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| 蜜柑ちゃんの家庭教師 〜1〜 |
| それは一週間前のこと。 うちが期末テストで最高記録、2点を取ったことが始まりやった。 それを隠そうと鞄の中に丸めとったんやけど、 神様とは残酷で。 案の定、なにがなんだかしらんけど、お母さんがそれを探しあてた。 見つかったときのお母さんの顔はそれはもう鬼の顔。 うちは震え上がったけど、お母さんとお父さんの結論はこれ。 「蜜柑には家庭教師をつけます」 は?家庭教師? うちが?家庭教師? 何時から何時まで? 「三時からみっちり六時まで」 えええええええええええええええええええええええ!!!!! そんな無理!遊ばれへんやん! ちょ!タンマ!マジ無理! 「あんたがこんな点数取ったから悪いのよ」 うそーーーーーーーーん。 そんなこんなで、うちには家庭教師がつくことに。 何度か、どの家庭教師が合ってるか、とか、変な業者のひとが来たりして、 色々質問攻めにもおうて、ようやく家庭教師さんやらというのが来た。 ピーンポーン うちの普通の一軒家のインターホンが鳴り、お母さんがそれに出た。 一回はリビングになってて、うちが勉強するところは二階にあるうちの部屋。 お母さんが玄関を開けると、うちも玄関に小走りに行く。 すると、玄関の前におったのは、これまたカッコイイ男の人やった。 「あら、あなたが蜜柑の家庭教師さん?」 お母さんがそう訊くと、男の人は小さく頷く。 なんでお母さんがそんなわかりきったこと訊いたかというと、 その男の人はあまりにも若かった。 パッと見ると、まだ高校生くらいに見える。 でも、その男の人は、片手に透明なクリアブックと、その中に色々な教材も入ってて、 やっぱり大人な感じにも見えて。 それに、もうすぐ冬やからといって、茶色のコートに黒い髪。 目は綺麗な紅で耳にピアスもしてる。 もうどっから見てもちょっとしたヤーさん。 でもめっちゃかっこよくて美形のお兄さん。 そのお兄さんは、うちより三十センチくらいは背高くて、 見上げるのにちょっと首が痛い。 170センチはあるんちゃうかな? うちがそんなこと思ってると、お兄さんが口を開いた。 「名前は日向棗と言います。 これからそこのガキ・・・じゃなくて、娘さんと勉強していきますので」 お兄さんがそう言ったら、お母さんが快く家に上がらした。 お兄さんは靴を脱いで、うちがうちの部屋に案内する。 二階にあるうちの部屋の扉を開けて、お兄さんは入ってきた。 うちの部屋は女の子らしいといえばいいのか、結構シンプル。 扉を開けると目の前にはベランダがあって、 右端にはベット。ベットの前には勉強机。 家庭教師が来ると訊いて、急いで片付けたから、部屋はめっちゃ綺麗や。 うちがお兄さんの後に、部屋に入るとお兄さんはコートを脱いでそれを簡単にたたむ。 フローリングのような綺麗な床にそれを置いて、 クリアブックを開けた。 その中から筆箱、透明なファイルを取り出して、 予めうちが用意していたイスに腰掛ける。 うちはそれを見たら、自分のイスに座った。 お兄さんのコートの中は、黒い長袖に黒いズボン。 簡単な服装やけど、それまたその服が、お兄さんが着ると見栄えがいい。 うちの服装は白い長袖服に膝まであるスカート。 うちのほうがもっと簡単な服装や。 「勉強、始める、と言いたいところだが、お前名前なんて言うんだ?」 え?うちの名前知らんの? 唐突にそう訊かれてうちは戸惑った。 普通生徒の名前くらい事前に教えてもらうやろ? でも、なんだかそんなこというと怖いので、うちは渋々名前を言うことに。 「佐倉・・・蜜柑・・・やけど」 「ふーん」 先生はふーんとだけ言って、ファイルの中身をとりだす。 って、ふーんだけかい!と、つっこみたかったけど、それは心の中に置いといた。 うちは先生はチラチラ見ながらキョロキョロ。 大きな目を動かして、うちの部屋やのに色んなところを見わたして。 もう落ち着いてません、ていうのを表しているように。 そんな中、先生がバンっと音を鳴らして机にプリントを山のように置いた。 うちはそれがなにがなんだかわからず、ただ呆然とそれを見る。 「これ、今から30分でやりとげろ」 「え?」 「なんども言わせるな。これを30分でやり遂げろと言っている」 は?あんた、なに言うてはりますの? うちの目は点になった。 プリントの寮は20枚くらいある気がする。 それを30分って、無理やりにもほどがあるんですけど。 それを言おうとしてうちが先生の方を向いたら、先生はなんか黒いオーラをだして、 「早くしろ」と言ってるようやった。 もう怖い。 この人怖い。 うちは先生を「怖い人」と認識した。 認識したとたん、うちはプリントをやり始めた。 とにかく30分で終わらせないと殺される覚悟で。 そんでもって30分。 うちはなんの根性かしらんけど、奇跡的にやり遂げた。 先生がうちの机の上にある時計を見て、「終了」と言った。 うちは力なくイスにもたれて放心する。 先生はそんなうちになにも言わず、プリントをパラパラとめくって見始めた。 それからうちは10分間放心していると、いつのまにか先生は答えあわせが終わってたみたい。 「プリント一枚に10問中6問は間違っている。 お前こんなんで中学卒業できるのか?」 「う・・・・」 先生の言葉にうちは言葉を詰める。 そりゃぁ、まだ中学二年生で、受験はまだまだやけど、でもいつかは来る。 高校は出たいのは山々や。 でも、頭の悪いうちが、高校に進学できるかどうかをお母さんたちが心配して、 家庭教師をやとったんや。 うちが俯いていると、先生が息をついた。 それからプリントを机に音をたてて置く。 うちはその音にビックリして、肩をびくつかせた。 先生の顔は見れんけど、なんか怖い。 とにかく怖くて、怒られると思って、強く目をつむった。 「まぁ、でも、キチンと最後までやり遂げられたんだから、褒美をやる」 それを聞いたうちは先生を見上げた。 褒美って、なに・・・・? そんな疑問が浮かんだけど、ご褒美をくれると言われると、なにか期待してしまう。 頑張ったかいがあるというものだ。 「先生、褒美ってな・・って・・先生!?」 うちがそう言うと、先生はうちの顔に近づいていた。 うちの頬を両手で触れて、うちは硬直する。 あまりにも至近距離に先生の綺麗な顔がきたから、うちは顔を真っ赤にした。 「せんせっん」 うちは「先生」と言おうとした瞬間、唇をふさがれた。 先生の唇にふさがれたことがわかると、うちは先生の服を握る。 うちの口の中に先生の舌が入ってきて、もうなにがなんだかわからんくって頭が真っ白。 でも、先生の舌の動きが気持ちよくて、うちは力が抜けて、先生を拒むことができひんかった。 「ふぅ・・うぁ」 キスの時間が長くて、うちは息が切れそうになった。 そのキスもものすごいキスで、うちは目をトロンとさせてしまって、変な声も出してしまう。 先生はゆっくり唇を離すと、透明な糸が撃ちの舌と先生の舌に繋がった。 それが切れて、うちは自分の唇を押さえた。 先生は自分の舌で唇を舐めると、うちの頭を撫でる。 うちは絶対顔は真っ赤で、心臓を押さえて、ただたださっきされたことについて考えていた。 「気持ちよかったか?」 先生の言葉にうちは体が硬直して、先生を見上げた。 先生の顔の表情は悪意感のある表情で、うちはもっと顔を真っ赤にした。 そしたら先生が、真っ赤な顔のうちにまた先生の顔を寄せてきて、耳元でささやく。 「これから俺の言うことをいっぱい聞いて、テストでいい点も取ったら、 こっちの勉強も少しずつ教えてやるよ。蜜柑」 うちは先生にささやかれた耳を片手で押さえて、眉を寄せる。 「蜜柑」と呼ばれた自分の名前が、先生に呼ばれるとドキドキして、頭が真っ白になる。 でも、うちは負けず嫌いで、先生の思いどうりになるのが嫌やった。 「う、うちは、あ、あんたの思いどうりになる女やないもん! す、すぐにあんたなんか家庭教師おろしたる!」 指を指して、強気なうちに、先生は鼻で笑った。 「やってみろ。いっておくが、俺は猫かぶりが上手いぞ」 その言葉と表情がうちにとってめちゃくちゃ腹立って、 かぁっと赤くなった顔にもわからないまま。悔しそうに唇を噛んだ。 「まぁ、せいぜい頑張れ。勉強も、お前がまだまだ知らない勉強も」 こうしてうちと日向棗先生との家庭教師生活が始まった。 |
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