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ずっと一緒 21
――何でもっと早く気付かなかったんだろう?
ファントムが何もなくウォーゲームを失くすはずないのに――





コンコンと、ドアを叩く音に目が覚める。
昨日はシロガネが離れず結局そのまま寝たはずのオレは、何故か部屋で一人で寝ていた。
シロガネが起きたのだろうかと思いながら、ベットから降りてドアを開ける。
ノックをしていた【オレ】はオレを見てにっこりと笑った。

「・・・・・・・・・は?」

ちょっと待て。
オレはここにいるのに何で目の前に【オレ】がいるんだ。
しかもまるでシロガネのような笑顔を浮かべて。

「一つ聞くが・・・」

【オレ】がオレに尋ねる。

「君の名前は?」

オレは訳が分からぬまま答える。

「アルヴィスだ」

ん?ちょっと待て。
今名前を言ったのはオレだよな?
声がなんだか、高かったような・・・。

「ふーん・・・じゃあ、ギンタの中にはアルヴィスがいるのね」

【オレ】が女口調でそう言った。
とてつもなく気になる事を。

「ギンタのなかに、オレ・・・?」

「クスクス、鏡見てきてごらん」

言われた通りオレは鏡の前に立った。
そこには、オレが呼んだ異世界の住人、ギンタが立っていた。
まさかと思う。
ドアにもたれて鏡を凝視していたオレを見ていた【オレ】が、またにっこりと笑った。

「やっぱアルヴィスは理解が早くて助かるわ。ご察しの通り、中身が入れ替わってるのよ。メルのメンバーとガイラさんがね」

【オレ】は入れ替わった状況を面白がっているかのようにクスクスと笑う。
面白がっているようなではなく、実際に面白がっているのだが。
それよりもオレは声を大にして【オレ】に頼む。

「シロガネ!!オレの姿で女口調を使うなーーーー!!!」

オレの叫ぶような声は城中に響いたらしい。





***





「じゃあ、整理するよ」

中身の入れ替わったメルのメンバー+ガイラは大広間に集まっていた。

「まず、ギンタの中にはアルヴィスでしょ」

珍しく眉を顰めたギンタ――中身はアルヴィス――を指差す。

「あたしの中にはギンタでしょ」

こちらも珍しくギンタ以上に眉を顰めたシロガネ――中身はギンタ――を指差す。

「ドロシーはスノウで、スノウはドロシー」

困ったように笑うドロシー――中身はスノウ――と眉を顰めるスノウ――中身ドロシー――を指差す。

「ナナシさんはジャックで、アランさんはナナシさんで、ガイラさんはアランさんで、ガイラさんはジャックで」

不思議そうに手を開いたり閉じたりしているナナシ――中身ジャック――と壁にもたれて腕を組むガイラ――中身アラン――とよよよ、と涙を流すアラン――中身ナナシ――と目を閉じて腕を組んでいるジャック――中身ガイラ――を指差す。

「で、アルヴィスにはあたし、シロガネっと」

アルヴィス――中身シロガネ――が自分を指差すと、みんなが一斉に溜息を吐いた。
どういう訳かは知らないが、朝起きたら今言ったメンバーの中身が入れ替わっていたのだ。
不思議な事に、朝はいつも通りの静かな朝だったため、入れ替わった事は知られていない。
それもそうだろう。
入れ替わっても騒がしくなかったのは、シロガネ――外見アルヴィス――が逸早く状況を察してみんなの部屋を回っていったからだ。
叫び声とかを上げる前に、シロガネが一人一人の部屋を訪ねては諭したのである。
ていうか、悟らねばおかしい。
何の意味もなくにっこりと笑うアルヴィスなど、中身が入れ替わったか偽者かとしか思えないからだ。
シロガネ曰く、だから行ったんだよ、だそうだが。

「これって絶対ダークネスだよね」

この世で呪いを掛けられるARMはダークネスARMしかない。
中身が入れ替わる。
これも一種の呪いだ。

「誰が掛けたのかな、こんな変な呪い」

「さあな。だが面白半分でってことは確かだ」

「何で?そうとは限らないと思うよ」

アルヴィス――外形ギンタ――の考えをシロガネ――外形アルヴィス――が否定する。
アルヴィスがシロガネの言葉に首を傾げる。
(めんどくさいので中身とか外形とかもう書きません。名前書いてたらその人自身だと思ってください。外形は違いますけど)

「どういう意味だ?」

「バッポ使えるの?アルヴィスは」

そう言われると返答に困る。
何故なら、バッポを使えるのは今はギンタだけだからだ。
いくら外形がギンタとはいえ、中身はアルヴィスだ。
使えるわけがない。
第一、ギンタの魔力の波長と自分が合うかどうかもわからないのだ。
例え魔力の波長が合ってたとしても、ギンタの想像力を真似する事は出来ない。
黙ったままのアルヴィスをシロガネは否定と受け取った。

「ほらね。使えないでしょ?あたしは相性がいいみたいだから使えるんだけどね」

「何でわかるんだ?」

「試しにやった」

さすがシロガネ。
そういう行動は早い。

「ギンタも使えるんだよ。さすが弟ね」

他の皆も試しに魔力を練り上げようとしたが、失敗に終わった。
ちなみにアルヴィスはやっていない。
無駄だと解っているからだ。

「結局使えるのは、あたしとギンタだけか」

「じゃあさ、ギンタに黒白の天使出してもらって、呪い解いてもらえばいいんじゃない!」

スノウが名案とばかりに手を叩く。
みんなもその手があったとギンタを見たが、ギンタはふるふると首を横に振った。

「何で!?」

「別に害はないんだ。ウォーゲームもないんだし。それに今オレすっげー眠てぇの。だから寝る」

「寝る前に解いてな!」

「ヤダ」

頼み込むみんなを押し切ってギンタは部屋に戻っていく。
こうなると、元に戻る方法はあと一つしかない。
この呪いのダークネスARMを壊す事だ。
だけどそれもムリな話だ。
どんなARMかわからないし、誰かが魔力を通わしている気配も感じない。
探そうにも探せないというのが現状だ。

「仕方ないね。今日はみんな外に出ずにいるんだよ?怪しまれるからね」

シロガネは席を立って部屋とは違う方に向かう。
アルヴィスが気になって問い掛ける。

「どこ行く気なんだ?シロガネ」

「アルヴィスって綺麗だからさー」

「?」

「女装させようと思って!」

「!!!?」

「あは、アルヴィスおもしろい顔。顔はギンタだけどね」

・・・・・・絶対阻止してやる!
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