・・なんでクラトスまで」
神田(頼りになるし、レナの体のこと知ってるし)
レナ「・・・なるほど・・・」
神田(だから、一回立とう、な?)
レナ「・・・うん、ごめんね。支えてくれないかな?」

肯定する代わりに慈郎の腕を自分の肩に回して治療道具ももって
近くの岩陰に向かった。しいなはその二人の様子をただ見てるだけだった。

しいな(・・・レナ・・・大丈夫なのかねぇ・・・)

心配してただ溜め息をつくしかなかった。

岩の近くにはクラトス、ノイシュ、コリンがいた。
レナの手を引っ張りながらコレットは岩陰に座り、レナも座らせる。

クラトス「大丈夫か、ユウ」
神田「ああ、どうにか」

首を縦に振って答える。

クラトス「そうか・・・手間取るようなところがあったら私に言え」
神田「わかった」

笑顔で答えて治療を始めた。
まずは傷に巻いておいた布を外すところから始める、
が、張り付いてしまったところもあり、剥がす時の痛みがレナに伝わる。

レナ「いっ・・・!」
神田「?!」

慌てて剥がす手を止め、文字を書いて伝える。

神田(すまない、大丈夫か?)
レナ「だ、大丈夫大丈夫・・・噛まれたときに比べれば、
どうってことないから・・・だから続けて・・・」

けどなるべくそっと、静かに痛くないようになんとか剥がしきった。
そして次に上着を脱がす、二枚の上着の中から出てきたのは黒い筋が
左の腕全てに張り巡らされ、左の肩からもう鎖骨近くに伸びて
いるところだった。

神田「・・・っ・・・!」
レナ「・・・なに?もう侵蝕しきってた?」
神田「・・・・・・・・・・・・」
レナ「・・・何も言わないってことはそうなんだな、
今回は痛みがなかったからあんまし気づかなかった」

その言葉に胸を痛めながらも消毒液を布に塗り、傷口に当てて消毒する。

レナ「痛い痛いっ・・・染みる・・・っ!」
神田(我慢しろ(怒り))
レナ「う・・・いたっ・・・化膿するのは嫌だけど・・・これはきつい・・・」
神田(結構深いものだ、仕方ないだろ)
レナ「・・・怒ってる?」
神田(少しな、)
レナ「・・・ごめんね、剣で受け止めようとしたんだけど・・・、
ちょっと間違えてあんなことになっちゃったよ」
神田(間違えたじゃ済まないだろ、俺がどれだけ心配したことか)
レナ「・・・ごめんなさい」

文字を書きながら消毒した後は一旦文字を書く手を止めて
傷口にガーゼを貼って包帯を巻いた。
巻き終わると同時にレナが手探りながらも神田の頭を撫でた。

レナ「ありがとうユウ、助かったよ。この状態で、
一人でやるには大変だなって思ったから」
神田(どういたしまして)
レナ「でも・・・私もなんであんなところでしくじっちゃうのかな、
まだまだ鍛錬が必要ってことかな」
神田「・・・・・・・・・・・・」

その言葉を聞いてそのまま神田は黙ってしまった。
けれど、手は離さない。

レナ「?どうしたのユウ?」
神田「・・・・・・・・・」
レナ「・・・?どうしたの、明日コレットが天使になるから怖いの?」
神田「・・・・・・・・・」

それでも何も言わない神田に「参ったな・・・」と頭を掻きながら困る。
黙る神田にもう一回手探りで頭を撫でながら言った。

レナ「・・・大丈夫だよ、コレットを天使にはさせないよ。
私達がそんなこと、絶対にさせない」
神田「レナ・・・?!」
レナ「あの子が天使にならなくても世界が再生される道があるよ、
だからそんなに怖がらないで」
神田「・・・・・・・・・」
レナ「例えあの子が天使になって全てを失くしたとしても、
必ず私達が元に戻してあげるから」
神田「っ?!」
レナ「・・・天使になって、心を失っても、
記憶をなくしても・・・絶対に元に戻してあげるから」
神田「・・・・・・・・・」
レナ「だから・・・安心してね」
神田「・・・・・・っ・・・」

その言葉が嬉しくて、神田は思い切りレナに抱きついた。

レナ「あたたっ!いきなり抱きつくのはなしだよ!
恥ずかしいからっ!」

神田はクスクス笑うと今度は神田がレナの頭を撫でて手に文字を書く。

神田(ありがとう)

と、そしてそのままずっと慈郎に抱きついたままでいた。
神田が抱きついたままなので仕方なく抱き寄せてその頭を撫でた。
神田の暖かさが伝わってさっきまでの闇への恐怖が一気に消え去った。


クラトス「・・・仲がいいことだな・・・」

慈郎の声がしなくなったので少し様子を見に来たクラトスだが、
二人が抱き合って眠っている。姿を見て心配無用だったな、
と思いつつ持ってきていた毛布を二人にかける。
それに気が付いた神田がクラトスに笑顔で答える。

神田「ありがとう」

と伝えた。
それにクラトスは小さく笑って答え、そのまま元いた場所へ戻っていった。
戻ってきたクラトスにノイシュの背にいたコリンが声をかける。

コリン「ねぇねぇ、レナ大丈夫だった?」
クラトス「ああ、様子を見に行くのなら行ってこい」
コリン「うん!」

ノイシュの背から軽く飛び降りてレナの元へ向かった。
その姿を見てからノイシュの隣へ座る。

ノイシュ「クゥーン・・・」
クラトス「・・・嬉しいのか?あいつが来てくれて」
ノイシュ「アウゥー、アウゥ!」
クラトス「そうか・・・お前は最初からわかっていたのだな」
ノイシュ「アウ!」
クラトス「・・・お前は賢いな、本当に・・・」

ノイシュの頭を撫で、背に少しもたれると空を見上げて呟いた。

クラトス「・・・よかった・・・」

と・・・。


何に対してよかった、と呟いたのか・・・それはクラトスにしかわからない。


――――――――――――――――――――――――――――――――


―翌朝。
朝の日差しを浴びてレナが目を覚ました

レナ「・・・んー・・・いたた・・・」

レナの声で目を開き、顔を覗き込む神田。

レナ「・・・・・・ん?あれ・・・ユウ?もしかしてずっとついててくれたんだ・・・。
って私が抱きしめちゃってたんだっけ・・・」

そこまで言って目を開く、と。

レナ「・・・あれ・・・」
神田「レナ、どうした?」
レナ「・・・ユウ、なんでコリンが私の膝の上で寝てるの・・・?」
神田「・・・!!」

今、確かに自分の膝の上にいるコリンを見て言った。
ということは・・・。

レナ「・・・・・私、見えてる・・・?」
神田「レナ!!」

その言葉で笑顔になった神田はまたも思い切り抱きついてきた。

レナ「あたたたたっっ!!だからいきなり抱きつくのは反則だって言ったじゃん!!!」
神田「嬉しいんだから仕方がないだろ?」

コレットはそれよりも嬉しくて仕方がないという顔だった。
この状態をどうしよう、と思っている内にあることに気が付いた。

レナ「・・・私、ずっと上半身裸だったんじゃん」

さらしを胸に巻きついけているが。

神田「あ・・・、」

それをきいて慌てて離れて上着を渡す。
が、その上着も血だらけのボロボロで着られるかどうか・・・。

レナ「・・・あ、あはは・・・気にしないで。
なんかの装備でも着ていればなんとかなるから」
神田「・・・・・・・・・」
レナ「そんなに落ち込まないで、私が悪いんだから、ね?」

くしゃっ、と頭を撫でてやると、照れくさいのか顔を赤くする神田。
そこへ、クラトスがやってきた。

クラトス「レナ、治ったのか?」
レナ「ええ、なんとかね」
クラトス「そうか・・・あと、これを・・・」

クラトスが手渡したのはボロボロになった服と同じものだった。

レナ「え、これ・・・」
クラトス「ロイドがいざという時のために作っておいたらしい、
これを渡してくれと言われたので持ってきた」
レナ「・・・ありがとう」

上着を着て側にあった剣を収めた鞘とベルトを取ると、
膝の上で眠っているコリンを起こす。

レナ「コーリーンー、起きろー」
コリン「うーんむにゃむにゃ・・・あと5分ー・・・」
レナ「うわ、この台詞マジに聞けるなんてね。
こらっ起きないとしいなに怒られちゃうよ!」
コリン「ふにゃ?!ごめんなさいしいな!・・・・・・あれ?」
レナ「やっとお目覚めかな?」
コリン「あっ!レナ、治ったの?!治ったの??!!」
レナ「うん、コリンがよだれ垂らして寝ている姿がバッチリ見えたよ?」
コリン「垂らしてないもん!でもよかった!しいな達に言ってくるー!!」

そう言って意気揚々としいな達の元へと走って行った。
その姿を見ながら二人は立ち上がった。

レナ「ありがとうユウ、手当てしてくれた上にずっとここにいてくれて」
神田「お礼なんていいんだ、俺がしたかっただけだ」
レナ「そっか・・・ありがとう」

もう一度頭を撫でると笑顔で答えてくれた。
と、そこへ

ロイド「レナっっ!!治ったって本当か??!!」
ジ−ニアス「大丈夫っっ??!!なんともないっっ??!!」

もうダッシュで来たロイドとジーニアスがやって来た。

レナ「ええ、もう全然平気。ちゃんとロイド達も見えるよ」
ロイド「声、聞こえるよな!これいくつだ?!」
レナ「5でしょ?それにちゃんと聞こえてるよ」

ロイド&ジーニアス「「やった―――――っっっ!!!」」

レナ「だああっ!二人もきなり抱きつくんじゃないっ!!
いだだだだだだだだだっっっ!!!」

けれど、痛みよりもまず、嬉しさが込み上げた。
また、みんなを見ることが出来たのだから。

ジ−ニアス「あれ、レナ・・・泣いてるの?」
レナ「なっ、二人が抱きついてきたから痛くって泣いてるんじゃ!
もしくは埃だよっ!!」

嬉しくて、嬉しくて・・・涙が出た。
戻る >< 閉じる